トクサは、表面がザラザラしているため、昔から木工品や爪を磨く「天然のヤスリ」として親しまれてきた植物です。和風のテイストがあることから、日本庭園などの観葉植物としても広く利用され、その楽しみ方はさまざま。今回は、そんなトクサとはどんな植物なのかや、増やし方や剪定など育て方についてご紹介します。
トクサ(木賊/砥草)の学名・原産国・英語
- 学名
- Equisetum hyemale
- 科・属名
- トクサ科・トクサ属
- 英名
- Common horsetail
- 原産地
- 北半球の温帯
- 開花期
- 7~8月
- 花の色
- 茶色
- 別名
- エダウチトクサ
ハミガキグサ(歯磨草)
ヤスリグサ
ミガキグサ
トクサ(木賊/砥草)とは?どんな植物?
トクサは、トクサ科・トクサ属に分類される常緑性のシダ植物です。スギナ(つくし)の仲間で、日本では北海道~本州中部にかけての山間部に自生しています。和風の雰囲気をもつので、日本庭園の下草や盆栽、生け花など観賞用の目的で栽培されることがよくあります。
草丈は30cm~1mほどで、強い風に当たると折れることがあります。たくさんの節をもった茎は、直立した細い青竹のような姿をしており、茎の中は空洞になっています。また、表面がざらついているため、乾燥させて木工品などを磨くヤスリとしても利用されてきました。
名前の由来
茎の表面には珪酸が含まれ、ザラザラしているために木材や金属、爪などを砥ぐ研磨剤として使われたことから「トクサ(砥草)」と名付けられました。別名である「ハミガキグサ(歯磨草)」は、かつて茎を歯磨きの代わりに使っていたことに由来します。
トクサ(木賊/砥草)の花言葉
『率直』『非凡』
「率直」は、葉っぱもなく、茎が分かれることもなくまっすぐ上に向かって生長するトクサの姿にちなんで付けられた花言葉です。「非凡」は、砥石のように物を磨くことができるその表面のザラザラに由来します。
トクサ(木賊/砥草)の種類や品種は?
トクサの仲間は、15種が北半球温帯に分布し、そのうちの9種が日本に存在します。特に草丈が10~20cmと低い「ヒメトクサ」は盆栽に、水に浸かっていても育つ「ミズドクサ」はビオトープや睡蓮鉢の寄せ植えにされている姿を見かけます。
トクサ(木賊/砥草)の育て方のポイントは?
夏場の西日や直射日光が当たらない、明るい日陰で育てるのがポイントです。強い日差しをやや苦手で、耐陰性があるので、多少日当たりが悪い環境でも育てることができますよ。また、本来は湿地を好むので、極端に乾燥するような土地では育ちません。
トクサ(木賊/砥草)の苗植えの時期と方法は?
トクサの植え付けは、4~8月頃が適期です。鉢植えは、深鉢に水もちのよい土を入れて育てていきます。市販の花と野菜の培養土を使うか、赤玉土、または赤玉土と砂に少量の鹿沼土を混ぜた土へ浅く植え付けましょう。
地植えは、水はけさえよければと、土質を選ばずよく育ちます。土が固い場合や砂地の場合は、腐葉土やバークを1~2割ほど混ぜるトクサにとって心地よい環境が作れます。深さ50cmほどで、植える大きさの2~3倍ほどの幅に掘って苗を植えていきます。
トクサ(木賊/砥草)の水やり、肥料の与え方
水やり
生育期である春~秋は、土の表面が乾いたら鉢植え、地植えにかかわらずたっぷりと水を与えます。ある程度の乾燥になら耐えられますが、極端に乾燥してしまっては枯れてしまうので注意してください。一方、冬は生育が鈍るので水やりを控え、やや乾燥気味に。鉢植えは特に根腐れを起こしやすいので、土が乾いて2~3日たってから水を与えるくらいでちょうどよいですよ。
肥料の与え方
生育旺盛で、肥料を与えなくてもよく育ちます。生育が気になるようであれば、春~秋の間1ヶ月に1回、液体肥料を与えるくらいでかまいません。
トクサ(木賊/砥草)の植え替えの時期と方法は?
生育旺盛なトクサは、鉢植えを毎年1回り大きな鉢に植え替えていきます。適期は3~5月で、手順は植え付け時と同じです。数年ほうっておくと根詰まりを起こして株が弱ってしまいます。
トクサ(木賊/砥草)の増やし方!挿し木や株分けの時期と方法は?
株分け
トクサの一般的な増やし方は株分けです。3~5月の植え替えのタイミングで、同時に行うと効率的ですよ。株を鉢や地面から抜き出したら、地上の茎が数本ずつ付くよう、地下茎をナイフやハサミで切り分けていきます。丈夫な植物なので、2~3本ほど茎が付いていればよく根付きます。
挿し木
切り花にしたものを水に付けるだけでも発根するほどの生命力をもっています。はじめて挿し木にチャレンジするのにおすすめです。
- トクサを2節ずつに切りそろえる
- 上下を逆さにしないように気を付け、下の節より1cm下を水平に切る
※切り口をつぶさないよう、よく切れるハサミやナイフを使う - 発根剤を溶かした水に切り口を1時間ほど浸けておく
- たっぷり湿らせた赤玉土などに茎を挿す
- 乾燥しないよう水やりをして日当たりのよい場所で管理する
- 十分に根が生えたら鉢や地面に植え付ける
トクサ(木賊/砥草)は栽培が簡単な植物
トクサは、花のような華やかさはありませんが、風情を感じる和の雰囲気をもっています。また、青々とした茎を竹に見立て、門松風のアレンジをしてみると楽しいですよ。また、日本原産の菊などと合せて、和のアレンジメントを作ってもすてき。病気や害虫の心配もない、栽培が簡単な植物なので、庭の一角で育てれば色々な方法で活用できるかもしれません。
更新日: 2016年04月06日
初回公開日: 2016年04月06日