秋の七草の1つとして親しまれるフジバカマ。野生の株は見かける機会が減ってきていますが、もともと丈夫で生命力が高いことからガーデニングには活用しやすい花として知られています。草丈も1~2mと大型で生長した姿は見応えがあります。今回はそんなフジバカマの育て方について、苗植えの時期と方法などをご紹介します。
フジバカマとはどんな花?
フジバカマとはキク科・ヒヨドリバナ属に分類される多年草です。8〜9月ごろになると、直径5mm長さ10cmほどの小さな花を咲かせます。
「秋の七草」の1つとして日本では昔から馴染みの草花として知られています。また、茎や葉っぱから「桜餅の葉」にも似た香りを放つことから中国では芳香剤として利用されていました。
フジバカマの育て方のポイントは?
フジバカマを元気に育てるポイントは、日光がよく当たる場所で水切れにならないよう適切に水やりをすることです。
日の当たらない場所でも枯れることはありませんが、弱い茎が生えて花つきが悪くなってしまいます。
また、地下茎を伸ばしてどんどん数を増えていくため、寄せ植えなどに利用する場合他の植物の根の周りに侵食しないよう仕切りをつけることが重要になります。
フジバカマの苗の鉢植えの時期と方法は?
フジバカマを初めて育てるなら苗から栽培するのがおすすめです。3~4月が苗植えの適期で、5号に1株を目安に市販の草花用培養土を用意してください。
植え付け手順
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネット、鉢底石を順に敷く
- 土を鉢の1/3ほどまで入れる
- フジバカマの苗を取り出して根についた土を手でもみ落とす
- 黒ずんでいる腐った根があれば切る落とす
- 鉢の中心にフジバカマを置いて縁から下4cmのところまで土を入れる
- フジバカマの周りに土を入れて固定する
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをする
フジバカマのお手入れ!水やりの仕方や肥料の与え方は?
フジバカマの苗を植えたなら、あとは定期的なお手入れで丈夫に育ててあげましょう。日のあたる場所に置いて、水と肥料を適切に与えてあげれば元気に育ってくれますよ。
水やりの仕方
フジバカマは乾燥に弱いので水切れには注意が必要です。春~夏にかけては土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。花が枯れた後は生育が鈍るので、乾燥気味に育てていきましょう。
肥料の与え方
肥料が多すぎると茎が伸びすぎてしまいます。苗を植えるとき、土にゆっくりと効く緩効性化成肥料を少量混ぜておけばその後の肥料は必要ありません。
フジバカマの剪定の時期と方法は?
フジバカマは大きくなると1〜2mほどまで生長します。もし小さく育てたいならば、5~6月に草丈を1/2ほどの大きさに切って(剪定して)あげましょう。
また、枯れて締まった茎葉は病気や害虫を引き寄せる原因となるので、できるだけ早く取り除いてください。
フジバカマの植え替えの時期と方法は?
植え替え時期
フジバカマは生育が早い植物です。どんどん地下茎を伸ばすので1年に1回は根詰まりを防ぐため植え替えを行いましょう。3~4月になったら今の鉢よりも一回り大きな鉢と土を用意してください。
植え替え手順
- 水やりを控えて土を乾燥させる
- 鉢を逆さまにして苗を取り出す
- 根についた土を手でもみほぐす
- 新しい鉢に土を入れる
- 苗植えと同じ手順で苗を植える
フジバカマの増やし方!種まき、株分けや挿し木の時期と方法は?
フジバカマは種まきや株分け、挿し木で数を増やすことができます。栽培に慣れてきた方はぜひ挑戦してみてください。初めてフジバカマを増やす方は、株分けや挿し木がおすすめです。
種まきは2〜3月か9〜10月、株分けは2~3月、挿し木は5~6月が適期です。
種まきの手順
2~3月か9~10月に採取した種をまいていきます。
1. 育苗箱に赤玉土(小粒)など種まき用の土を入れる
2. 種をばらまき、薄く土を被せる
3. 土が乾かないよう水やりをして管理する
4. 発芽し、本葉が2~3枚ほどになったら、生育のよいものだけを育苗ポットに移す
5. 本葉が5~6枚になったら鉢や地面に植え替える
株分けの手順
フジバカマの苗(株)を取り出して古い土や根をきれいに落とします。それぞれの株に根が均等になるよう2~3個に切り分けてください。1株に2~3個芽がつくようにするのがコツです。
あとは切り分けた株をそれぞれ1つの苗として鉢植えにしてください。手順は苗の鉢植えと同じです。
挿し木の手順
切り落とした茎に根を生やして新しい苗とする方法を挿し木と呼びます。5〜6月頃になったら次の手順で挿し木に挑戦してみてください。
1. 茎を先端から2~3節のあたりで切り取る
2. 一番下の節の葉を取り除く
3. 切り口を30分ほど水に浸ける
4. 赤玉土(小粒)など挿し木用の土に挿す
5. 土が乾かないよう水やりをして、明るい日陰で管理する
6. 根が十分に生えてきたら、鉢に植え替える
フジバカマの育て方で注意する病気や害虫は?
フジバカマを育てていると、病気や害虫の被害にあうことがあります。次に代表的な病気や害虫についてご紹介するので参考にしてください。
うどんこ病
株全体が白い粉を被ったようになる病気で、しだいに光合成ができなくなって株が弱ってしまいます。病気にかかった部分は切り取り、薬剤を散布して拡大を防ぎます。
アブラムシ
茎葉や新芽に寄生して株の栄養を吸い取る害虫です。また、排泄物はすす病を誘発する恐れがあります。見つけたらすぐに薬剤を散布して駆除していきましょう。
ハダニ
乾燥した環境だと、葉っぱの裏に寄生する害虫です。水が苦手なので、水やりのときに葉っぱにも霧吹きで水を吹きかけると予防につながります。大量に発生したときは、殺虫剤で駆除してください。
フジバカマ(藤袴)は育てやすい多年草
日本で昔から親しまれているフジバカマは生育旺盛。地下茎をどんどん伸ばして増えていきます。株が大きく生長し、たくさんの花を咲かせる姿は、迫力を感じさせます。
フジバカマ寒さにも暑さにも強い育てやすい植物である一方、根の生長が早くときには近くの植物の生長を阻害することも。仕切りをつくって植えるなど、一工夫を加えて栽培を楽しんでくださいね。
更新日: 2023年05月24日
初回公開日: 2016年01月24日