水の中に植物を浮かべると、涼しい雰囲気を演出することができますよね。水槽や池でないと楽しめないイメージが持たれがちですが、気軽な気持ちで楽しむことができます。ただ、好む環境や水の量は様々。そこで今回は、水生植物の種類や育て方をご紹介します。
水生植物とは?
水生植物とは、湿地や沼、川岸など淡水の水中または水面に生息する植物の総称で、種で増える種子植物と、胞子で増えるシダ植物、コケ類を含みます。「水草」と呼んだ方が、なじみがあるかもしれません。日本には500種ほど生息しているとされ、世界中の植物の約2%が水生植物だとされています。
植物はもともと、水の中で生活していたものが進化して陸上生活に適応できるようになりました。しかし、水生植物は、進化の過程で再び水の中に戻っていったとされています。その名残として、水面に花を出すものや、水の中で受粉できる仕組みを持っているものがいます。また、水の中で光合成もできます。
水生植物の種類と育て方は?
生息環境の違いから、水生植物は「湿地性」「抽水性」「浮葉性」「浮遊(浮水)性」「沈水性」の5つに分類されています。いずれの場合も、鉢植えと水をためる容器を用意し、適した量の水を与えれば、簡単に育てることができますよ。
以下にそれぞれの特徴と簡単な育て方をまとめました。
1. 湿地植物
根元だけが水に浸るところに生育している種類で、常に水に浸かっていなくても育つことができます。陸上の生物と生え方はあまり変わりませんが、根が水の中で呼吸できる仕組みを持っています。
鉢植えの底が少し水に浸かる程度の水位で育てます。地植えもできますが、その場合は土が乾燥しないように注意しましょう。
上の写真は水芭蕉ですが、湿原に咲き乱れる白い花として人気があります。
● 代表的な植物:水芭蕉、イグサ、サワギキョウ、ミズカンナ、サギソウ
2. 抽水植物
根が水中にあり、茎や葉っぱを伸ばして水面に出します。背の高くなるものが多く、川や池などの水辺を広く覆う植物が多いです。
植木鉢の半分から株元くらいまでが水に浸かるようにします。地植えの場合は、植物全体が水に沈みこまないよう水位を調節してください。
● 代表的な植物:葦(アシ)、ガマ、ヨシ、ミズアオイ、フトイ、カキツバタ
3. 浮葉植物
水の底に根をはり、長い茎を伸ばして葉を水面に出して浮かべる植物のことです。花も水面に咲くものが多くあります。
植木鉢を水に完全に沈め、葉が水面に浮くように水を入れます。葉っぱが水の中に沈んでしまうと生長が鈍ってしまいます。
上の写真は睡蓮ですが、白やピンクの花を咲かせます。
● 代表的な植物:睡蓮、アサザ、ウォーターポピー、ミズヒナゲシ
4. 浮遊(浮水)植物
葉に浮袋があることで水面に出ることができる植物で、株全体が水に浮かんでおり、根をはらずに漂って育ちます。水害で流されやすい危険性がありますが、その分繁殖力が旺盛なものが多いです。
植物自体が水に浮くよう、容器にたっぷりと水を入れて浮かせます。あまり混みあわないように、数は控えめにして管理しましょう。
● 代表的な植物:ホテイアオイ、ボタンウキクサ、サンショウモ、ウォーターレタス
5. 沈水植物
根を水の底にはり、株全体が水に沈んだまま育つ種類です。中には、花も水の中で咲かせるものもありますが、多くは茎を伸ばして水の上に花を咲かせ、受粉後に種を水中に散らして増えます。
植木鉢を完全に水に沈めて育てます。数が増えて混みあったときは、間引きながら数を調節してください。
● 代表的な植物:クロモ、セキショウモ、カボンバ、フセモ、エビモ
水生植物の土作り・水の管理・肥料の与え方は?
土作り
多くが水もちのよい粘土質の土を好みます。田んぼの土といわれる荒木田土か、赤玉土(小粒)と黒土を水でねったものを使うのがおすすめです。もしくは、市販の水生植物専用なら、あらかじめ肥料も配合されており、手軽にはじめることができます。
水の管理
それぞれの植物に適した水の量を維持するようにします。特別な水を準備する必要はなく、水道水でかまいません。
肥料
水生植物専用の化成肥料か、骨粉と油かすなどの有機質な肥料を与えます。ただ、肥料が根に触れると枯れてしまうので、少し離れた場所に埋め込みましょう。肥料が多いとアオコやアオミドロを発生させ、光合成の妨げになるので注意してください。また、一緒にメダカなどの生き物を飼育する際は、強い肥料は避けます。
水生植物で癒やしの空間を演出
水鉢を使ったウォーターガーデニングは、癒やしの空間を演出することができます。色々な種類の水生植物とメダカなどを一緒に育てれば、今流行しているビオトープを作って楽しめますよ。自分の気に入った水生植物をみつけてみてくださいね。
更新日: 2021年03月24日
初回公開日: 2015年10月22日