白い可憐な花を咲かせるマダガスカルジャスミン。春から初夏にかけて花が咲き、さわやかな香りを漂わせてくれます。1年中緑色の葉っぱを茂らせているので、観葉植物としてお部屋に飾って楽しむこともできますよ。
今回は、そんなマダガスカルジャスミンの育て方、切り戻し剪定や挿し木の方法などをご紹介します。
マダガスカルジャスミンとは?
マダガスカルジャスミンは、カガイモ科・シタキソウ属に分類される植物です。名前に「ジャスミン」とついていますが、花の香りが似ているだけで、私たちがよく知るモクセイ科のジャスミンとは種類の違う植物です。
4〜6月の開花期には、筒が5つに裂けて広がったような形の白い花をたくさん咲かせます。濃い緑色の葉っぱを一年中茂らせることから、観葉植物としてインテリアに取り入れられることもあります。
ツルを伸ばして生長する「ツル性植物」で、アサガオのように支柱に巻き付く性質があります。支柱の長さや形状を工夫すれば好みの形に整えて楽しめます。
マダガスカルジャスミンの鉢の置き場所や日々の育て方は?
マダガスカルジャスミンは、鉢に植えられたものが2〜10月に出回ります。「ツル性植物はなんだか育て始めの準備が大変そう…」と思うかもしれませんが、そんなことはありませんよ。数本の支柱を輪っかで囲った「あんどん仕立て用の支柱」が鉢へ立てられた状態で販売されていることが多いので、すぐに育て始められます。
ここでは、購入した後の置き場所と、水やりや肥料の与え方といった日々の育て方についてご説明します。
置き場所
1年を通して日光が当たる窓辺に置くと、元気に育ちます。ただ、強い日差しは苦手なので、夏は少しお部屋の内側に移動させてあげると安心です。
水やりの仕方
土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをするのが基本です。特に5~10月は、花を咲かせるためにたくさんの水が必要です。不足しないように毎日チェックしましょう。
寒さで生長が鈍る10月以降は、根が水を吸い上げるペースも落ち着くので、徐々に水やりの回数を減らします。真冬は土の表面が乾いてから数日開けて水やりをしましょう。
肥料の与え方
マダガスカルジャスミンがツルを伸ばして生長するためには、水以外にもたくさんの栄養が必要です。5〜10月の間は、10〜15日に1回のペースで液体肥料を水やりがわりに与えると、すくすく生長してくれますよ。
マダガスカルジャスミンの栽培中に注意する病気や害虫は?
マダガスカルジャスミンは、病気にかかりにくい植物です。ただ、アブラムシやカイガラムシ、ハダニなど害虫の被害にあうことがあります。いずれの害虫も葉や茎について、栄養を吸い取ってしまうので、植物が枯れる原因となります。
見つけた場合は、殺虫剤を散布するなど、すぐに駆除してください。ただし、カイガラムシの成虫は殺虫剤が効きにくいので、ツルを傷つけないようブラシでこすり落とすのが確実です。
問題なく育てば、開花期の4〜6月頃には美しい花を咲かせてくれますよ。
マダガスカルジャスミンの花を楽しんだ後の冬の過ごし方
マダガスカルジャスミンの花を楽しんでしばらくすると、少しずつ空気がひんやりして冬を迎えます。水やりの回数を減らすとともに、置き場所を時間帯によって変えてあげましょう。
マダガスカルジャスミンはアフリカ大陸の南に位置するマダガスカル島が原産です。そのため、あたたかい場所を好むので、寒さの厳しい日本の冬は苦手です。基本は日光が当たる窓辺に置いていてOKですが、夜はお部屋の中側へ鉢を移動させます。窓のそばに置きっぱなしにすると、外気が直接当たって弱ってしまいます。
冬場は生長が落ち着いて全体的に少し葉っぱの枚数が減るかもしれません。ただ、ツルが元気であれば、次の春には新しい葉っぱを生やして元の姿に戻りますよ。
マダガスカルジャスミンの切り戻し剪定の時期と方法は?
マダガスカルジャスミンは「新しく伸びたツルにしか花のつぼみがつかない」という特徴があります。つまり、古いツルには花が咲きません。無事に冬を越せたら、3月末〜4月に前年に伸びたツルをカットして、購入したときのような短い状態に戻してあげましょう。これを「切り戻し剪定(きりもどしせんてい)」といいます。
切り戻し剪定の手順は簡単で、前の年に伸びたツルをすべて1/2〜1/3の長さにハサミやナイフで切りそろえるだけ。数日で切り口から左右に新しいツルが生え、全体的にボリュームのある形に仕上がりますよ。
作業はゴム手袋や長袖の服を着用しておくと安心です。切り口からでる樹液には毒性があり、触れるとかぶれる可能性があるためです。
マダガスカルジャスミンの植え替えの時期と方法は?
切り戻し剪定が終わったら、開花の時期がくる前にマダガスカルジャスミンを一回り大きな鉢に植え替えます。
「剪定でサイズが小さくなったのに、なんで大きい鉢に移し替えるの?」と思うかもしれませんが、枝だけでなく、根も生長しているためです。伸びた根で鉢の中がいっぱいになると、うまく栄養がいきわたらず、枯れる恐れがあります。1〜2年に1回は必ず植え替えをしてください。早ければ5月には花が咲くので、剪定と同様に4月中には作業を終えましょう。
植え替えに必要なグッズと手順は以下を参考にしてください。
■ 植え替えに必要なグッズ
- 一回り大きな新しい植木鉢
- 観葉植物用培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 麻ひも
- 鉢とサイズの合うあんどん仕立て用の支柱
■ 植え替えの手順
- 育てている鉢のあんどん支柱に巻きついたツルをほどく
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネットをかぶせ、鉢底石を敷く
- 鉢の1/3ほどまで土を入れる
- マダガスカルジャスミンを鉢からやさしく抜き出す
- 根についた土を崩さないで、新しい鉢の中心におく
- 鉢の縁から2〜3cm下のところまで土を入れる
- 鉢の縁を取り囲むようにあんどん仕立て用の支柱を立てる
- あんどん仕立て用支柱へツルを絡ませる
- ツルを麻ひもで数カ所ゆるく支柱へくくりつける
- 鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと水を与える
マダガスカルジャスミンの花が咲かない理由は?
購入した直後はよく花が咲くマダガスカルジャスミン。しかし、2年目以降に花が咲かなくなることがあり、「なんでだろう?」と悩みを抱える方も少なくありません。この原因は、「日当たりが悪い」「切り戻し剪定が不十分」「肥料の成分が適切ではない」のいずれかが考えられます。
中でも注意が必要なのが、肥料の成分です。肥料の三要素といわれるのが、チッ素、リン酸、カリウムで、花を咲かせるにはリン酸が重要です。窒素、リン酸、カリウムが等分かリン酸の多いものを選ぶようにすれば、マダガスカルジャスミンはきれいな花を咲かせてくれるはずですよ。
マダガスカルジャスミンのツルを挿し木する時期と方法は?
5〜9月のあたたかい時期に、その年に生えたばかりの新しいツルを切り取って土に挿しておくと、そのツルの切り口から根が出て、新しい苗へと育ちます。これは「挿し木(さしき)」と呼ばれる植物の増やし方です。「マダガスカルジャスミンをたくさん育てたい!」という方はチャレンジしてみてください。
ただ、挿し木の時期は開花の時期とも重なります。新しく生えたツルは花をつけるツルでもあるので、「切り落とすのはもったいない…」という方は、一通り花が咲き終わった8〜9月に行うのがおすすめです。
■ 挿し木に必要なグッズ
- 挿し木用培養土
- ハサミかナイフ
- バケツなどの容器
- 輪ゴム
- 育苗ポット
- 割り箸
■ 挿し木の手順
- その年に新しく生えたツルを10cmほどの長さにカットする
- 切り口から出る白い樹液が出てこなくなるまで水で洗い流す
- バケツなどの容器に水を入れ、ツルの切り口を半日ほどつける
- 挿し木用培養土を育苗ポットと呼ばれるビニール製の小さな鉢に入れる
- 土の中心に割り箸で穴を空け、ツルの1/3〜1/2ほど挿す
- ツルについた葉っぱを輪ゴムでゆるくまとめる
- たっぷりと水やりをする
- 明るい日陰で、土が乾かないよう水やりをして管理する
- 1ヶ月ほどしてポットの底から根が確認できるようなら、一回り大きな鉢に植え替える
マダガスカルジャスミンの白い花でお部屋に清潔感を
白色には、清潔感や信頼感といった、クリーンな印象を与える効果があります。マダガスカルジャスミンが咲かせる白い花は、この印象と重なって、お部屋にプラスするだけ清潔感を感じさせてくれますよ。
濃い緑色の葉っぱも美しく、観葉植物として存在感はばっちり。ナチュラル、モノトーンとどんな雰囲気のお部屋にもよく似合いますよ。
更新日: 2017年01月13日
初回公開日: 2016年03月31日