花の香りが秋の訪れを知らせてくれる金木犀(キンモクセイ)。丈夫で育てやすく、庭木として人気がある花木です。今回は、そんな金木犀の育て方について、苗植えや鉢植え、挿し木の方法などをご紹介します。
金木犀(キンモクセイ)の苗木の植え方!地植えと鉢植えの時期や方法は?
キンモクセイは、鉢植えと地植えで育てます。樹高3~6mまで生長するので、地植えの方がおすすめです。挿し木は開花まで5年以上かかるため、早く花が見たい方は苗木から育てましょう。
地植え
苗木の植え付けは、冬と夏を避け、4~5月もしくは10~11月に行うのが最適です。
- 日当たりのよい広い庭の土で土作りをする
- 堆肥や鶏糞などの有機肥料と、腐葉土を混ぜ合わせる
- 苗より1回り大きな穴を掘る
- 苗を植え、周りを土で埋める
- 水やりをして土を固め、株を固定する
鉢植え
地植えが一般的なキンモクセイですが、鉢植えでも育てることはできます。小さな鉢ではすぐに植え替えが必要になるので、8号以上の植木鉢を用意してください。
- 鉢の底に鉢底石を敷き、土を1/3〜1/2ほど入れる
- 苗を植える
- 水やりをして凹んだ分の土をさらに足し、苗をしっかり固定する
金木犀(キンモクセイ)の土作り、水やり、肥料の与え方は?
土作り
キンモクセイは、水はけのよい酸性の土を好みます。鉢植えは、赤玉土(小粒)7:腐葉土3ほどの割合で混ぜた土がおすすめです。
地植えは、庭土に堆肥や腐葉土、鶏糞、培養土を混ぜておくとよいですよ。ただ、アルカリ性の土は不要です。苦土石灰などアルカリ性の強い園芸用土を混ぜた土も避けてください。
水やり
地植えは、一度根付いてしまうとほとんど行う必要はありません。鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにし、冬は控えめにします。
肥料
キンモクセイの地植えは、リン酸やカリウムの多く含まれた有機肥料や草木灰などを2月頃に与えます。油かすなど窒素成分の多いものは、葉の生長を促す反面、花つきが悪くなりやすいので注意してください。
鉢植えは、2月と5月、開花前の8~9月上旬に有機肥料やリン酸分の多い化成肥料を1回ずつ施します。液体肥料では栄養が足りず、花つきに影響するので気をつけてください。
金木犀(キンモクセイ)の植え替え時期と方法は?
キンモクセイは、植え替えによって根が傷つきやすく、水や養分を吸い上げる力が弱くなるので植え替えはしません。ただし、鉢植えは根詰まりを起こしやすく、枯れてしまう可能性があるので2~3年に1回ほど植え替えをします。
水はけが悪くなったり、鉢全体に根がまわったりしたら植え替えのサイン。3〜4月頃を目安に、1回り大きな鉢に植え替えてください。
- 鉢から苗を取り出す
- 根の周りについた土を、軽くもみほぐしながら落とす
- 黒く変色している根があれば切り取る
- 苗の1回り大きな鉢に鉢底石と土を入れる
- 植え付けと同じように苗を植える
金木犀(キンモクセイ)の増やし方!挿し木の時期と方法は?
挿し木
キンモクセイは、挿し木によって数を増やすことができます。挿し木は、花が咲くまで5~7年かかるため、気長に育てたい方におすすめです。7月下旬~9月上旬が適期なので、新芽がついた枝を切り取って挿し穂とします。
キンモクセイは、挿し木による発根率が高くありません。発根率を高めるために、光を通すガーデニング用のビニールシートを用意しましょう。挿し木をした容器全体をすっぽり覆ってあげると、発根率が高まります。
- まだ生長中の新芽の枝を選ぶ
- 殺菌済みのハサミで切り口が斜めになるよう10~15cmほど切り取る
- 切り口を2時間ほど水につける
- 水から取り出し、切り口に発根促進剤をつける
- 赤玉土かパーライトを入れた鉢やポットに挿す
- 発根するまで土を乾燥させない
金木犀(キンモクセイ)の花木が育ってきたらどうする?
キンモクセイの花木が育ってきたら、3〜4年に1回くらいの頻度で、2~3月に長く伸びた枝をバッサリ切り落としましょう。
伸びた枝の下に花をつける性質なので、剪定したところに花をつけます。完成形をイメージしながら、枝が重なり合っているところを間引きしてあげるときれいに仕上がりますよ。キンモクセイは生長が早いので、風通しがよくなるくらい枝を切り落としても問題ありません。
キンモクセイ(金木犀)の育て方で注意する病害虫は?
キンモクセイがかかりやすい病気は、褐斑病や先葉枯病、炭そ病などがあります。原因は、日当たりや風通しが悪いことです。
特に、梅雨に発生しやすいので注意してください。鉢植えなら換気を心がけ、風通しのよい場所へ移動させましょう。
新芽に感染すると被害が拡大するので、病気になっている葉を見つけたらすぐ取り除きます。また、カイガラムシ類やハダニが発生した場合には、専用の薬剤を散布して駆除しましょう。
- 褐斑病:葉の周囲に褐色の斑点ができ、その後白っぽくなって枯れる
- 炭そ病:葉縁に褐色の円形の病斑ができて枯れる
- 先葉枯病:葉の先端が黄色っぽくなって後に灰白色になる
金木犀(キンモクセイ)の育て方のポイントは?
1. 日当たりがよい場所
キンモクセイは日光を浴びるほど生長するので、日当たりのよい場所に植えます。日陰でも育ちますが、枝は細くなる、花つきは悪くなる、常緑樹なのに葉を落とすといったことになってしまいます。鉢植えも同じように日当たりのよい場所で管理してください。
2. 暖かく、澄んだ空気
キンモクセイは寒さに弱いので、東北よりも西南部でのみ地植えが可能です。また、大気汚染の影響を受けやすく、空気の汚れた場所では花つきが悪くなるので注意してください。
3. 水はけのよい土
キンモクセイは、過湿を嫌うので水はけのよい土で育てます。水はけが悪い場合は、川砂や腐葉土などを混ぜ込んで調節しましょう。
金木犀(キンモクセイ)を育てて香りを楽しもう
キンモクセイは、独特の香りが人気の花木です。乾燥させた花を使って、香水やアロマオイルが作られます。
人によって好き嫌いはあるようですが、男女問わず親しまれる香りなんですよ。そんなキンモクセイの花の香りや見た目を楽しんで、秋の訪れが感じられたらすてきですね。
更新日: 2020年10月21日
初回公開日: 2015年06月04日