紫色の花を下向きに咲かせるカタクリ。少し憂いを帯びたその姿と、花の独特の形から、人気の高い山野草の1つです。開花期間は短く、栽培の難易度も高めではありますが、その分花が咲いたときの喜びは大きいものになりますよ。今回は、そんなカタクリの育て方について、苗植えの時期と方法などをご紹介します。
カタクリ(片栗)の育て方のポイントは?
直射日光に当てず、風通しのよい場所に植え付けることがポイントです。自生株は落葉樹の下に生えており、直射日光に当たると株が弱って枯れてしまいます。また、暑さには弱いので、温度が急に上がるような場所は避けてください。鉢植えは、時期に応じて置き場所を変えるとよいですよ。
カタクリ(片栗)の球根植えの時期と方法は?
種は市販されておらず、手に入っても花を咲かせるまでに7~8年かかるため、球根から育てはじめるのが一般的です。球根の植え付け適期は、8~10月の休眠期で、鉢や地面に植えていきます。
鉢植えは、7~8号鉢で深さのあるものを選び、球根1個分くらいの深さのところに植えていきます。1つの鉢には、球根3個ほどが適量です。
地植えは、落葉樹の下など真夏の日差しが遮られるような場所を選び、地下10cmほどの深さのところに植えてください。その後は、年々深いところに球根は潜っていきます。
カタクリ(片栗)の土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
水はけがよく、有機質をたっぷりと含んだ土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)2:軽石(小粒)2:腐葉土1の割合で混ぜた土か、市販の山野草培養土に腐葉土を足したものを使います。地植えは、地下15cmほどまで土をよく耕し、腐葉土を混ぜあわせておきます。
水やり
カタクリの球根に皮はほとんどないことから、乾燥すると傷みますし、湿った状態が続くと腐ってしまいます。そのため、鉢植えは、土の表面が乾いてからたっぷりと水を与えます。長い休眠期の間も、水やりを欠かさないよう注意しましょう。地植えは、地上部がしおれてしまうほど乾燥しているときだけ水を与えてください。
肥料
冬から春にかけて根が生長していくので、11~12月に液肥やゆっくりと効く緩効性化成肥料を与えます。生育が鈍いようであれば、花が咲き終わる5月頃まで、定期的に同じ肥料を与えてもかまいません。液肥なら7~15日に1回、緩効性化成肥料なら2~3ヶ月に1回ぐらいが適当です。
カタクリ(片栗)の剪定の時期と方法は?
種がつくと、球根の栄養が奪われて、翌年の花つきが悪くなってしまいます。種を採取しないときは、枯れた花を摘みとってしまいましょう。
カタクリ(片栗)の植え替えの時期と方法は?
カタクリの球根は、毎年地中深くどんどん潜っていく性質があります。そのため、鉢植えは毎年、少なくとも2~3年に1回は植え替えをして株をリフレッシュさせます。適期は8~10月で、根を傷つけないよう掘り上げたら、鉢の土を入れ替えてから深さ5cmほどのところに植え直してください。
カタクリ(片栗)の増やし方!分球や種まきの時期と方法は?
分球
品種によっても異なりますが、数年カタクリを育てていると、球根が増えて混み合ってきます。植え替えのタイミングで、球根に子株がついていれば、手で分けて別々に植え付けていきましょう。
種まき
花が咲き終わった後につく種をまいて増やすことができます。親株と同じ土にばらまいていきます。土が乾かないよう翌年の春まで管理すると、糸状の葉っぱが土から顔を出しますよ。その後3年ほど管理し、球根がある程度生長したら、鉢や地面にそれぞれ植え替えていきます。とても手間がかかり、花が咲くまでには7~8年以上かかることから、じっくり育てたい方におすすめです。
カタクリ(片栗)の花の栽培はむずかしい
ひっそりと可憐に咲くカタクリの花は、かわいらしくて趣がありますよね。ただ、休眠期が長く、地上に姿を現している期間はごくわずか。また、日光の量や水やりの頻度を調節しなければならず、何年も育て続けるにはなかなかの努力が必要です。
ただ、早春に他の植物に先んじて咲くその姿は、「春の妖精」と呼ばれるほどの魅力があるのも事実です。病気や害虫にかかる心配はほぼないので、植物の育成に慣れてきたら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
更新日: 2022年04月27日
初回公開日: 2016年02月20日