アクアリウムは、園芸の1種です。水草や小石などを配置して、水槽の中に小さな水の世界を楽しめるのがテラリウムの魅力。そんなアクアリウムに欠かせないのが水草ですよね。今回は、そんな水草について前景、中景、後景の配置別におすすめな種類をご紹介します。
水草とは?どんな種類がある?
水草とは、淡水の水中や水辺に生育する植物の総称です。淡水の環境が必要なので、海藻など海の植物は、水草にはなりません。
輸入されてきた種類を合わせ、観賞価値の高い水草は、300種以上あります。その中から、庭園の池や水鉢、テラリウム、アクアリウムなど、利用合った水草を選んで育て、アクアリウムを楽しみます。近年では、熱帯魚の引き立て役だけではなく、、水草を主役にした新しい観賞スタイルが広がってきているんですよ。
水草の種類は?
水草の種類は、4つに分かれます。
- 浮水植物:水面近くに浮遊する
- 抽水植物:茎の一部や根が水中にある
- 沈水植物:体全体が水中にある
- 浮葉植物:水底に根を張り葉っぱを水面に浮かべる
これらは、もともと陸上に生えていた植物が水辺で生活するようになったことで進化した姿をしています。そのため、陸地の植物と同じように光と水を利用して二酸化炭素を吸収し、酸素を排出する光合成を行います。中にはルドウィジア・フローティングプラントのように、水上、水面、水中のいずれにも適応する水草もあるんですよ。
たとえば、ホテイアオイのように、浮き袋(フロート)を使って水面に浮かぶものは浮水植物です。マツモやクロモなど、根を持たず水の流れに身をまかせて生育するものは、沈水植物になります。
水草を選ぶポイントは?前景、中景、後景ってなに?
水草を選ぶポイントは、色、草丈、全体の大きさです。アクアリウムの水草は、水槽の手前から前景・中景・後景の3つの配置で植えられます。水槽はスペースが限られているので、高低差を考えてたレイアウトが大切になってきます。
前景や中景の水草は、草丈が低い種類がおすすめです。後景を高くすることで奥行き感と、華やかさがUPします。ただ、草丈が低い分、照明や日光が当たりづらくて弱りやすいので、光の角度や量を調節してください。
前景におすすめの水草の種類は?
グロッソスティグマ
グロッソスティグマは、前景草の代表種です。楕円形の葉っぱがどんどん生えていき、水槽の地面をじゅうたんのように覆い尽くしていきます。草丈も低く、葉っぱも明るい色合いなので、前景に植え付けることで水槽内を広く見せる効果がありますよ。ただ、肥料をたくさん必要とするので、植え付ける前に地面へ肥料をたっぷりと混ぜ込んでおきます。また、光が足りないと上に向かって伸びていくので、適度にトリミングして、量や高さを調節してください。
ショートヘアーグラス(マツバイ)
シュッとした細長い葉っぱを茂らせるショートヘアーグラス。水槽を草原のようなレイアウトに仕立てることができます。丈夫な性質で栽培自体は簡単ですが、苔の被害に遭いやすいので注意してください。また、地下茎でどんどん増えていくので、底砂へ肥料を施すように、CO2の添加もするとよく育ちますよ。
リシア
リシアは、美しい光景を作り出すことから人気がある前景草です。特に、葉っぱの先端に集まった気泡がかわいらしく、光が反射した姿は幻想的な世界を演出します。本来は、水面に浮いて育つ浮草であることから、大きく生長すると勝手に浮いてくるので、細かくお世話ができる方におすすめです。
ウィローモス
ウィローモスとは、クロカワゴケやミズキャラハゴケといったいくつかの水生苔の総称です。糸のような葉っぱを密集させて育ちます。流木や岩に活着する性質があり、繊細そうな見た目とは裏腹に丈夫な植物なんですよ。少ない光にも耐え、CO2の添加も必要ありません。また、手頃な価格で取り入れやすいこともうれしいポイントです。草丈を伸ばして、中景に利用する人もいますよ。
中景におすすめの水草の種類は?
アマゾンチドメグサ
まん丸の葉っぱが特徴のアマゾンチドメグサ。南米が原産で、水中や水面のどちらでも育てられ、幅広い水質になじむことも人気のポイントです。また、伸びすぎたところを切って別の場所に植え付けるだけで簡単に数を増やして楽しめます。ただ、肥料が足りないと枯れてしまうので、水の交換をするたびに液体肥料を与えてください。
ブリクサショートリーフ
中景草の代表格といえば、ブリクサショートリーフです。人気のある水草の1つで、10~15cmとほどよい草丈で景観を邪魔せず、幅広い水質でも生き延びる丈夫さを兼ね備えます。根を縦に張るので、底砂は厚めで敷くようにするのがポイントです。茂りすぎてきたら、株分けで数を増やせますよ。
クリプトコリネ
東南アジアを原産とするクリプトコリネは、サトイモ科の水生植物です。特徴は、ロゼッタ状に広がって生長し、インパクトのある姿葉っぱを茂らせること。丸みのある葉っぱが特徴のクリプトコリネ・ウエンティー、葉っぱにツヤのあるクリプトコリネ・ペッチーが人気です。
環境が変わると葉っぱが溶ける性質をもっているので、注意してください。根が残っていれば新しい葉っぱが生えてくるので、葉っぱが溶けたときは確認してみましょう。
後景におすすめの水草の種類は?
アマゾンソード
水草を販売しているところなら必ずといってよいほどよく見かけるのが、アマゾンソードです。草丈は15cmほどに生長し、先の尖った幅広の葉っぱをロゼッタ上に茂らせます。葉っぱ1つ1つに存在感があることから、ダイナミックなレイアウトを作ることもできます。また、育てるのが簡単で、肥料をたっぷり施した底砂に植え付けて、光をしっかりと当てるよう設置するば、CO2の添加は必要ありません。
ロタラ
ロタラ・インディカは、紅葉しているかのような葉姿が印象的な水草です。光量を強めにして弱酸性の軟水で栽培すると、美しいワインレッドの葉色に仕上がります。明るい緑色の葉っぱを持つグリーンロタラなら、後景への植え付けにおすすめ。初心者でも取り扱いやすい品種の1つです。
ウォーターバコパ
北アメリカを原産とするウォーターバコパは、絵が水中にあり、茎葉を水面に浮かべる多年草です。水面に向かってまっすぐ茎を伸ばすことから、後景に植え付けると水槽内のアクセントになります。丈夫な性質で、特に手間はかかりませんが、日当たりの悪い場所だと弱い株に育って見た目が悪くなります。
メダカと相性のよい水草の種類は?
アクアリウムを作るとき、一緒にメダカを飼育したいという人も多いのではないでしょうか。メダカは、の排泄物は水草の栄養になり、水草はメダカに必要な酸素を作り出します。
たくさんある水草の中で、特にメダカと相性がよいのは、アナカリスやウィローモスです。どちらも丈夫で、手入れの手間がほとんどかかりませんよ。特にアナカリスは、メダカの産卵場所にも最適なんです。
いろいろな種類の水草を育てよう
水草で作ったアクアリウムや水草水槽があると、室内にいながら水辺のすがすがしい雰囲気が感じられます。またおしゃれなインテリアグッズとして、飾る場所を選びませんよね。また、水の中でゆらめく水草など自然の営みには、アクアセラピーやアニマルセラピーの効果も期待できますよ。癒やしを求めているなら、色んな種類の水草を育てて、自分だけのアクアリウムを作ってみてください。
更新日: 2022年09月01日
初回公開日: 2016年06月17日