元気に育っていたはずのお気に入りの観葉植物が、「急に葉っぱの色が悪くなった…」「形が崩れてきた…」「全体的にどこか元気がない…」という経験はないでしょうか。そんなときは、病気が原因かもしれませんよ。
今回は、観葉植物がかかる病気の種類を原因や症状、その対策などとまとめてご紹介します。早期発見と予防に役立ててくださいね。
観葉植物は病気にかかる?
一般的に観葉植物は野菜や果樹などよりも病気にかかりにくいといわれています。室内であれば自分で環境を整えられるのも1つの要因です。
ただ、まったくかからないというものではありません。屋外で育てている植物と同じように、ウイルス性や細菌性の病気にかかることがあるんですよ。
病気によって、症状やそれが現れる場所もさまざま。ここでは、植物にどんな症状が現れるかをもとに、病気の種類と原因・対応をご紹介していきます。
観葉植物全体の元気がなくなる病気は?
観葉植物全体の元気がなくなってきたら、以下で紹介する病気が考えられます。それぞれの症状を確認して当てはまるか見てみましょう。
どれにも該当しなければ、たんに栄養がないだけかもしれません。栄養剤(肥料)を与るのも検討してみてください。
灰色カビ病
■症状と原因
灰色カビ病は、別名「ボトリチス病」と呼ばれる細菌による病気です。新芽や花びらに水が染みたような症状があらわれ、それがどんどん広がって観葉植物が腐っていきます。
■対応と予防
灰色カビ病にかかってしまったときは、すぐに病気にかかった部分を切り取ります。全体に広がってしまったときは、観葉植物自体を処分します。
風通しをよくし、病原菌の温床になる枯れた葉や花はこまめに取り除きましょう。
青枯病(あおがれびょう)
■症状と原因
植物が青い状態なのに枯れてしまうことから名付けられた青枯病。気温の高い時期に発生しやすく、昼間にしおれて、夜間には回復するため、水切れと間違いやすい細菌性の病気です。
病原菌は土壌にひそみ、葉などについた傷から内部に侵入します。
■対応と予防
青枯病にかかってしまったら回復しないので、早めに土から抜き取って処分するほかありません。
土の温度の上昇を抑えることで発病を少なくすることができるので、あらかじめ熱を発散しやすい素焼き鉢に植えるか、一回り大きな陶器の鉢に入れて2重鉢にして管理するとよいですよ。
すす病
■症状と原因
すす病は、すす病菌と言われるカビが葉っぱや枝、幹につき、すすのように黒ずんでいく病気です。
菌が繁殖する原因は、アブラムシやカイガラムシなど植物の汁を吸う害虫から出る排泄物で、これを栄養にして増えます。
■対応と予防
アブラムシ、カイガラムシなどの害虫の排泄物をエサにするので、まずは害虫の駆除・予防を徹底することが大切です。湿っぽい環境を好むので風通しのよい場所に植物を置くのが第一です。
もし発生したら、幼虫は殺虫剤を散布して駆除、成虫はブラシなどでこすり落とします。また、病気にかかってしまった部分は、切り落として処分してください。
観葉植物から臭いがでる病気は?
観葉植物の周りから「変な臭いがするな…」と感じたら病気かもしれません。ここでは2種類の病気を紹介しますが、症状や原因、対策もそれぞれ違うので、しっかり確認しておきましょう。
軟腐病
■症状と原因
軟腐病は、5〜9月の雨の多い高温多湿の環境で発生しやすく、土に生息する細菌(バクテリア)によって引き起こされます。黒褐色に溶けて腐敗臭を放ち、地上部はしおれてミイラ状になります。
■対応と予防
軟腐病の原因となる細菌は、薬剤が効きにくいです。そのため、見つけたら病気にかかった部分をすぐに切り取って処分します。
症状が進行してしまっているときは、残念ながら抜き取って破棄するほかありません。また、細菌は傷口から入るので道具類は清潔なものを使うようにしてください。
根腐れ
■症状・原因
観葉植物を育てていて最も起こりやすい病気です。名前の通り根が腐り、そのままにしておくと幹が枯れます。
原因は「水の与えすぎ」「土の水はけが悪い」「根詰まりを起こしている」などによって、土の中の酸素がなくなるためです。
■対応と予防
水やりのしすぎで起こることがほとんどなので、「土の表面がしっかり乾いたら水を与える」ことが何よりの予防になります。もしなってしまったら、水はけのよい土にすぐ植え替えましょう。
そのときに、伸びすぎた根や腐ってしまった根は全て切り落とすのがポイントです。植え替え後は水やりをしばらく控え、新芽が出たら通常どおりの管理に戻していきます。
観葉植物の一部に斑点が現れる病気は?
葉に症状が現れる病気はたくさんあります。ほとんどが湿気などの影響で発生するものなので、それぞれの症状と対策を確認しておきましょう。
炭そ病
■症状と原因
炭そ病菌というカビが原因で発生する炭そ病は、ほぼ全ての植物に起こりうる病気です。葉っぱを中心に、茎や枝に灰白色や黒い斑点があらわれ、全体へと広がっていきます。
進行すると徐々に病気の部分に穴が空き、植物が枯れます。気温と湿度の高い環境で発生しやすく、葉っぱが茂りすぎているとかかりやすくなります。
■対応と予防
病気にかかってしまった部分は、回復しないので切り取って処分します。そして、拡大を防ぐために殺菌剤を散布していきましょう。
斑点病
■症状と原因
斑点病にかかると、葉っぱや茎に小さな褐色の斑点が散らばります。他の斑点性の病気と違い、すぐに葉っぱは枯れ落ちず、冬を越えて春になってから枯れるのが特徴です。
土の水はけや風通しが悪いと発生しやすく、そのままにしておくと他の観葉植物にも移ってしまいます。
■対応と予防
窒素成分の多い肥料を過剰に与えることも発病を誘発するので、控えめなものを適度に与えることが大切です。
発生したときは、病気にかかった葉っぱを切り取り、それ以外にも枯れた葉っぱはこまめに取り除きます。発病初期であればオーソサイド水和剤などを散布するのも効果的です。
ベト病
■症状と原因
卵菌と呼ばれるカビによって発生するベト病菌は、多湿状態を好み、20度前後で多く発生します。はじめは葉っぱに淡黄色の小さな斑点がポツポツと見られる程度ですが、進行が早く、放っておくとあっという間に観葉植物を枯らしてしまいます。
病気にかかった部分は乾いているときはパリパリしていますが、湿度が高いとベタベタと粘着質になることが特徴です。
■対応と予防
ベト病にかかったときは、すぐに枯れた葉っぱを取り除きます。ただし、葉っぱを切り取りすぎると観葉植物がさらに弱ってしまうので、市販のベト病に効く薬剤や木酢液(もくさくえき)などを散布するとよいですよ。
結露や降雨などで濡れた葉っぱに感染することが多いので、過湿を避けることで予防します。また、剪定をきちんとするなど風通しをよくすることも効果的です。
赤星病
■症状と原因
赤星病は、さび病菌というカビに感染すると発生します。葉っぱにできた橙黄色〜赤橙色の斑点はどんどん大きくなり、葉の裏側には房状の毛羽だった斑があらわれます。病気にかかった葉っぱはしだいに枯れます。
■対応と予防
ヒノキ科の植物の1つであるビャクシン類に寄生して他の植物へと運ばれます。できるだけビャクシンの近くで観葉植物を育てないようにしましょう。
病気が進んでしまったときは、葉っぱを切り取って処分するほかありませんが、発生初期であれば1週間に1~数回の薬剤散布を繰り返して殺菌で回復することもあります。
褐斑病(かっぱんびょう)
■症状と原因
下の方にある葉や古い葉っぱに、褐色の小さな斑点がいくつもあらわれることが、褐斑病の特徴です。
セプトリア・オベセというカビが原因で、褐色の斑点はしだいに大きくなり、柄子殻(へいしかく)と呼ばれる黒い粒を形成します。そして、その粒が増えて葉っぱが枯れていきます。
■対応と予防
生育に影響しない程度に病気になった葉を摘み取り、日当たりと風通しのよい場所で管理することが、褐斑病の予防になります。
蒸れやすい環境では梅雨の前後に剪定などをして、通気性を保つよう心がけましょう。病気にかかってしまった葉っぱは、早めに切り取って処分してください。
黒星病(黒点病)
■症状と原因
黒星病は、糸状菌と呼ばれるカビによって、観葉植物の葉っぱに小さな黒い斑点があらわれる病気です。この黒い斑点はどんどん大きくなり、全体へと広がって植物が弱ります。
■対応と予防
気温が20度以上で、湿気の多い環境を好むので、風通しのよい環境を心がけることが予防につながります。もし黒星病にかかってしまった部分は、回復しません。
株全体に広がらないよう、病気の部分を見つけたらすぐに切り取って処分しましょう。
うどんこ病
■症状と原因
うどんこ病にかかると、葉っぱや花、茎などにうどんの粉をまぶしたような白いカビがあらわれます。
5~6月と9~10月の湿度が低く気温が高い時期に発生しやすく、生きた植物にしか寄生しません。放っておくと植物全体がカビで覆われ、光合成ができなくなって枯れてしまいます。
■対応と予防
日頃から日当たりと風通しをよくし、窒素を多く含む肥料を控えることで予防できます。発生の初期段階であれば、重曹を水で溶かしたものを観葉植物全体に噴きかけることで回復が見込めます。
もし、株のあらゆるところに広がってしまっているなら、病気にかかっている部分を切り取り、殺菌剤を散布して拡大を防ぎましょう。カビは風にのって他の植物に移ってしまいます。
観葉植物の病気を見つけたらすぐに対処をしよう
観葉植物がかかる病気はたくさんあり、症状も様々です。ただ、あらかじめ対策をたてておけば、健康に育てることはそれほどむずかしいことではありません。
万が一病気になったとしても発生初期なら適切な処置によって回復するケースもあります。植物からのサインを見過ごさないために、日頃から状態をチェックしておきたいですね。
更新日: 2018年06月14日
初回公開日: 2016年03月10日