ウチョウランは、短い茎の先に淡い紅紫色の花をいくつも連ねる美しい花です。見頃を迎える初夏になると、鉢花として色とりどりの品種が出回ります。見た目のかわいらしさから人気があり、たくさんの園芸用の品種が手頃に購入できますよ。今回は、そんなウチョウランの育て方について、球根の植え方や花言葉などをご紹介します。
ウチョウラン(羽蝶蘭)の花言葉は?
『静かな愛情』『技巧的』
「静かな愛情」という花言葉は、山地の岩場や崖の急斜面といった過酷な環境の中で、可憐な花を咲かせる姿から付けられました。「技巧的」は、特徴的な花の姿に由来しています。
ウチョウラン(羽蝶蘭)の学名・原産国・英語
- 学名
- Ponerorchis graminifolia
Orchis graminifolia
- 科・属名
- ラン科・ハクサンチドリ属
- 英名
- grass-like leaved orchid
- 原産地
- 日本、朝鮮半島
- 開花期
- 5〜8月
- 花の色
- 紅紫、濃紅、白
- 別名
- –
ウチョウラン(羽蝶蘭)とは?どんな花を咲かせる植物?
ウチョウランは、日本、朝鮮半島を原産とするラン科・ハクサンチドリ属の多年草です。本州から九州にかけての谷川沿いの岩壁などに自生をしている山野草として知られています。ただ、残念なことに、最近では野生のウチョウランはほとんど見かけません。
1~3cmほどの小さな球根から、1本の細い茎を生やします。そこには、笹のように細長い葉っぱが2~3枚ほど付きます。この葉は、4月頃に芽吹き、11月頃に枯れるというサイクルを毎年繰り返します。そして、5~8月になると小さな花を茎先にたくさん咲かせます。この花の形が羽を広げた蝶のようであることから、名付けられました。
ウチョウラン(羽蝶蘭)の育て方のポイントは?
午前中は日向になる風通しのよい場所に植え、雨に当てないように育てることがポイントです。ウチョウランはもともと岩の多い急斜面に生息していることから、夏の暑さが苦手です。また、水が多すぎると、根腐れを起こすので注意してください。
ウチョウラン(羽蝶蘭)苗植えの時期と方法は?
ウチョウランを種から育てるには、ラン菌を取り込む必要があることから、とても手間がかかります。そのため、苗から育てるのが一般的です。
苗の植え付けは、2~3月か11月が適期です。暑さに弱く、自然環境下では管理が大変なので、鉢植えにしていきます。2号鉢に1球、3号鉢に3~5球が植え付けの目安。桐生砂1:硬質鹿沼土1:軽石1を混ぜあわせたものか、水苔単体など、水はけのよい土がおすすめです。
- 鉢の中に水苔や土を7~8割ほど入れる
- 鉛筆などで土に穴を空ける
- 球根を穴へ差す
- 球根を地表から5~10mmのところに埋める
※水苔を使うときは、表面に鹿沼土やボラ土などを敷くと土の乾き具合が
ウチョウラン(羽蝶蘭)の土作り、水やり、肥料のタイミングと方法は?
水やり
冬以外は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして育てていきます。一方冬は生育が止まるので、月に1回くらいまで水やりの回数を減らします。冬に水をたくさん与えてしまうと、球根が腐ってしまうので注意してください。気温が20度前後になって、霜の心配がなくなったら水やりを再開するとよいですよ。
肥料
4〜6月に、三要素等量配合の緩効性肥料を月に1回施します。2〜3号鉢なら一つまみ程度の量を施します。9~10月には、リン酸主体の液体肥料を2000倍くらいに薄めたものを月に2〜3回水やりがわりに与えます。
ウチョウラン(羽蝶蘭)の植え替えの時期と方法は?
植え替えは毎年、2~3月頃に植え替えをします。新芽が伸び出す前に行うとよいです。芽や根が伸び出してきているときは、折れると再生しないので気をつけてください。植え替えの手順は、植え付け時と同じです。
ウチョウラン(羽蝶蘭)の栽培で注意する病気や害虫は?
ウチョウランは、ウイルス性の病気や、軟腐病、立ち枯れ病にかかりやすいです。ウイルス病にかかってしまうと、葉がよじれたり、細かい黒い斑点ができたりして、生育が衰えてしまいます。
病変が出ると治療はできないので、株は廃棄するほかありません。株が蒸れることで病気にかかりやすくなるので、土が乾いてから水やりをし、風通しのよい環境を作っていきます。乾燥しやすい素焼き鉢を使うのも1つの方法です。
ウチョウラン(羽蝶蘭)は育て方の簡単なラン
ウチョウランは愛好家も多いことから育種が進んでおり、花付きのよいものや形、色が特徴的な園芸品種がたくさんあります。原種を見る機会は少ないものの、出回っている園芸品種は強く育てやすいものばかり。ランは育て方がむずかしいので手をつけづらい…と感じている方は、ウチョウランからはじめてみてください。
更新日: 2021年07月14日
初回公開日: 2016年07月06日