ミステリアスな雰囲気を漂わせる黒百合。北海道から本州中部に自生する球根植物で、花言葉にまつわる伝説がいくつも残されています。今回は、そんな黒百合の花言葉や育て方についてご紹介します。
黒百合(クロユリ)の花言葉とは?
『恋』『呪い』
黒百合の相反する2つの花言葉には、それぞれ由来となった伝説が残されています。
「恋」は、好きな人のそばに黒百合をそっと置き、その花を相手が手にすれば二人は結ばれるという、アイヌ民族の言い伝えが元となっています。
「呪い」は、佐々成政という戦国武将の側室である早百合にまつわる伝説に由来します。早百合は密通し、妊娠した子も成政とのものではないという噂が流れ、殺されてしまいます。その死に際に「3年たって立山に黒い百合が咲いたとき、佐々家は滅びるでしょう」という言葉を残しました。この言葉どおり、成政は失脚し、切腹によって死んでしまったことから、恐ろしい花言葉がつけられました。
黒百合(クロユリ)の学名・原産国・英語
- 学名
- Fritillaria camschatcensis
- 科・属名
- ユリ科・バイモ属
- 英名
- Chocolate lily
- 原産地
- 日本、アラスカ、シベリア、カムチャッカ半島など
- 開花期
- 5~8月
- 花の色
- 黒、紫
- 別名
- 蝦夷黒百合(エゾクロユリ)
深山黒百合(ミヤマクロユリ)
黒百合(クロユリ)とは?どんな花を咲かせる?
黒百合は、日本やアラスカ、北アメリカ、シベリアなど北半球の広い範囲に分布する高山植物です。日本では、北海道の低地や、東北地方の高山地帯に自生しています。
草丈は10~50cmに生長し、草丈が高いものを「蝦夷黒百合」、草丈10~20cmのものを「深山黒百合」と分類するときもあります。
茎の先に鐘状の黒い花を1~3輪ほどつけ、中心には黄色の花粉があります。花びらは6枚で、3cmほどの大きさの花をやや下向きに咲かせることが特徴です。北海道では4~5月、本州では7月頃に開花し、ハエをおびき寄せるほどの強烈な香りを放ちます。
黒百合(クロユリ)の育て方のポイントは?
水はけと風通しのよい場所に植え、休眠期の水やりに注意するのが、元気に育てるコツです。
もともと山野の涼しいところに自生しているので、北海道や東北地方などの涼しい地方以外では地植えには向きません。鉢植えにして、季節に応じて適切な環境で育てた方が安心です。また、休眠期間である夏から秋に水を与え過ぎると枯れてしまいます。土の中にある球根の状態は確認できないので、乾かし気味に育てるようにしてください。
黒百合(クロユリ)の球根の植え方は?鉢植え、地植え別
球根の植え付けは7~10月の休眠期が適期です。はじめて育てる方は、鉢植えにするのがおすすめですよ。
鉢植え
深めの5号鉢(直径15cm)に2~3球を目安に植え付けます。
1. 地表から4~5cmの深さに球根を植える
2. 複数植えるときは、球根同士の間隔を5~8cmほどあける
3. 土を被せ、芽が出るまで土が乾かないよう水やりをして管理する
地植え
西日の当たらない、風通しと水はけのよい場所を選んで植え付けます。鱗片がはがれやすいので、ケト土に包んでから植え付けると安心です。
1. 地表から4~5cmの深さに球根を植える
2. 株同士の間隔を10~15cmほどあける
3. たっぷり水を与える
黒百合(クロユリ)の土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
水はけのよい土を好みます。鉢植えは鹿沼土(小粒)4:軽石3:腐葉土3や赤玉土(小粒)5:日向土3:腐葉土2、軽石砂4:鹿沼土3:赤玉土2:ゼオライト1の割合で混ぜたものがおすすめです。市販の山野草用培養土を使うなら、軽石などを足して水はけをよくしましょう。
地植えは、植え付ける2週間前に土を耕し、鹿沼土(小粒)や軽石砂、腐葉土を混ぜ込みます。
水やり
鉢植えは、地上部がある期間は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。その後地上部が枯れる夏から秋にかけては、水やりを控え、10~11月頃になったら土の表面が乾いたら水やりをするようにします。
地植えは、降雨だけでも生育できます。雨が降らず、土が乾燥しているようなら水やりをする程度でかまいません。
肥料の与え方
植え付けるときに、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を土に混ぜておきます。そして、3月頃に芽が出たら、1週間に1回液体肥料を施しましょう。その後は毎年、10月~3月の間、7~10日に1回液体肥料を与えて球根に栄養を与えます。
黒百合(クロユリ)の剪定の時期と方法は?
花が終わったら、種がつかないように花の根元から切り取ってしまいましょう。そのままにしておくと、球根が育たなくなってしまいます。
黒百合(クロユリ)の植え替えの時期と方法は?
球根が増えてくると生育できるスペースが狭くなってしまい、鱗片がはがれやすくなるので、2~3年に1回球根を掘り上げます。6月か、9月中旬~10月が適期です。掘り上げた球根は、湿ったおがくずに包んで、翌年の7~10月に再度植え付けます。手順は、植え付け時と同じです。
黒百合(クロユリ)の増やし方!分球の時期と方法は?
球根についている鱗片をはがして植えることで、数を増やすことができます。植え付けた鱗片は、毎年植え替えるようにすると、3~4年で花が咲くほどの大きさまで育ちます。
1. 鉢に鉢底石と植え付け時と同様の土を入れる
2. 鱗片が重ならないように並べ、2~3cmほど土を被せる
3. 固形の有機肥料を施す
黒百合(クロユリ)の栽培で注意する病気や害虫は?
アブラムシ
春に発生しやすい害虫で、茎や新芽に寄生して栄養を吸い取ってしまいます。そして、排泄物はすす病を誘発する恐れもあることから、見つけたらすぐに薬剤を散布して駆除していきます。
黒百合(クロユリ)は神秘的な花
黒百合は、その独特の花色と姿が神秘的なことから人気がある球根植物です。庭に1つあるだけで、雰囲気をガラッと変えてしまうほどのインパクトがありますよ。ただ、独特の強い香りを放つことから、苦手とする方もいます。群生するとより一層強くなりますので、育てる場合は香りを確かめてからにしてくださいね。
更新日: 2015年10月31日
初回公開日: 2015年10月31日