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食虫植物の栽培。育て方のポイントは?

食虫植物は、虫を捕えて食べてしまう、不思議な生態をもつ植物の総称です。粘液で絡めとったり、捕虫器に落とし込んだりと、トラップを仕掛ける姿は人々を魅了し、栽培を楽しむ方もいます。ちょっぴり怪しい世界を、お家で楽しんでみませんか?今回は、食虫植物の栽培について、育て方のポイントなどをご紹介します。

食虫植物の育て方のポイントは?

ハエトリソウ (4)

日光を好み、刺激しすぎないことが食虫植物を長く育てるポイントです。ジメジメとした薄暗い環境に場所に生息しているイメージですが、どの種類も基本的に日光を好みます。食虫植物の中でもよく育てられるハエトリソウは1日6時間以上の日光が必要ですし、ウツボカズラは日光が不足すると補虫袋をつけなくなります。

また、食虫植物といっても好んで虫を捕えるわけではなく、まして虫を食べないと枯れてしまうというわけではありません。基本的なからだの構造は、光合成でエネルギーを生産する他の植物と同じです。あまり刺激して開閉運動や消化吸収に力を使えば、それだけ寿命が縮まり、早く枯れてしまうので注意しましょう。

食虫植物の種まき、苗植えの時期と方法は?

食虫植物 モウセンゴケ

種まき・苗植えは、それぞれの食虫植物の生育時期に合わせて行います。ウツボカズラなら6〜8月、ハエトリソウなら1〜2月頃が適期です。ホームセンターなどで販売しているポット苗を利用する簡単に栽培がはじめられます。

種まき

種から育てるときは、3号ほどの鉢や育苗ポットに水苔や土を入れ、覆土なしのばらまきにします。サラセニアや寒冷地性のモウセンゴケなど、涼しい気候を好む種類については、湿らせた種を寒気に当てるなどの冬化処理が必要になってきます。種まき後は、鉢が乾かないよう水やりをして管理していき、発芽を待ちます。苗が十分に育ったら、鉢や地面に植え替えましょう。基本的には、気温や気候の変化にも対応しやすい、鉢植えで育てるのがおすすめです。

鉢植え

栽培する容器は、水はけと通気性がよく、適度な保水性のある素焼き鉢や駄温鉢がおすすめです。ただ、素焼き鉢の場合、水はけがよすぎて水切れする可能性もあるので注意してください。

  1. 育苗ポットから苗を抜き、根についた土を1/3くらい落とす
  2. 鉢底ネットを敷いた鉢に、1/4くらいの高さまで鉢底石を入れる
  3. 吸水させた水苔を軽く絞り、根を包むようにしながら鉢に入れる
  4. 水苔で鉢と根の隙間を埋め、グラグラしないように指で押しこむ

地植え

地植えにするなら、温帯性のモウセンゴケや、丈夫なハエトリソウがよいです。植え場所は日当たりがよく、土が常に湿っぽいところが理想。耐寒性の低い種類はなるべく暖かい場所に植え、冬はフレーム内で管理するなどして、霜や寒風に当たらないようにします。

食中植物の土作り、水やり、肥料の与え方は?

食虫植物 ハエトリソウ

土作り

食虫植物は、保水性があって水はけがよく、肥料分の少ない土を好みます。腐葉土など栄養のある土を混ぜると、根が傷んで枯れてしまうので注意しましょう。鉢植えは、水苔単用か、赤玉土(小粒)6:軽石(小粒)2:ピートモス2を混ぜ合わせたものを使います。地植えは、庭土にピートモスやパーライト、川砂などを混ぜて痩せた土を作って植えつけましょう。

水やり

高温多湿を好み、水切れを嫌う種類は、受け皿に2〜3cmほど水を張り、土に吸水させます。古い水は病気や害虫を引き寄せる原因になるので、受け皿の水はできるだけ毎日取り換えるようにしてください。ただ、乾燥した環境を好む種類は、通常の草花と同じように、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。

肥料

食虫植物は、もともと痩せた土地に生息しているものが多いので、基本的に肥料は必要ありません。むしろ肥料を与えると、補虫袋がつかなかったり、肥料焼けを起こしたりして枯れる恐れがあります。

食虫植物の剪定の時期と方法は?

黄色く枯れた葉は、付け根から切り取りましょう。ウツボカズラなどつる性の食虫植物は、長く伸びて樹形が乱れてきたら適時切戻し、株元から生える新芽を伸ばしながら育てます。

食虫植物の植え替えの時期と方法は?

食虫植物 ウツボカズラ

水苔は傷みやすいので、1〜2年に1回は植え替えをして株をリフレッシュします。主に、ハエトリソウは休眠期の1〜2月頃、ウツボカズラは高温期の6〜8月頃が適期です。根を傷つけないように古い水苔を丁寧に取り除いて植え直すと、株に与えるダメージを減らせます。

食虫植物の増やし方の時期と方法は?

ハエトリソウの場合、5〜6月の花後にできる種を採取してすぐにまいていきます。株分けは植え替え時に休眠している株を掘り上げ、それぞれに根が残るよう注意しながら、適当な大きさに取り外しましょう。

ウツボカズラの場合は、6〜8月に挿し芽で増やします。つるを2〜3節つけて切り取り、湿らせた水苔に挿しておくと1ヶ月ほどで発根します。

食虫植物の栽培で注意する病気や害虫は?

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斑点病

ウツボカズラに多い病気で、葉っぱに褐色の小さな斑点があらわれます。病気にかかった葉っぱは回復しないので、すぐに取り除いてください。発病した葉はこまめに取り除き、風通しをよくし、風雨が直接当たらないよう軒下に移動させるなどして感染を予防するとよいですよ。

アブラムシ

アブラムシは、あらゆる植物に寄生して、栄養を吸い取る害虫です。食中植物の場合、暑さや蒸れで株が弱ると、葉っぱや茎に大量に寄生することがあります。鉢植えは水を張ったバケツに15分ほど鉢ごと沈め、地植えは霧吹きタイプの殺虫剤を葉っぱ全体に散布して駆除していきましょう。

カイガラムシ

食虫植物には、茶色いカサブタ状のマルカイガラムシや、白いわらじ状のコナカイガラムシがよく見られます。成虫は薬剤の効果が出にくいので、やわらかい布でこすり落とすか、ピンセットの先端ではぎ取ってください。

食虫植物の栽培を気軽に楽しもう

食虫植物 ウツボカズラ

食虫植物というと、馴染みがないことから育てにくそうに見えますよね。実は、誰でも気軽に育てられる植物で、普通の植物と変わらず、太陽の光と水と土で元気に育てられます。最近ではマニアックな趣味にとどまらず、観葉植物のようにインテリアグリーンとして飾る人も増えているんですよ。まるで別世界の植物のような、幻想的な雰囲気をぜひ楽しんでみてください。

更新日: 2016年04月11日

初回公開日: 2016年04月11日

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