植物の代表的な繁殖方法の1つが「種まき」です。種まきは、安価で植物を育て始めることができ、またコツさえつかめば、多くの植物を種から育てることができるようになります。今回は、種まきの基本(用土や時期、方法、育て方など)についてご紹介します。
種まきの種には、いくつ種類があるの?
種には、日光を浴びないと発芽しない好光性種子と、日光を嫌って暗い場所でないと発芽しない嫌光性種子があります。
好光性種子なら種まきのあと、土を薄くかけるまたは土を被せず、ある程度明るい場所で管理し、嫌光性種子は、種の直径の2〜3倍の深さに植え、日陰で管理します。
好光性種子
キャベツ類、カリフラワー、ブロッコリー、レタス、シュンギク、ニンジン、シソなど
アリッサム、インパチエンス、コリウス、キンギョソウ、ペチュニア、ベゴニアなど
嫌光性種子
ダイコン、ネギ、玉ねぎ、ニラ、トウガラシ、ナス、トマト、スイカ、カボチャ、キュウリなど
コスモス、サルビア、ジニア、スイートピー、スターチス、ニゲラ、バーベナ、パンジー、ビオラなど
種まきの基本!水やりのタイミングは?
種まきからの育て方において大切なのは、一度水を含ませて活動し始めた種を乾かさないことです。
基本的には、発芽してから根が十分に育つまで、土が乾燥しないように水やりを続けます。ただし根が伸び始めたら、乾いたら水をあげ、土の中にも乾いた時間(土の中に酸素がある状態)もつくりましょう。
種まきからの育て方
- 容器か庭に種をまく
- 種に土を被せず、明るい日陰に置く(嫌光性種子なら土を被せ暗い日陰へ)
- 土の表面が乾く前に、種が流れないように静かに水やりをする(鉢底から吸水させる底面給水か、霧吹きなどを利用する)
- 発芽したら、近くの生長の遅い種を取り除く(根が絡まっていることもあるので、ハサミで土の上で切り取る)
- 本葉が2~3枚(目安)になったら、ポットへ1株ずつ移し替え、苗を育てる
- 本葉が5~6枚(目安)になったら、鉢や花壇へ植え替える
種まきの用土とは?
種まきに使う土は、清潔性、通気性、排水性、保水性に優れてることが大切です。よく使われる土には、バーミキュライト、ピートモス、赤玉土、ピート板、ジフィーセブン、市販の種まき用土などがあります。
容器
セルトレイ、育苗箱、育苗ポット、連結ポット、底の浅い箱などがおすすめです。基本的に、本葉が数枚育ってきたら大きな鉢か庭に植え替えるので、植え替えやすいよう1苗ずつの環境があるのが好ましいです。
バーミキュライト、ピートモス、赤玉土
種が苗まで育って大きな鉢に植え替える際、土の割合を変えることで苗の土を作ることができるので便利です。
ピート板
一度にたくさんの種を育てられ、水もちがよいので土が乾きにくいメリットがあります。
ジフィーセブン
苗まで育った後、土を崩さずそのまま地植えにできるので、根を傷つけることなく植え替えが可能です。ピート板よりも育てられる種の数は限られています。
市販の種まき用土
初心者の方におすすめなのは、そのまま使用可能な市販の種まき用土です。自分で土の配合を考えるなどの必要がなく、種まきの知識がなくても育てることが可能です。
種まきの時期とは?
種が土の中で芽を出すためには、「水分」「温度(適温)」「空気(酸素)」が大切です。
植物の種まきの時期は、2~11月の間のそれぞれの植物の発芽適温になってからまくようにします。苗になったときが生長期になるようその少し前の時期にまいたり、種を採取できたときにすぐまいたり、草花、野菜、花木など植物によってさまざまです。
ただ、種にも発芽温度があり、その温度の範囲内でないと発芽しないため、地域によって同じ種でも多少の時期が違います。
種まきの時期は、お住まいになっている地域を種袋に記載されている発芽適温と生育適温を見ながらタイミングよく、まくようにしましょう。
種まきの方法!すじまき、点まき、ばらまき、直まきとは?
種まきには、すじまき、点まき、ばらまき、直まきという4つの方法があります。これは、植物の種の大きさ、発芽率、生長速度、苗になったときの性質の違いによって、適切なまき方が違うからです。
すじまき
直径1〜2mm前後の細かい種を、同じ間隔で列状にまく方法です。主柱などを使って長い列(溝)を作るのがおすすめです。発芽時に苗が各列、横に並んでいるので、間引きをする際に苗の良し悪しが見分けやすくなります。
- 春まき植物:コスモス、セイヨウオダマキ、オシロイバナ、キバナコスモス、ヒャクニチソウ
- 秋まき植物:ヒャクニチソウ、キンギョソウ、ビオラ、ポピー、カーネーション、キンセンカ、スイトピー、ストック、パンジー
点まき
土に丸い穴を等間隔で数か所空け、直径2mm以上の種を1ヶ所あたり1~3粒ずつまく方法です。種の数が少ないので、発芽直後に間引きの手間がかからず、苗同士の距離をとっているので、比較的大きくなるまで栽培が可能です。
- 春まき植物:トレニア、コスモス、アサガオ、アスター、オシロイバナ、キバナコスモス、ペチュニア
- 秋まき植物:アスター、カーネーション、ストック
ばらまき
直径1mm以下の種を花壇や庭一面にまく方法です。種の重なりを気にせず、できるだけ均一に適当にまきます。あらかじめ、種の10〜20倍のパーライトや川砂と種をよく混ぜておき、目の粗いふるいで土ごとまくと均一できれいにばらまきができますよ。
- 春まき植物:トケイウ、コスモス、キバナコスモス
- 秋まき植物:ペチュニア
直まき
庭や花壇へ直接、種をまく方法です。苗まで育ったあとに植え替えの必要がありません。ただし、直射日光、雨風などの被害を受けやすいので、管理に注意が必要です。
種まきから育ててみよう
種まきは、芽吹きや小さな双葉など、植物の生長を最初から楽しむことができます。手間をかけた分、花が咲いたときや実がついたときの喜びも大きく、愛情が芽生えるかもしれませんね。これから植物を育てようと思っている方は、ぜひ種まきで育ててみてくださいね。
更新日: 2021年03月05日
初回公開日: 2015年09月24日