小判型の平べったい葉っぱが特徴のウチワサボテン。まだ幼い株は、うさぎのような姿をしたものが多く出回っており、かわいらしいことも人気の理由の1つ。原産地では食用にされていることでも知られています。今回は、そんなウチワサボテンの実の食べ方や種類、効能や花言葉などについてご紹介します。
ウチワサボテンの花言葉とは?
『燃える心』『暖かい心』『偉大』『枯れない愛』
「偉大」という花言葉は、過酷な環境でも育つ、サボテンの強い生命力に由来します。また、「枯れない愛」は、水をあまり必要とせず育つことにちなんで付けられました。
ウチワサボテンの学名・原産国・英語
- 学名
- Opuntia Mill.
- 科・属名
- サボテン科・ウチワサボテン亜科・オプンティア属
- 英名
- Prickly pear
- 原産地
- 北・南アメリカ、タイ、イスラエルなど
- 開花期
- 5~9月 ※種類によって異なる
- 花の色
- 赤、ピンク、黄、白など
- 別名
- ノパル
トゥナ
ウチワサボテンとは?どんな花を咲かせる植物?
ウチワサボテンは、サボテン科の中でも、主にウチワサボテン亜科・オプンティア属に分類される植物の総称です。約300種が存在し、平たい楕円形のような茎が団扇のように見えることから名付けられました。
茎の節から鱗片状の葉っぱを付けた若い芽を次々と出し、草丈は2mほどに生長します。大木になると、夏~秋の間に、黄色や赤、ピンク色の花を咲かせます。花びらには光沢があり、茎の先にたくさん咲く姿が美しいですよ。
重機で踏み潰しても残っている茎から再生するほど繁殖力が高いことから、世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれており、アフリカやオーストラリアでは雑草として野生化しています。茎の表面は細かいトゲが生えており、触るとすぐに抜けて刺さります。
その一方で、メキシコなど南米地域では野菜のように食用にされます。また、花が咲いた後に結実した実は、カクタスフルーツと呼ばれ食べることができます。
ウチワサボテンの種類や品種は?
ウチワサボテンは、観賞用と食用の2つに大きく分けることができます。以下にそれぞれのよく知られている種類や品種をいくつかご紹介します。
■ 観賞用
金烏帽子(キンエボシ)
100均でも購入できる、ポピュラーなウチワサボテンの品種です。別名「金小判(キンコバン)」とも呼ばれ、トゲが金色で形が烏帽子(エボシ)に似ていることから、名付けられました。楕円形の茎は15cmほどで、草丈は60cmほどに生長します。トゲの色の違いから、「赤烏帽子」「緑烏帽子」といった品種もあります。
白桃扇
メキシコ北部~中部を原産とする、白いトゲを持つ金烏帽子の変種です。高さは60cmほどに生長し、黄色い花を咲かせます。
プナ・ボンニアエ
ポコポコとした丸い茎が集まって生長する品種です。最近アルゼンチンで発見され、一見するとウチワサボテンのように見えませんが、花はウチワサボテンに分類されるものとよく似ており、株よりも大きくなって咲きます。
大丸盆(オプンティア・ロブスタ)
メキシコ中部を原産とする種類です。円形もしくは楕円形の茎をいくつも付け、1~3mほどに生長します。茎全体はシルバーグリーンをしていることから、「silver dollar(シルバーダラー)」という英名を持っています。
仙人サボテン(センニンサボテン)
南北アメリカからキューバを原産とするウチワサボテンの1種です。繁殖力が強いことが特徴で、果実を食べた鳥が種を運び、ヨーロッパやアフリカ、日本など世界各国に移入されています。鋭いトゲを持ち、各地の生態系を壊していることから、世界の侵略的外来種ワースト100に登録されています。また、日本でも、要注意外来生物に指定されています。
■ 食用
ノパル(オプンティア・フィカス・インディカ)/トゥナ
ノパルとは、メキシコなどで食用としされるウチワサボテンの総称です。アステカ文明の頃から人々に食べられてきました。50種ほどがあり、その中でも「ハルバ」「ミルバアルタ」「ビジャヌエバ」といった品種がよく栽培されています。その他にサボテンフルーツとして実を食べる品種は、「トゥナ」と呼ばれ、約10種あります。ワシントン条約の規定により、食用にされるノパルには証明書が付けられます。
ウチワサボテンの実(トゥナ)や茎(ノパル)の食べ方、効果や効能は?
実(トゥナ)
実の大きさは6~8cmほどで、黄や赤、黄緑色をしています。梨やスイカのような味がするとされており、フルーツのように生で食べられます。トゲのある皮をナイフで剥いでいくと、みずみずしい果肉が出てきますよ。
カルシウムやリン、カリウムがたくさん含まれており、骨や歯の形成、脳の活性化、利尿作用が期待できます。また、ベタレイン色素という色素成分には、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
茎(ノパル)
古代アステカ文明の頃から食料とされ、メキシコをはじめとする南米では野菜としてウチワサボテンが食べられています。トゲが生える前の若葉を収穫し、ゆでてピクルスやサラダにしたり、焼いてステーキにしたりした楽しまれ、サヤエンドウに似た味がするとされています。
繊維質とミネラル、ビタミンを豊富に含んでいることが特徴です。これらの働きにより、胃や腸内環境の改善、免疫力の向上、心臓強壮作用、口臭予防やアレルギーの改善など様々な効果が期待できます。
ウチワサボテンの実や茎は栄養価が高い
見た目がユニークで、幼い株はうさぎのようなかわいらしい形をしているウチワサボテン。100均などで手軽に購入でき、強く丈夫なことからはじめての植物の栽培には最適なものの1つです。また、メキシコなどで食べられる茎や実は、栄養価が高く、古くから貴重な食料とされてきました。一度、食べてみるのも楽しそうですね。ぜひ試してみてください。
更新日: 2016年01月05日
初回公開日: 2016年01月05日