蓮は、土に植えてから水に沈めるという変わった栽培方法で育てる植物です。とはいっても、決してむずかしいものではなく、もともと日本の気候に適した植物なので、お庭やベランダでも簡単に楽しめますよ。野菜として利用されているレンコンは大型に育つ蓮の根茎ですが、とくに花付きの良い小形の蓮が花蓮として親しまれています。
今回は、そんな蓮の植え付け・植え替えの時期と方法など育て方をご紹介します。
蓮(ハス)の育て方のポイントは?
水のたっぷりと溜められる容器(水鉢)に植え付け、日当たりのよい場所で育てるのがポイントです。
また、常に水の中に沈めて育てるため、水の量や状態をチェックすることが大切です。特に春~夏にかけては生育が活発になる時期で、水分も蒸発しやすいことから、たくさんの水を必要とします。
1日家を留守にするだけでも、水がなくなってしまうので注意してください。また、日当たりが悪いと、花が咲かなくなってしまいます。
蓮(ハス)の根茎の植え付け時期と方法は?
根茎(レンコン)の植え付け
根茎(レンコン)は3~4月が植え付けの適期です。直径20~40㎝程の水の溜められる容器(水鉢)に半分から2/3程まで土を入れ、新芽を斜め下向きにして浮き上がらないようしっかりと植えつけます。このとき、鉢の中央ではなく、鉢のフチに沿うようにして植えつけます。
そして、水を鉢の縁までたっぷりと注ぎ、日当たりがよく、暖かい場所に置きます。水に沈めるという栽培方法なので、地植えはしません。
最近では4~5月頃に4号サイズのポット植えの苗も出回るようになりました。根茎の植え付けと同様に用意した水鉢に植えつけますが、ポットから抜いた苗の根鉢を崩さないよう植えつけます。
蓮(ハス)の種まきの時期と方法は?
蓮は種からでも育てることができます。蓮の種は固く丈夫なので、何年経ったものでも、新しく育て始めることができるという特徴があります。
まずは、種の尖っていない方をヤスリなどで1mmほど削ります。中の薄い皮が見えてきたら、水をはった容器に入れてください。数日で芽が出て、ぐんぐんと伸びていきます。
2週間ほど経つと葉が出て、根も伸びてくるので、ポットに植え替えます。土作りや水やりは次の項を参考にしてください。
蓮(ハス)の土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
水もちのよい粘土質の土を好みます。荒木田土や田土、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の土に苦土石灰を混ぜあわせたものを使いましょう。
水やり
容器や鉢の水を、蒸発した分だけ継ぎ足していきます。目的は2つあって、水温を高くするためと水中のバクテリアを増やすためです。
水を頻繁に入れ替えてしまうと、水温が下がり、かつバクテリアや有機物を分解する微生物が大量に失われ、水が腐りやすくなってしまいます。水を交換するのは、植え替えのときだけにしましょう。
肥料の与え方
植え付けるときに、ゆっくりと効く緩効性化成肥料(リン酸の多すぎるものは避ける)を土に混ぜ込んでおきます。その後は、4~9月の間、月に1回睡蓮・蓮の肥料か、大粒の化成肥料を土の中に押し込んで与えます。
蓮(ハス)の剪定の時期と方法は?
葉っぱが水面に茂りすぎ、茎に光が当たらないと枯れてしまいます。変色した茎や茶色くなった葉は早めに取り除き、株元に日が当たるようにしましょう。
蓮(ハス)の増やし方!株分けの時期と方法は?
蓮は株分けと種まきで増やすことができます。種まきの時期や手順は、植え付け時と同様です。10月頃に採取した種を、1週間ほど陰干ししてから次の春まで保管してください。
株分けは、3~4月に行います。塊茎を掘り上げ、丁寧に水洗いしたら、先端に新芽のついたところを選んで3~4個に切り分けましょう。そして切り口に消毒薬を塗ってから、植え付け時と同様の手順で土に埋めます。
蓮(ハス)の植え替えの時期と方法は?
根をよくはるので、放置すると茂り過ぎで咲かなくなります。必ず毎年、3~4月に株分けして植えなおしましょう。
鉢をひっくり返して株を取り出し、古い土と腐った根を取り外し、先端の太ったレンコンを切り取ってこれを植えつけます。長さは2~3節あれば十分です。太ったレンコンがなくても、白くて元気であれば細長い地下茎でも同様に扱えます。
株分けしてすぐに植えられないときは、湿った土に埋め込んでおくか、水の中に入れておきます。
蓮(ハス)の育て方で注意する病害虫は?
腐敗病
地中にひそむ菌が地下茎へと侵入し、根、葉、茎を腐らせる病気です。乾燥が引き金になって菌が繁殖するので、容器の中に水を十分に注いでおきましょう。
鉄欠乏症
鉄分が不足すると上の葉から黄色く変色し、その後白っぽくなっていきます。土がアルカリに偏り過ぎたりリン酸分を与えすぎたりすると起きることがあります。
放っておくと光合成ができず枯れてしまうので、微量の栄養素を含んだ肥料を与えてください。また、太めの釘を沈めておくのも効果があります。
ボウフラ
梅雨時期から秋にかけて発生しやすい蚊の幼虫です。蓮の栽培で最も悩まされる害虫で、産卵を防ぐことが難しく、増殖するとやっかいです。同じ容器にメダカを飼うと成虫になる前に食べてくれるのでおすすめですよ。
アブラムシ
4~6月の生育期に発生しやすい害虫で、新芽や茎葉に針を挿して栄養を吸い取って弱らせます。見つけたらすぐに殺虫剤を散布して駆除しましょう。
オルトランDX粒剤を2週間に一度、水中に撒いておくとアブラムシが付かなくなります(ボウフラも発生しにくくなります)。
蓮(ハス)の育て方を楽しもう
蓮は、一緒にメダカやエビ、タニシを育てることができます。メダカは、害虫のボウフラの幼虫をたべてくれるので、共存させたい生き物です。
ただ、化成肥料や農薬はメダカなどに害を与えてしまう可能性があるので、与えるときには成分表示に注意してください。魚類を一緒に育てると、蓮の花の涼しげな雰囲気を一層楽しむことができますよ。
更新日: 2022年03月23日
初回公開日: 2015年10月21日