アケビは、日本各地の野山に自生し、実は秋の味覚の1つとして楽しまれてきました。独特の色と形をした実は、一度見たら忘れられないインパクトがあります。ただ、今では若芽や実の皮を山菜としていただくイメージの方が強いかもしれませんね。今回は、花の特徴や実の栄養、花言葉や種類など、アケビとはどんな植物なのかについてご紹介します。
アケビ(木通)の花言葉とは?
『才能』『唯一の恋』
「才能」という花言葉は、実の中や皮を食べることができ、つるは工芸品に、種は油に加工されるなど用途が幅広いことにちなんでいます。「唯一の恋」は、雄花と雌花が離れて咲く姿に由来しているといわれています。
アケビ(木通)の学名・原産国・英語
- 学名
- Akebia quinata
- 科・属名
- アケビ科・アケビ属
- 英名
- Akebi
Chocolate vine
- 原産地
- 日本、中国、朝鮮半島
- 開花期
- 3~5月 ※収穫期は9~10月
- 花の色
- 白、淡紫
- 別名
- 通草(アケビ)
木通(アケビ/モクツウ)
アケビ(木通)とは?花の特徴は?
アケビとは、アケビ科・アケビ属に分類されるつる性の落葉低木です。古くから東アジアの各地に自生しており、茎は「木通」と呼ばれる利尿や抗炎症作用に効く生薬として利用されてきました。また、実は食べられるだけでなく、種が油の原料となることから、江戸時代には商業的に栽培されていました。
樹高は5~10mに生長し、ほかの植物につるを巻きつけながら生長していきます。楕円形の葉っぱは、手のひらのように5枚連なってつるに茂り、3~5月になると白や薄紫色をした花が、つるのあちらこちらに咲きます。房状の雄しべを付ける雌花と、放射状に雌しべが付く雄花があり、受粉することで実が付くのですが、どうやって花粉が雄花から雌花に運ばれるのか詳しくはわかっていません。結実すると、長さ10cm前後で中心がパカッと口のように割れた紫色の実がつきます。
名前の由来
熟した実の割れている様子が、口を開けている人を連想することから、「開け実」が変化したという説や、その口を開けた姿が「あくび」をしているように見えることから「アケビ」となったなど、名前の由来には諸説あります。
「通草」という別名は、アケビのつるの中が空洞になっていることにちなんでいるとされます。
アケビ(木通)の実の栄養は?
アケビの実は、炭水化物が多く、水分の含有量が少ないことからカロリーはやや高めとなっています。アケビの実1つで、十分なエネルギーを補給することができますよ。また、ビタミン類やミネラルをバランスよく含んでいます。
注目はビタミンCとカリウムの量が多いこと。ビタミンCには、シミの元となるメラニンの生成を抑え、鉄分の吸収を高めてくれる働きがあります。含有量は65mgと、モロヘイヤやイチゴ、キウイなどと同じくらいありますよ。
また、カリウムは、体の余分な塩分を体外に排出してむくみを解消する効果がある栄養素で、アケビには240gとザクロと同じくらい含まれています。
アケビ(木通)の種類や品種は?
アケビ
日本の本州から九州にかけて自生している基本種で、単に「アケビ」というと本種を指します。花はクリーム色で、7~10cmほどの紫色の実を付けます。
ミツバアケビ
通常のアケビと違い、葉っぱは3枚連なって付き、縁にギザギザがあることが特徴となっています。実は他の種類に比べて大きくて甘く、「紫水晶」「桜貝」「鷹紫」など様々な園芸品種があります。
ゴヨウアケビ
アケビとミツバアケビが自然交雑して生まれた種類だといわれています。葉っぱは5枚連なって付き、縁にはギザギザがあります。
シロアケビ
他の種類と違い、実が白もしくは緑色をしている種類です。見た目は弱々しい印象ですが、生育旺盛で、果肉はとても甘いことで知られています。
アケビ(木通)は栄養豊富な実を付ける果樹
昔は、秋の山を散策していると出会えたアケビ。茎は漢方薬や工芸品に、実は食用にと、あますところなく楽しめることが魅力ですよね。特にゼリー状の果肉には、ビタミンCやカリウムなどたくさんの栄養が含まれ、女性にはうれしい効能がつまっています。
秋の味覚として、自分で育てたアケビの実を堪能できたら、毎日のお世話も楽しめそうですね。
更新日: 2022年04月27日
初回公開日: 2016年02月11日