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アブラムシの発生原因と生態は?卵から成虫になる日数は?

ガーデニングや家庭菜園を趣味にしている方であれば、一度は害虫の被害に悩まされたことがあるのではないでしょうか?特によく目にする害虫がアブラムシです。アブラムシは、草花、野菜、花木、庭木、果樹など多くの植物に寄生し、直接的・間接的な被害を及ぼします。今回は、そんなアブラムシの生態や駆除方法、予防策についてまとめました。

アブラムシの生態とは?卵から成虫になる日数は?

アブラムシは、アブラムシ上科に属する昆虫の総称で、別名「アリマキ」とも呼ばれます。体長は2~4mm程で、日本だけでも700種類以上生息しているといわれています。集団で移動し、複数の植物に寄生するものと、特定の植物にしか寄生しないものとがいます。

アブラムシはメスだけで子供を産むことができる、「単為生殖」という生態をしています。春や秋の繁殖期になると毎日卵を産み、卵は10日ほどで成虫になり、また新しい卵を産みます。繁殖力が非常に高く、気づいたときにはかなりの数に増殖しているということも少なくありません。

また、身を守る力の弱いアブラムシは、甘い排泄物を出してアリを味方につけ、外敵から身を守ってもらいます。別名の「アリマキ」はこの生態が由来とされています。

アブラムシの被害は?

直接的な被害

アブラムシは、植物に口針を挿して寄生し、栄養を吸いとります。1匹ずつなら被害は少なくすみますが、繁殖して群れで寄生されると植物の栄養がどんどん奪われ、衰えてしまいます。

また、寄生されることで、コブができる、葉が丸くなる、縮小するなど奇形の症状もみられます。

間接的な被害

アブラムシの被害で最も深刻なのは、ウイルスの媒介やすす病の原因となる間接的な被害です。ウイルスに感染している植物に寄生したアブラムシが、別の健全な植物に寄生することで、アブラムシを通して感染が広がっていきます。

また、アブラムシは、甘い排泄物を出してアリや他の虫を呼び寄せて自分の身を守ります。その甘い排泄物は、すす病の原因となる菌を引き寄せてしまいます。

ウイルスやすす病にかかった部位があれば、すぐに取り除いてください。放っておくと被害が拡大していきます。感染した部分は、焼却処分することで完全にウイルスや菌を駆除することができます。

アブラムシの発生時期は?どんな条件で増殖する?

アブラムシは、1年中植物に寄生している害虫です。3~10月に多くみられますが、真夏の暑さに弱いため、4~6月か、9~10月の気候が穏やかな時期は特に繁殖します。

晴天が続いて雨が少ない年(高温少雨)や、日当たり・風通しが悪い環境で発生するので、注意してください。

春と秋に羽をもったオスが戻ってきて繁殖を行うとオスが生まれ、メスだけで卵を産むとメスが生まれます。

寒冷地では、卵のまま冬を越しますが、暖地では1年中幼虫を産んで増え続けるため、季節を問わず対策を施す必要があります。

アブラムシの駆除方法は?

アブラムシを駆除するには、薬剤を散布して駆除する方法、ガムテープなどで直接取り除く方法、牛乳や水と酢を混ぜた液体を散布して窒息させる方法の3つがあります。

農薬を使いたくないときは、ブラシや濡れた布などを使って根気よく取り除いてください。ピンセットなどで取り除いてもそこまで時間はかからないので、ブラシで取り除きにくいときには直接つまんで取り除きましょう。

牛乳スプレーや殺虫剤(農薬)の使い方

● おすすめの殺虫剤:「オルトラン液剤」「マラソン乳剤」「スミチオン乳剤」
● 酢/木酢液の作り方:酢5ccに対して水1Lで薄める(500倍)

牛乳や木酢酢を吹きかけるときは、水で薄めずそのまま散布し、乾燥してから水で洗い流します。水で薄めないのは、牛乳の膜がアブラムシの皮膚呼吸を妨害し、窒息死させる効果が薄めないためです。市販の殺虫剤は、規定の使用方法に従いましょう。

アブラムシの予防方法は?

● 窒素肥料を過剰に与えない
● 太陽光を反射するシルバー色のマルチシート(テープ)を垂らす、敷く
● 目の細かい防虫ネットを置く、背の高いものを置いて遮断する
● 葉や株の乾燥に注意する

野菜などを育てているときは、化学肥料をなるべく使いたくありませんよね。そんなときは、太陽光を反射する銀色マルチシートを株元に取り付け、防虫ネットを貼っておくと無農薬で防虫効果が期待できます。

マルチシートの代わりにシルバーテープを使うと経済的なので、あまり費用をかけたくない方におすすめです。

また、アブラムシが黄色を好むため、黄色い容器に薬剤などをいれたり、黄色い粘着テープを設置したりしておくなどの罠を仕掛けておくと、植物にたどり着くのを防ぐことができます。

あとは、アブラムシと共生関係にあるアリを駆除し、てんとう虫などの天敵を呼び込むような環境作りを心掛けると、アブラムシの予防や駆除が楽になるかもしれませんね。

※化成肥料には、アブラムシが好む窒素成分(アミノ酸)が含まれているので、窒素成分の多い肥料には注意してください。

アブラムシの生態を知って対策しよう

アブラムシの駆除や予防には、薬剤の他に牛乳や木酢液、銀色マルチシートなど様々な方法があります。

薬剤は、長期間使用すると薬への抵抗力が強くなって効き目が薄くなってしまうので、定期的に散布するときは、種類の違うものを利用してください。アブラムシを退治して快適な園芸ライフを楽しんでくださいね。

更新日: 2023年05月25日

初回公開日: 2015年08月17日

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