夏の暑さが落ち着き始めたころからガーデニングを始めよう、と思っている方におすすめしたいのがビオラです。開花期間が長く病害虫にも強い特徴をもち、ガーデニング初心者向きの草花として人気があります。今回はそんなビオラの育て方について、苗植えや水やりの仕方、肥料の与え方、剪定の時期や方法などをご紹介します。
ビオラとは?どんな花を咲かせる草花なの?
ビオラとはスミレ科・スミレ属の一年草です。寒い季節を好み、冬に花を咲かせる数少ない草花として知られています。
数cmほどの花びらを3枚ほどつけ、草丈は10〜30cmと小さめ。花をたくさん咲かせることから花壇の足元を覆ったり、プランターでボリューム感を出したいときにおすすめの植物です。
ビオラの育て方のポイントは?
ビオラの育て方には、種まきと苗植えの2通りがあります。苗から育てる方が簡単で、早く花を咲かせられるので初心者の方にはおすすめです。
また、上手にビオラを育てるには「寒くなる前に苗を植えること」と「日当たりと風通しのよい場所を選ぶこと」の2つが栽培ポイントになります。
ビオラの育て方!種まき、苗の植え方や時期は?
ビオラの苗を植えるなら10~11月が適期です。10月よりも前に植え付けてしまうと、気温が高いことから茎が長く伸びてしまい、枯れてしまう恐れがあるので注意してください。種まきの時期は、8月下旬〜9月末頃です。
苗を用意する前には「パンジー・ビオラ専用の土」と植木鉢を準備しておきましょう。5号鉢に苗1つが目安です。
苗植えの手順
- 鉢の底が見えなくなるくらい鉢底石を敷く
- 土を入れて苗より少し大きめに穴を掘る
- 苗を逆さまにしてポットから取り出す
- 苗の根を手でほぐして土を崩す
- 鉢の穴に苗を置き、周りに土を入れてすき間を埋める
- 水やりをして涼しい日陰で管理する
種まきの手順
- 種をまく容器を用意する
- 8月下旬〜9月末頃の気温が約20度の時期に種をまく
- 1粒ずつ重ならないように種を横向きに置いて薄く土をかぶせる
- 土が乾燥しないよう霧吹きなどで定期的に水を与える
- 風通しのよい場所で発芽をまつ
- 発芽したら明るい日陰に移動させる
- 土が乾燥したら水やりを行うようにする
- 本葉が2~3枚でてきたら苗植えと同じ手順で苗を植え直す
ビオラの育て方!水やりの仕方や肥料の与え方は?
ビオラの苗を植えたあとは定期的なお手入れによって栽培を管理していきましょう。水や肥料を与えるポイントをご紹介します。
水やりの仕方
土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えてください。水が切れると弱ってしまうので、気をつけてくださいね。
真冬の間や北国では、早朝や夕方に水やりをすると土が凍ってしまうので、午前中の気温が上がってくるタイミングに水やりを行うようにしてください。
他の地域では日が昇る朝方か夕方など、気温が落ち着いている時間帯に水やりをしましょう。
肥料の与え方
パンジー・ビオラ用の培養土を使っていない場合は、苗を植える前の土にマグァンプKやフローラマック-Bなどの緩効性肥料を混ぜておきましょう。
苗を植えてから冬までの間、肥料を与える必要はありません。花が咲いてきたら水で薄めた液体肥料を月に2~3回程度与えてください。
ビオラの育て方!剪定や切り戻しの方法は?
ビオラの花が咲き始めたあとにもお手入れは必要です。伸びすぎた茎を切ったり(剪定)、花を摘んだり(花がら摘み)することで、長期的に開花した状態を維持できます。
剪定、切り戻し
ビオラは花期が長いので生長しすぎてしまい、伸びた茎が倒れたり、枯れたりしてしまうことがあります。そのため、定期的に切り戻しを行い、株をよい状態に保ってあげることが大切です。
間延びしてしまった茎は、たとえ花がついていたとしても根本から切り取ってしまいましょう。切り戻した後に追肥をしてあげれば、また花を咲かせてくれますよ。
花がら摘み
ビオラは花が枯れるとすぐに実をつけて種を作ります。種ができるまで枯れた花を放っておくと栄養素を種の生成に使ってしまい、他の花が弱ったり早く枯れてしまうことにつながりかねません。
そのため咲き終わった花は早めに摘みとりましょう。花茎の元をねじって摘み取るとスムーズにとれますよ。花を積むのはかわいそうな気がしますが、株が疲れないようにしてあげることで、また新しい花を咲かせてくれます。
ビオラは植え替えが必要?
一年草のビオラに植え替えの必要はありません。真夏の季節に枯れてしまえば、その苗はおしまいです。もし翌年もビオラを植えたいと思っているのであれば、種を回収しておきましょう。秋に種まきをすれば、またビオラを育てることができます。
ビオラの花が枯れたら、種まき用の種を集めておこう
ビオラの花が枯れたら花を摘み取るか、根元から茎を切りとってあげましょう。また、翌年以降もビオラを育てたいなら、種を回収し、秋に種まきをするのがおすすめです。
ビオラの種は、花が咲いた後にできる実の中に入っています。ぷっくりと膨らんだ緑色の実で、先っぽに雌しべがついています。ビオラの種ができるのは、萼(ガク)の根元で、花が枯れるにつれて、萼(ガク)の根元にある子房がぷっくりと大きくなってきます。
萼(ガク)の部分にある硬いものが種なので、摘み取って保存しましょう。
ビオラの育て方に慣れてきたら寄せ植えにチャレンジしよう
ビオラはよく他の植物と合わせて育てる「寄せ植え」に利用されることがあります。土を隠す役割に草丈が低くて花数が多いビオラがぴったりだからです。
寄せ植えを成功させるコツは、生育環境が似ているものや花の咲く季節をあわせること。ビオラは数千の品種があるので、冬から春に花を咲かせる植物と相性がよいです。
寄せ植えの方法自体はそれぞれの植物の苗植えと変わりません。例えば、あえて草丈の低いパンジーと組み合わせたり、生育環境が似ているストック、開花期がかぶるチューリップとの寄せ植えだったりが一般的には有名です。
ビオラの育て方で注意する病気や害虫は?
アブラムシ
新芽や葉の裏にアブラムシがつくことがあります。アブラムシは薬剤に弱いので、オルトランなど有効な殺虫剤で退治しましょう。薬剤を使用したくない場合は、かなり根気を必要としますが手で取り除く方法もあります。
ヨトウムシ
葉を食べてしまうヨトウムシは、夜間に活動し昼間は土中や葉裏に隠れているのでなかなか見つけられません。葉の裏に卵が産みつけられているのを見つけたら、その時点ですぐにとってしまいましょう。また、成虫になってからでは薬剤が効きにくいので、予防のために殺虫剤を散布しておくと安心です。
菌核病
茎が黒くなり枯れてしまうのが菌核病です。被害にあったらすぐに株ごと抜き取って焼却処分し、すぐに土壌殺菌剤を散布してください。種類にもよりますが菌核は土の中で長年生き続けるので、同じ土に植えてはいけません。
ビオラの育て方は、種まきと苗の植え方が大事
可憐は花を咲かせるビオラは、丈夫で育てやすく、寄せ植えにも向いている人気の高い花です。多彩な花色を持ち、フリンジ咲きやラビットタイプなど花の形も様々なので、1品種だけ植えても花壇を華やかにしてくれますよ。
そんなビオラの花を長く咲かせるポイントは、花がらをこまめに摘み、間延びした茎は剪定することです。上手に種まきと苗を植えて、長く楽しめるといいですね。
更新日: 2023年05月23日
初回公開日: 2015年06月19日