ゆずは、果肉や果汁だけでなく、皮や種など実のあらゆる部分に体によい様々な栄養が含まれています。古くから日本人に親しまれていたのも、その効果効能を見れば納得です。今回は、種や苗からの栽培方法や剪定の時期など、ゆずの育て方をご紹介します。
ゆずってどんな果樹?育て方は簡単なの?
ゆずは、5月頃から花を咲かせはじめ、その後に緑色の実をつけます。実の色が7~8割ほど黄色くなってきたら、収穫の時期です。完熟前に収穫する「青ゆず」は7~10月頃に収穫し、完熟した「黄ゆず」は10~12月頃に収穫され、市場に出回ります。
奈良時代から栽培の記録が残るゆずは、日本の風土に合った育てやすい果樹の一つです。耐寒性は柑橘類の中で最も強く、東北地方でも育てることができます。
庭や鉢植えで育てると、さまざまな料理に利用したり、香りを楽しみ身体を温める入浴剤など手軽に生活の中で楽しむこともできるでしょう。
開花時期 | 5月〜6月頃 |
収穫時期 | 10月〜12月 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
ゆずの木の苗の植え方!鉢植えの育て方は?
土の作り方
水はけと水もちのバランスがよい土を好みます。ゆずの木を庭に地植え栽培する場合には、植え穴にバーク堆肥や腐葉土、牛糞堆肥などを混ぜ入れて植えます。鉢植え栽培では、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜた土か、市販の果樹用培養土がおすすめです。
苗を植える時期
春の兆しが訪れる2月下旬~4月がゆずの苗植えの適期で、地植えか、鉢植えにして育てます。いずれの場合も、根元のこぶのような部分(接木部分)が隠れないよう浅く植え付けるのがポイントです。
鉢植え栽培する場合には、苗よりも1回り大きな鉢を準備し、根を軽くほぐして、太い根があれば軽く切り詰めて、新しい根の発生を促すようにしてから植えましょう。
ゆずの木のお手入れ!水やりや肥料の与え方は?
ゆずは乾燥にも強い柑橘類ですが、降水量の多い地域の方がより香りの豊かな果実がなるといわれます。土の表面が乾いたら、鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。地植えの場合にも、しばらく雨が降らない日が続いたら、水やりをするようにしましょう。
ゆずの木へ与える肥料は、油かすなど有機質の肥料か、液体肥料などの速効性化成肥料がおすすめです。3月、6月、10~11月の年3回与えましょう。
ゆずの木の栽培で注意する病気や害虫は?
「ハモグリバエ」という葉っぱを食べてしまう幼虫に注意が必要です。被害の跡が絵を描いたような模様になることから、「エカキムシ」とも呼ばれます。
大量に発生すると食べ尽くされてしまうので、被害にあった葉は切り取って処分し、殺虫剤を散布して駆除しましょう。
また、カビが原因で発生するソウカ病に注意が必要で、ソウカ病にかかると葉は落葉し、果実も落下してしまいます。見つけたらベンレート水和剤を木全体に散布しましょう。
もし薬をできる限り使いたくない場合には、普段からよく葉裏や枝などをよく観察し、病害虫の被害を受けているのを発見したら、すぐに葉を取り除くなど早期発見に努めましょう。
ゆずの木の植え替えの時期と方法は?
ゆずの木は根詰まりをすると生育が悪くなって枯れてしまうため、鉢植え栽培なら2~3年に1回ほど、1回り大きな鉢に植え替えます。手順や時期は、植え付けと同じです。
ゆずの果実を大きくしたくないときは、鉢から根を引き抜き、底と側面の根を3~5cmほど切り落とします。根を1回り小さくしてから元の鉢に戻してください。このとき、鉢と同じくらいの高さに幹も切り戻すと、生育が緩やかになります。
ゆずの木の剪定の時期と方法は?
「桃栗3年柿8年、ゆずの大馬鹿16年」とか「ゆずは9年でなりたがる」という言葉があるように、本来、ゆずは実がなるまでに非常に時間がかかるものでした。最近では、カラタチ台木の接木苗が流通しているため、庭植えでも4年くらいで実をならすことができます。
ゆずの木は育てはじめてから4~5年ほどは、ほぼ剪定をしなくても良いです。ただし、鉢植えの場合には、2年目から若木を誘引して3本主枝で開帳させると樹勢が安定し、早く実がなります。
ゆずの木の剪定に適した時期は3〜4月頃です。ゆずは夏頃に実をつけて、10月から12月頃が収穫時期です。その後、12〜2月頃に今年伸びた枝に「花芽」ができるため、それを確認してから切ると良いでしょう。
また、ゆずには実がつく枝とつかない枝があります。今年実がついた枝には来年は実がつかず、今年実がつかなかった枝に来年実がつくことを繰り返します。そのため、「今年実がついた枝を切り、今年実がつかなかった枝はできるだけ切らない」ようにします。
ゆずの木の増やし方!接ぎ木の時期と方法は?
ゆずは、接ぎ木で数を増やします。3月中旬~5月か、8月が適期です。カラタチの木や、種から育てた苗木を土台(台木)として使います。
1. ゆずの枝の先端から10~15cmほどのところから、30~40cmのところを水平にカットする
2. 幹の方の枝の先端が、35度くらいの三角形になるよう左右をカットし挿し穂が完成
3. 土台となる木(台木)を根元から10cmほどのところで一旦水平に切る
4. 台木の根元から3~5cmのところで少しだけ斜めにカットし、角も落としておく
5. 台木の形成層という皮の部分1ヶ所を垂直に2cmほど切り込みを入れる
6. 挿し穂を台木の垂直の切り口にはめ込む
7. 接ぎ木テープを巻いて固定する
8. 上からポリ袋を被せる
9. 密閉して、テープを巻く
10. 2~3週間して新しい芽が生えたら、ポリ袋を取る
ゆずの木の育て方のポイントは?
果実をたくさん実らせるコツは、木の枝を広がるように枝を誘引して中までしっかりと日が当たるようにすることです。
また、ゆずの木は樹勢が強く上に向かって枝を伸ばす性質があります。植えたまま放っておくと、果実がつきにくくなるので、真上に向かって伸びる枝は、苗木のうちに麻ひもなどで斜めになるように下に引っ張りましょう。
鉢植えの場合は、縁にひもを巻いて、枝に結びつけるという方法もあります。また、若いゆずは実がつきにくいのですが、2〜3年ほどは摘蕾や摘花を行うと実をならすための体力が奪われず、成長が早まります。
ゆずはキンカンと同じように、実がたくさんなる年とあまりならない年が交互に現れる、隔年結果になりやすい傾向にあります。隔年結果を防ぐためには、摘果が必要で、葉が50〜60枚で1果残すように不良の果実を摘果してあげると良いでしょう。
ゆずの木を栽培して、果実の収穫を楽しもう
ゆずの果実は、ゆずジャムをつくったり、ヨーグルトに入れて食べたり、お湯を入れてゆず茶として楽しんだり、ポン酢などの香りづけとして料理に使えたりします。また、摘果した青いゆずは、柚子胡椒にして楽しむことができます。
さらには、ゆずの種を焼酎などに漬け込んで、ゆず化粧水をつくったり、お風呂に入れて柚子風呂として香りを楽しんだりと、生活の中でもたくさんの活用できることでしょう。
自分で育てた果実なら、一層おいしく感じられはず。たくさんのゆずの実を収穫できるように、ぜひ、今回ご説明したポイントを参考に育ててみてくださいね。
更新日: 2021年12月15日
初回公開日: 2015年10月29日