サルビアは世界中に分布している植物で、赤をはじめ青、白など様々な花色を持っていることから花壇には欠かせない存在となっています。また、育てやすいことから、ガーデニング初心者に人気があります。一方、種類が多いことから一年草のものから宿根性、多年性など性質も多様で、育て方もそれぞれに合った方法をとる必要があります。
今回は、サルビアの種まきや苗の植え付け、土・肥料・水やり、挿し芽、株分け、植え替え、剪定の方法をまとめました。
サルビアとは?どんな花?
サルビアとはシソ科サルビア属の植物の総称です。観賞用だけではなく食用の品種があったり、数百種を超えるほど数が多かったり、様々な楽しみ方ができます。
初夏から秋の終わりまで、開花期間が長いことも特徴です。本来は多年草ですが、日本の真冬に耐えられず枯れてしまうことから、寒さに弱い品種は一年草として扱われます。
一年草と違って、多年草は冬を越したり植え替えたりといった作業が必要になります。今回は一年草と多年草両方の栽培方法についてご紹介します。
サルビアの育て方!苗を植える方法は?
サルビアは種または苗から育てる植物です。初めてサルビアを育てる方は苗からがおすすめ。発芽までの手間がかからないうえ短い栽培期間で花を咲かせられます。
サルビアは、水もちと水はけのよい有機質の含まれた弱酸性の土を好みます。草花用の培養土を用意するか、赤玉土6:腐葉土3:バーミキューライト1の割合で混ぜた土を準備してください。肥料が含まれていないなら、緩効性化成肥料を加えて1週間ほど寝かせておきましょう。
苗を植えるなら4月中旬~6月に行います。苗よりも一回り大きな鉢、軽石、土を用意してください。6号鉢に1株、60cmのプランターに3~5株が目安です。
鉢の底に軽石をしき、土を1/3ほど入れます。鉢の中央に苗を置いて周りを土で固めます。最後に水やりをして苗が固定されたら完成です。
サルビアの育て方!水やりの仕方や肥料の与え方は?
サルビアを鉢に植えたら定期的に水や肥料を与えて、生長を促進させてあげましょう。それぞれのやり方について詳しくご紹介します。
水やりの仕方
サルビアは乾燥を嫌うことから土の表面が乾いてから、鉢底から流れ出るくらいたっぷり水を与えてください。一方、多湿状態が続くと根腐れを起こして枯れてしまうので注意が必要です。
花やつぼみがポロポロと落ちたり、根元付近の葉っぱが落ちたりしてきたら、極端に乾燥させすぎているのかもしれません。もう少しだけ水やりのタイミングを早めてみましょう。
肥料の与え方
サルビアは生育が活発で開花期間も長いことから定期的に追加の肥料(追肥)が必要です。苗を植える際肥料分を混ぜていないなら、月に1回緩効性肥料を置き肥にします。
土に肥料分が含まれているなら月に3回ほど薄めた液体肥料を施しましょう。ただし、真夏の期間の追肥は不要です。秋に近づき涼しくなってからにしてください。
サルビアの剪定!花がら摘みと切り戻し
サルビアの花が咲き終わったら、一年草や多年草に限らずこまめに摘みとりましょう。開花している花をそのままにしておくと花付きが悪くなり株が弱るからです。
真夏の高温期には花数が少なくなり、株が乱れるため、8月に1/2~1/3くらいの高さに切り戻すと風通しがよくなりますよ。
サルビアの育て方で気をつける害虫や病気は?
サルビアは、病気にほとんどかからない強い植物です。ただし、ハダニとアブラムシの被害を受けることがあるので注意してください。
ハダニ
ハダニは夏の乾燥した気候になると発生する害虫です。葉っぱや茎にくっついて落葉させ、茎を弱らせることがあります。発生したら初期のうちに薬剤を散布して駆除するか、霧吹きで葉っぱに水を吹きかけて退治します。
アブラムシ
アブラムシは花が咲くころつぼみ付近に集まってくる害虫です。見つけたら薬剤を散布して退治します。薬剤は葉の表だけではなく、裏にもかかるようしっかり散布しましょう。もし薬剤に抵抗がある方は、置き型タイプの薬剤も市販されているので活用してみるのもよいですよ。
※以前はケルセン乳剤で害虫対策を行うことが主流でしたが、平成22年4月1日付で使用禁止農薬となってしまったので注意してください。
サルビアの植え替えの方法は?
一年草タイプのサルビアは、花が咲いた後に枯れてしまうため植え替えは不要です。一方、宿根性のサルビアは3~4月に毎年植え替えの必要があります。植え替えをしないと根が窮屈な環境で弱って結果的に枯れてしまうので注意してください。
根に付いた土を軽くもみほぐしながら植え替えるのがポイントです。より大きく育てる場合は、一回り大きな鉢を用意しておきましょう。
植え替えの手順
- 水やりを控えて土を乾燥させておく。
- 鉢を逆さまにして育った苗(株)を取り出す。
- 根っこについた土を手でもみほぐす。
- 苗の鉢植えと同じ手順で新たに植え直す。
サルビアの増やし方!種まきや挿し芽、株分けの方法は?
サルビアの栽培に慣れてきて、もっとたくさんのサルビアを育てたいと思ったなら数を増やしてみませんか?以下、一年草などタイプ別の増やし方についてご紹介します。
種まきの仕方
品種によっても異なりますが、サルビアの種の発芽温度は18~25度です。寒いうちは発芽しないため、4~5月頃に種をまきます。種まきに向いているのは、一年草タイプや宿根性のロゼッタタイプの種類です。次に種まきの手順をご紹介します。
- ピートモスを用意してプランターに入れる。
- 深さ5mmぐらいの横筋を1本作る。
- 横筋に種同士が重ならないようばらまく。
- 手で優しく土を被せてビニールなどで容器を密室にする。
- 発芽するまで朝夕の2回霧吹きスプレーで土を湿らせる。
- 土の表面が風に飛ばされないように注意する。
- 明るい日陰の涼しいところで管理する。
- 芽が出てきたらビニールをとって日光の当たる場所に移動させる。
- 本葉が2~3枚揃ってきたらポットに植え替える。
挿し芽の方法
挿し芽に向いているのは、一年草タイプや宿根性の地下茎タイプ、宿根性の枝を伸ばすタイプです。次に挿し芽の手順をご紹介します。
挿し芽を行うのは、6~7月の梅雨の時期が乾燥しにくく適期です。容器となる小鉢かポット、小型の苗ケースを用意します。土は赤玉土(小粒)か鹿沼土、ピートモスのどれかがあれば十分です。鹿沼土を使用する場合は小粒を使い、ふるいにかけてみじんを取り除いておきましょう。
- 花が咲いていなくて元気な茎を10cmぐらい切り取る。
- 切り口付近の葉は全て取り除く。
- 植物活性剤(メネデール)を入れた水に20~30分くらい切り口を浸ける。
- 土に水やりをして濡らしておく。
- 指や割り箸で土に穴を空けて5cmくらいの間隔で茎を挿す。
- 根が生えてくるまで1〜2週間は日陰に置いて湿り気のある状態を保つ。
- 本葉が4~6枚出てきたら根を傷つけないよう注意して取り出す。
- 同じ種類の土を小鉢や9cmのビニールポットに入れて茎を挿し直す。
- 本葉が6~7枚になった頃に先端の芽を摘む。
- 約2ヶ月ほどで根が底から出てくるくらい育ったら苗として植え替える。
株分けの手順
株分けに向いているのは、宿根性のロゼッタタイプや宿根性の地下茎タイプの種類です。次に株分けの手順をご紹介します。4月の植え替えのタイミングで、株を手やナイフで複数個に切り分けます。後は通常の苗としてそれぞえを植え直すだけです。
株分け後は根がダメージを負っているので、肥料や水やりを施しすぎないように気をつけながら管理していきましょう。
サルビアの育て方のポイントは?
サルビアを元気に育てるポイントは気温と湿気です。15〜25度が適温なので、日本の真冬や真夏を苦手として場合によっては枯れてしまいます。できるだけ風通しと夏の日差しが当たらない場所で育て、水はけのよい土で乾燥させすぎないことが大切になります。
サルビアの花を楽しく育てよう
サルビアは比較的育てやすく、色も鮮やかなので、庭やベランダのガーデニングにおすすめの植物です。剪定や摘心で高低差をつけて育てたり、ダスティーミラー(シロタエギク)などと寄せ植えにしたりすると、サルビアの花色をより楽しむことができますよ。ぜひ、楽しみながらサルビアの花を育ててみてくださいね。
更新日: 2022年03月23日
初回公開日: 2015年06月26日