植物も人間と同じで、どんなに大切に育てても、思いがけず病気にかかってしまうことがあります。白絹病は、そんな身近なものの1つです。今回は、白絹病について、防除対策や薬剤などをまとめました。
白絹病とは?原因と症状は?
白絹病とは、糸状菌(カビ)やスクレロチウム、ロルフシなど様々な病原菌によって引き起こされる病気です。ナス科やウリ科など160以上の植物がかかるとされています。発病適温は25度以上なので、5~10月の暑い時期に発生しやすく、特に30度を超える高温では菌が増殖します。
発病すると、株元や土の表面に白い絹糸のようなものが現れます。これをそのままにしておくと、株や茎が腐り、葉が黄色くなって枯れてしまいます。病原菌はその後、茶褐色の菌核を多数形成し、土の中で冬を越して、翌年に土を通して別の植物に感染します。
菌核は見つけ次第取り除く
白絹病になると、菌が集まって「菌核(きんかく)」を作り出します。菌核は茶色の小粒で、中に菌や養分がたくさん詰まっています。放置しておくと菌が長生きしてしまうので、見つけ次第取り除きましょう。また、5年ほど土の中で生存するので、白絹病が発生した土地で再度植物を育てないようにしてください。
白絹病の治療はできる?防除対策やおすすめの薬剤は?
白絹病は、一度発生してしまうと治療することができません。そのため、防除対策をきちんと施すことが大切です。
まず、病気にかかった植物は株ごと取り除き、焼却処分をして他の植物への感染を防ぎます。そして、植え付けていた土は湿らせ、黒いビニールなど光を吸収しやすいもので覆って、炎天下で高温消毒します。同時に、鉢やプランターも直射日光で消毒します。ほかにも、菌が土の表面でしか生きられない性質を利用して、土を深いところから掘り返し、病気が発生した土を地表に埋める「天地返し」によって病原菌の繁殖を抑えることができます。
おすすめの薬剤
薬剤や農薬を利用すると一時的に菌を駆除することができます。バリダシンやリゾレックスなどの液剤・粉剤を利用するのが一般的です。育てている野菜や植物によって用法・用量が違うので、使う前に確認しましょう。また、農薬は適用対象や仕様基準が時期や地域によって異なるので、農林水産消費安全技術センターのホームページをチェックすると安心です。
白絹病の予防方法は?
白絹病は、日頃から水はけのいい土を使う、風通しのいい場所で育てる、育ち方が違う植物を一定期間交互に育てる(輪作)ことで予防できます。
農業の世界では、野菜と水稲を交互に育てることで白絹病を防ぎます。土に腐葉土を混ぜ込む、剪定や芽かきをするなどして、土の水はけや風通しをよくしましょう。
白絹病は薬剤で駆除して輪作で予防しよう
白絹病は、少し家を留守にしているといつの間にか発生していることがある病気です。梅雨や夏場の蒸し暑い環境を好む病気なので、日頃から発生しにくい環境を整えておくようにしてください。また、他の作物に感染しないよう、すぐに処分するようにしましょう。
更新日: 2015年08月18日
初回公開日: 2015年08月18日