控えめな姿から花壇の寄せ植えに重宝されるムスカリ。青い花を房状に咲かせることから、「ブドウヒヤシンス」とも呼ばれます。ヒヤシンスとは近縁に当たり、地植えや鉢植えだけでなく、水栽培も楽しむことができますよ。今回は、球根の植え方や水栽培の方法など、ムスカリの育て方をまとめました。
ムスカリとは?どんな花が咲くの?
ムスカリは、丸い壺形の小花が、ブドウの房のように密集して咲鮮やかな青紫色の花です。
ムスカリ属には青色やむらさき色以外にも、白色や香りの強い品種も。また、花房の上部と下部で色が異なる2色咲きなど、40~50種もの品種があります。
ムスカリの種まきと球根の植える時期、方法は?
球根の植え付けは、9~10月が適期です。これ以降に植え付けると、茎が伸びず、コンパクトな株に仕上がります。
鉢植え
直径15cmほどの5号鉢を準備し、深さ3~5cmのところに球根を4~6球植え付けます。鉢の中央に密集させて植え付けると、株がまとまりますよ。
地植え
日当たりと水はけのよい場所に、株同士の間隔は5~15cmほど空けて植え付けましょう。深さは鉢植え同様、3~5cmほどが適当です。グランドカーペットにするなら、球根同士の間隔をあまり空けないのがおすすめです。
種まき
種まきは、採種した後にまくので11月頃になります。種から育てると花を咲かせるのに3年ほどかかり、また霜に当たると枯れてしまうので、冬は温かい屋外か暖房を使わない室内で管理するのがおすすめですよ。
ムスカリの土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
水はけがよく、栄養分の多い土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜあわせたものか、市販の草花用培養土がおすすめです。酸性の土を嫌うので、地植えにするときは植え付ける2週間前に土を耕し、苦土石灰を混ぜ込んでおきましょう。
水やり
鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。花が咲き終わった後は休眠期に入るので、水やりは必要ありません。また、地植えは土が極端に乾いていないかぎり、水やりはしなくて大丈夫です。
肥料
植え付けるときにゆっくりと効く緩効性化成肥料を土に混ぜておきます。そして、花が咲き終わった後の5月に、植え付け時と同様の肥料を与えるか、10~15日に1回液体肥料を与えて球根を太らせましょう。
ムスカリの育て方で注意する病気や害虫は?
白絹病
水はけが悪いと発生しやすい病気で、感染すると株元や土が白い絹状の繊維で覆われます。一度感染すると治療できないことから、株は抜き取って焼却処分します。
また、土から他の植物に感染するので、一緒に植えているものは他の場所に移し、土は日光で消毒します。高温で湿度が高い6~8月に発生しやすいので、この時期の水やりは控え、乾燥気味に育てましょう。
ムスカリの花が終わった後の手入れは?
ムスカリのような球根植物の多くは、掘り上げて球根を休眠させますが、ムスカリは植えっぱなしでも毎年花を咲かせます。ただ、花を咲かせるためには、球根の栄養を保つ必要があります。
種がつくと栄養が奪われてしまうので、咲き終わった花は順次摘み取っていきましょう。また、全ての花が咲き終わったら、茎を付け根から切ってしまいます。植えっぱなしの株の茎は伸びすぎてしまうので、3月頃に短く刈り込んでしまうときれいにまとまりますよ。
この作業が面倒なら6~7月に球根を掘り上げて、涼しく風通しのよい場所で保管し、秋にまた植え付けてもかまいません。
ムスカリの球根は掘り上げた方がいい?
植えっぱなしにしておくと、球根が増えて窮屈になってくるので、2~3年おきに掘り上げて植え替えます。植え替えの手順や時期は、植え付け時と同様です。植え替えることで、土に養分が補給され、株が元気になりますよ。
ムスカリの球根の掘り上げ方と時期は?
ムスカリは6~7月に球根を掘り上げると、親球根の回りに小さな球根がついています。この小さな球根をつけたまま秋まで保管し、植え付け時に手で引きはがして別々に植えると、株を増やすことができるのです。
ムスカリの水栽培(水耕栽培)の方法は?
水栽培とは土の代わりに水などの液体を使って植物を栽培する方法です。別名、「水耕」「水耕法」「ハイドロカルチャー」などと呼ばれることもあります。ムスカリの水栽培をはじめるのに適した時期は、10〜11月です。古い水につけておくと球根も傷むので、水は毎日取り替えてください。
水栽培は土に植えるのに比べて養分を作る力が弱いので、翌年は花を楽しむことができません。ヒヤシンスの水栽培と育て方は一緒なので、参考にしてみてください。
水栽培の方法
1. 透明な容器に水を入れ、球根のお尻が水に接するようにセットする
2. 根が伸びるまで、暗い場所で管理する
3. 根が伸びてきたら、球根と根の間にすき間を空けるように水位を減らし、明るい場所に移す
ムスカリの育て方のポイントは?
涼しくなってから植え付けるのが、ムスカリを美しく育てるコツです。早く球根を植えてしまうと、葉が伸びすぎてしまいます。遅く植えると草丈が十分に伸びないことも。適期を逃さないようにしましょう。
ムスカリの球根は掘り上げて植え付けよう
ムスカリの花は、花壇の縁どりや寄せ植え、ハンギングなど様々なシーンで活躍してくれる名脇役です。球根の植え付ける時期によって、草丈を調節できるのも魅力ですよね。
植えっぱなしでも毎年花を咲かせてくれます。手間がかからず、育てやすいことが、ベテランから初心者にまで愛される理由なのかもしれませんね。
更新日: 2023年05月24日
初回公開日: 2015年10月14日