世界中に600種以上が自生しているといわれるミントの中で、最も人気のあるペパーミント。清涼感のある香りが強く、お菓子や料理の香りづけとして使われるだけでなく、歯磨き粉やガムなど私たちの身の回りのものにたくさん利用されています。また、丈夫な性質で、家庭菜園初心者の方でも簡単に育てられますよ。今回は種まきや苗からの栽培方法と時期など、ペパーミントの育て方をまとめました。
ペパーミントの育て方のポイントは?
他の植物との寄せ植えは避け、囲まれた場所で育てるのがポイントです。ペパーミントは繁殖力が強く、育てやすい反面、他の植物の生育を邪魔してしまう恐れがあります。地植えのときは、地中深くにブロックや板を植えて、株が横に広がらないよう工夫しましょう。
ペパーミントの種まきや苗の栽培時期と方法は?
種まき
3~6月か、9~11月が種まきの適期です。種はとても小さいので、風に飛ばされないよう発芽するまでは屋内で育てると安心です。
1. 育苗箱に赤玉土(小粒)かパーライトを入れる
2. 種が重ならないようばらまき、薄く土を被せる
3. 種が流れないよう、霧吹きで土に水を吹きかけて湿らせる
4. 土が乾かないよう水やりをして管理する
5. 10~15日で発芽したら、生育の弱い芽を間引く
6. 本葉が4~5枚に生長したら、鉢や地面に植え替える
苗植え
3~6月か、4~10月に苗を植えることができます。繁殖力が旺盛で、他の品種とも交雑しやすいことから、近くに違う植物や品種を植えないようにしましょう。鉢植えは、苗よりも1回り大きな鉢を準備し、苗を植えていきます。
地植えは、日当たりと風通しのよい場所を選んで、植え付ける1週間前に土を耕しておきます。そして、株同士の間隔を20~30cmほど空けて苗植えをします。根っこが広がり過ぎないよう、板やブロックで囲っておくことを忘れないようにしてください。
ペパーミントの土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
水はけと水もちのバランスがよい土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)5:腐葉土3:バーミキュライト2の割合で混ぜたものか、市販のハーブ用培養土がおすすめです。地植えは、事前に耕した土に腐葉土や堆肥を2~3割混ぜ込んでおきます。
水やり
乾燥が苦手で、湿り気のある土を好みます。鉢植えは、土の表面が乾いたら、鉢の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。地植えは、植え付けた直後にたっぷりと水やりをすれば、それ以降は必要ありません。
肥料の与え方
植え付けるときに、効果がゆっくりと長続きする、緩効性化成肥料を土に混ぜておきます。それ以降は、3~9月の間、同様の肥料を2~3ヶ月に1回与えます。肥料を与え過ぎると香りが弱くなってしまうので注意してください。
ペパーミントの栽培は水でもできる?
3~9月頃、ガラスやコップに水をはり、茎を挿しておくと水耕栽培が楽しめます。毎日水を入れ替えて清潔な状態を保つのがコツです。
苗を水耕栽培する
1. 苗の根についた土をきれいに落とす
2. ハイドロボールなどの人工培土を容器に2/3ほど入れる
3. 苗を入れ人工培土を足す
4. 容器の1/5ほどまで水を入れる
ペパーミントの収穫の時期と方法は?
草丈が15~20cmに生長したら、新芽を摘みとって茎の生育を促します。この剪定によって、枝が増え、収穫量を増やすことができますよ。そして、草丈が30cmほどになったら、株元から10~15cm上で茎をバッサリと切って収穫します。
ペパーミントの植え替えの時期と方法は?
根っこをよく伸ばすので、鉢やプランターの中はすぐに根でいっぱいになってしまいます。毎年3~6月か、9~10月に、1回り大きな鉢に植え替えましょう。プランター植えの場合は、同時に株分けをするのも1つの方法です。
植え替えの手順は、植え付け時と同じです。掘り上げたときに、傷んだ根や長く伸びた根は切り落としてしまいましょう。
ペパーミントの増やし方は?
ペパーミントは、株分けか挿し木、種まきによって数を増やすことができます。種まきは、花が枯れた後に採取したものをすぐにまくか、翌年の春まで保管してからまきます。手順や時期は、植え付け時と同じです。
株分けや挿し木は、4~5月か、9~10月が適期です。
株分け
1. 株分けをする数日前から水やりを控え、土を乾燥させる
2. 草丈が15~20cmになるよう、茎を剪定する
3. 株を掘り起こし、根についた土をほぐしながら落とす
4. それぞれの株に茎が3~4本つくよう、手やナイフで分ける
5. 分けた株を、鉢や地面に植え付ける
6. 根がはるまで、土が乾かないよう水やりをして管理する
挿し木(挿し芽)
1. 茎を先端から10~15cmのところで切り取る
2. 先端についた葉っぱを2~3枚残し、他を切り落とす
3. 切り口を1時間ほど水に浸ける
4. 育苗ポットに赤玉土(小粒)を入れ、割り箸で空けた穴に茎を挿す
5. 日陰で、土が乾燥しないように水やりをして管理する
6. 10~14日で発根し、根と本葉が十分に育ったら鉢や地面に植え替える
ペパーミントの栽培で注意する病害虫は?
アブラムシ
葉っぱや茎に寄生して栄養を吸い取る害虫です。弱い苗につくことが多いので、株が若いうちは状態をよく管理するようにしましょう。見つけたら、人に害のない殺虫剤を散布して駆除するようにしてください。
ナメクジ
新芽を食べてしまう虫で、梅雨など雨の多いときに発生しやすくなります。多く見つけやすいので、発見したら割り箸などで1匹ずつ捕獲するか、ビールを溜めた容器を近くに置くと予防効果がありますよ。
ペパーミントは育て方が簡単なハーブ
ハーブの中でも特に育てやすいペパーミントは、家庭菜園初心者にとても人気があります。また、お茶や料理、ポプリといった楽しみ方が豊富なことも魅力です。どんどん株が増えていき、手間もかからないので、気軽に栽培をはじめてみてくださいね。
更新日: 2021年03月05日
初回公開日: 2015年11月01日