水辺や水中の風景を作り出す水草。色々な種類を植えると水槽の中が彩られるだけでなく、一緒に育てる熱帯魚がすみやすい環境を作り出してくれます。たくさんの種類がありますが、まず全般的な育て方を知っておけば応用がきいて、栽培の楽しみが広がりますよ。今回は、肥料の与え方やトリミングの方法など、初心者でもできる基本的な水草の育て方をご紹介します。
水草を育てるときに準備するものは?
水中で生息していますが、水草も植物なので光合成をします。光合成には、光と水、二酸化炭素(CO2)が必要です。水は水槽に溜めればよいだけですが、光やCO2は人工的に作り出す必要があります。また、水草が根をはれるよう、底砂と言われる土壌を準備します。
ライト
室内では、水草が育つとに十分な光量を確保することができません。また、光を浴びて光合成をすることで、水質が安定し、苔の発生を予防することができます。
ライトの形は、ポピュラーな据え置き型、吊り下げ型、スタンド型、水槽の枠に引っ掛けるタイプなど様々。水草の手入れで水槽へ手を入れるので、便利な吊り下げ型や引っ掛けるタイプがおすすめです。
二酸化炭素添加装置(CO2添加機器)
二酸化炭素添加装置とは、名前の通り二酸化炭素を水に追加するための装置です。二酸化炭素自体は、水道水に含まれているので、二酸化炭素を添加することで、水草の生長を促したり、光合成をしやすくしたりします。プッシュ式は比較的リーズナブルですが、長く続く趣味になりそうなら強制式がよいですよ。
底砂
底砂には、ソイルと砂利、セラミック、溶岩石と色々な種類がアリますが、ほとんどの場合ソイルを使っていきます。ソイルとは、水中に泥が舞わないよう粒状にして焼き固められた土です。あらかじめ肥料が含まれているものもあり、水質をコントロールする効果があります。
フィルター
水をろ過してきれいな状態に保つ装置です。設置場所によって上部フィルター、内部フィルター、外部フィルターと3種類あります。水草を育てるときは、添加した二酸化炭素を水の外に逃がさないよう、外部式のフィルターを使うのが一般的です。
水草の栽培!植え方は?
下処理
水槽内に貝や寄生虫を持ち込まないため、植える前に水草をきれいにします。洗面器やたらいに水道水を入れ、その中で水草をゆすります。そして、手でやさしく葉っぱに付いている苔や魚の卵などを取り除いておきます。その後、水を取り替えたら2~3日水草を水に浸けておきます。
植え方
- ソイルを水槽の底に敷く
- 水草が埋まらないくらい軽く水をはる
- 前景、中景、後景とレイアウトを考えて水草を植え付ける
- コットンや発泡スチロールの切れ端を水に浮かべ、そこへ静かに水を注ぐ
- 水に浮いている水草やゴミを網ですくう
- 浮いてきた水草を植え直す
- フィルター、二酸化炭素添加剤、ライトをセットし、起動する
- 3~7日ほどたって水がにごらなくなったら、熱帯魚やエビを入れる
水草の肥料の与え方は?
ソイルにあらかじめ肥料が含まれていれば問題ありませんが、無肥料の場合はソイルを敷くより先に肥料を敷いていきます。水槽の縁から3cmくらいスペースを空けて、肥料を均一に敷き詰めていきます。
そして、その上にネットを敷き、ソイルを被せていってください。その後は、水草の種類に応じて必要な肥料を与えます。ロゼッタ状の水草には、根元に植えこむ固形タイプ、茎から芽を出す有茎水草には液体肥料がおすすめです。
水草の育て方は、トリミングがポイント
水草を切りそろえていく作業がトリミングです。水槽の中は水草の育ちやすい環境です。そのため、草丈はどんどん高くなり、水上に葉っぱが出てしまったり、草姿が乱れたりしてしまいます。また、水草が水面近くで茂ると影が増え、草丈の低い水草の光合成を邪魔してしまいます。
切り方はシンプルで、水草を好みの高さに切っていくだけ。このとき、切断面が見えないように工夫すると見た目がきれいになります。ロゼッタ状に茂るものは外側の葉っぱを切り取り、ヘアーグラスのような前景向きのものは株元で切りそろえるといいですよ。
水草の増やし方は?
有茎水草
適当な長さのところで茎を切り、下部の葉っぱを落として底砂に挿しておけば節から発根します。もともとの株も、切った部分の植えから脇芽が生えてきます。
根生水草(ロゼッタ型水草)
ランナーを伸ばして子株を増やしていくので、自然と増えていきます。
着生水草
株分けで増やせます。葉が4~5枚付いた茎をカッターで切り取ったら、糸で石や流木に巻きつけていきます。
水草の育て方の注意点は?
水草は枯れて溶けてしまうことがあるので注意が必要です。これは、うまく環境に適応できていないことが原因です。
水草の種類によって性質は違い、育ちやすい条件も違います。光、水温、栄養がその水草と会っているかを考えることが大切です。
水草の栽培で苔を生やさないためには?
照明
照明時間が長くても短くても、苔は繁殖してしまいます。1日7~8時間くらいが照明を当てるのに適した時間です。
魚の過密
水槽の中の熱帯魚が多いと、エサの食べ残しやフンなど苔の栄養となるものが増えてしまいます。魚の数を適度に保つことが、苔を生やさない秘訣です。
直射日光
水槽に直射日光が当たってと、苔はどんどん繁殖します。なるべく直射日光の当たらない場所に置くか、カーテンなどで遮光してください。
きれいな水草の育て方を知ろう
アクアリウムは水草水槽は、きれいに植えられた水草が主役。どんなにレイアウトがよく、おしゃれでも、水草に元気がないとその魅力は半減してしまいます。健康でな水草を育てて、水の中の幻想的な世界を楽しんでくださいね。
更新日: 2023年04月12日
初回公開日: 2016年06月16日