柑橘系のさわやかな香りと、ほのかな苦味が特徴の柚子(ゆず)。 柚子は飛鳥時代前後に中国から渡来して日本に普及されたといわれており、古くから日本人に愛されている常緑香酸柑橘類です。冬至には柚子湯に入る習慣も江戸時代には生まれていたそうです。今回はそんな柚子の皮や種、実の効果・効能や栄養、旬の時期などについてご紹介します。
柚子(ゆず)の効果・効能、栄養は?
柚子には豊富なビタミンCが含まれており、風邪を予防し、美肌をつくるといわれています。免疫力を高め、毛細血管を刺激して血行を促進し、保湿作用のあるリモネンなどの香り成分が含まれているとされています。冬至に柚子を浮かべたお風呂に入ると、身体が温まり、一年中風邪をひかないといわれるのは、このためです。
また、柚子の効果・効能は、実(果肉)、皮(果皮)、種の3つの部分によって違います。それぞれが含む成分や含有量が違うためです。次に、それぞれの効果効能についてご紹介します。
柚子(ゆず)の皮の効果・効能、栄養は?
柚子は皮を剥いてそのまま食べる生食には向きませんが、爽やかな酸味が胃液の分泌を促して消化を促進します。また魚肉の毒を消すとされています。クエン酸は食べ物を速やかにエネルギーに変換し、疲労回復や筋肉痛の改善に役立ちます。
ほかにも、高血圧予防やむくみの改善、便秘解消などへの効果・効能も期待されています。
柚子(ゆず)の種の効果・効能、栄養は?
柚子の種の表面のヌルヌルした部分は、ペクチン質と呼ばれるもので、血糖上昇の予防やコレステロール値のコントロールをする働きがあります。また、血行を促進するピネンやリモネン、抗炎症作用のあるナリンジンなども含まれます。
これらの作用で血液の循環も良くなり、冷え性やリウマチの症状が改善されると考えられています。保湿・保水成分があることから、柚子の種を使ったローション(化粧水)は顔から全身に使え、あかぎれやしもやけなどにも効果的とされています。
柚子(ゆず)の実(果肉)の効果・効能、栄養は?
柚子の白い綿の部分や筋の部分には、ヘスペリジンというポリフェノールの一種が多く含まれています。このヘスペリジンが、血管を強化しむくみなどを防ぐ役目があります。また、血流を改善する役目があり肩こりや、冷えの改善ができます。
このほか、高血圧の改善、中性脂肪、悪玉コレステロールを下げる役目もあり、柚子に含まれるヘスペリジンの量は、みかんの20倍、レモンの3倍と柑橘類の中でもダントツに多く含まれます。
柚子(ゆず)の使い方は?
柚子は刻んで料理に入れたり、荷重を絞ったり、化粧品をつくったりと、その効能を生かしたさまざまな使い方ができます。
例えば、皆さんがよく使う「七味唐辛子」、柚子皮と唐辛子を使った柚子胡椒は九州地方の伝統的な調味料です。「柚子胡椒」では、青唐辛子には青柚子を、赤唐辛子には黄色く熟した柚子を用いています。
「柚子の蜂蜜漬け」は、薄めの櫛形に切った柚子に蜂蜜を加えてしばらくおくと、甘い液が上がってくるので、ソーダや水で割ったり、熱湯を注いでいただきます。
また、「柚子みそ」は、薄く切った柚子の皮を熱湯でさっと茹でて苦味を取り、鍋にみそとみりんを適宜入れて水気を切った柚子の皮を入れて練りつけます。やわらかく出汁で煮た大根に添えてたり、おにぎり表面に塗り付けて焼き、「柚子みそ焼きおにぎり」などにして楽しめます。
柚子の種から化粧品をつくりたい場合は、実から取り出した種を焼酎につけて1〜2週間漬け込み、冷暗所に置きます。時々混ぜて、液体がトロッとしてきたらザルなどで濾して、精製水などで薄めて使います。その後の種も捨てずに袋などに入れてお風呂に入れて使えば肌がしっとりとしますよ。
また、湯船に柚子を入れるとリラックスした気持ちになれます。こちらは湯船に柚子を入れるだけでかんたんに香りを楽しむことができるのでおすすめです。
柚子(ゆず)の香りの効果・効能は?
リモネンという香り成分は、大脳に直接働きかかけて、気持ちをすっきりさせる、ストレスを和らげるなどのリラックス効果があります。そのため、柚子から抽出されるアロマオイルは、病院や介護施設でのアロマセラピーに利用されています。
柚子(ゆず)の旬の時期は?
柚子は、5月頃から花を咲かせはじめ、その後に緑色の実をつけます。実の色が7~8割ほど黄色くなってきたら、収穫の時期です。完熟前に収穫する「青ゆず」は7~10月頃に収穫し、完熟した「黄ゆず」は10~12月頃に収穫され、市場に出回ります。
柚子(ゆず)の収穫時期・方法は?
自宅で楽しむ場合は、11~12月頃の「黄ゆず」になってから収穫しましょう。また、1月までに実をすべて収穫しないと翌年の実つきが悪くなります。
枝にはたくさんの鋭いトゲが生えています。トゲがなくても生長に影響はないので、収穫の前や剪定の際に取り除いておくと安心です。
柚子(ゆず)の保存方法!冷凍保存後の使い方は?
柚子の実は、ビニールなどの袋に入れておかないと徐々に乾燥して萎んでしまいます。香りも薄れてくるので、できる限り早く使うか加工しておきましょう。柚子の果汁は、料理の風味づけに利用したり、果実を砂糖漬けにし、ゆず茶として飲んだり、ジャムにしパンやヨーグルトなどに入れてたりして楽しみましょう。
柚子の果実を野菜室で保存する場合にも、保存袋に入れておきます。使いきれない場合は、冷凍保存することもできますが、できる限り早めに使い切りましょう。
柚子の皮は内側の白い部分を取り除いたあと、ラップで巻いて冷凍し、使うときは、凍ったまま細かく刻んで使うと良いでしょう。果肉は半分ずつラップに包み、密閉できるビニール袋に入れて冷凍保存し、自然解凍して使いましょう。
柚子(ゆず)の皮や種から効能・栄養を取りこもう!
柚子は果肉や果汁だけでなく、皮や種など実のあらゆる部分に体によい、さまざまな栄養が含まれています。古くから日本人に親しまれていたのも、その効果効能を見れば納得です。
寒さに強く、育てやすい樹木でもあるので、自宅で柚子の木を栽培して、旬の時期にその実を堪能するのもすてきですね。
更新日: 2021年01月26日
初回公開日: 2015年10月29日