秋の登下校時に通学路から漂う甘く芳しい香りを覚えていますか。小さな花から漂うキンモクセイの香りは、なんだか懐かしい気持ちにさせてくれますよね。また、オレンジ色の花びらと濃い緑色の葉っぱのコントラストは鮮やかで印象によく残ります。今回は、秋の風物詩といわれる金木犀(キンモクセイ)の花言葉や見頃の季節、開花時期などについてご紹介します。
金木犀(キンモクセイ)の花言葉は?
1. 『謙虚・謙遜』
強い香りが印象的な一面とは裏腹に、咲かせる花は直径1cmにも満たないと小さくつつましい様子にちなんでつけられました。
2. 『気高い人』
季節の変わり目に降る秋雨の中で、潔くすべての花を散らせることが「気高い人」という花言葉の由来となっています。
また中国では位の高い女性の香料などに加工されたキンモクセイが使われていたなど、この花言葉の由来となっているとも言われています。
3. 『真実』
キンモクセイのその香りの強さから、開花時を隠すことやごまかすことができず周囲の人が知る。そのような嘘のつけない香りが「真実」の由来になっているようです。
4. 『陶酔』
陶酔という花言葉は、その強い香りに由来します。原産国の中国で、香りを活かしてお茶やお酒、お香などに利用されていたこともあり、「陶酔(気持のよいほろ酔い気分にさせてくれる)の香り」にちなんでつけられました。
キンモクセイの香りは、3~7日間ほどの短い開花期間のみ感じることができるので、後に目が覚める陶酔という言葉はぴったりですね。
5. 『初恋』
「初恋」もキンモクセイ特有の甘い香りが由来です。人生で誰もが経験し忘れられない「初恋」、そしてキンモクセイの香りも一度かいでしまったら忘れられません。
その一生に一度の忘れることのできない経験がこの花言葉に結びついているのでしょう。
金木犀(キンモクセイ)とは?どんな花を咲かせる植物?
キンモクセイは、モクセイ科・モクセイ属の常緑性の小高木樹です。中国南部が原産で、江戸時代に日本に伝わってきました。もともとはギンモクセイの変種です。
本来は雌雄異株ですが、輸入された際に雄株しか入ってこなかったことから、日本にあるキンモクセイには実(種)がつきません。
大きい樹木で10mほどまで育ち、日本では観賞用として公園や庭先でよく栽培されています。原産地の中国では、丹桂(たんけい)や桂花(けいか)という別名で知られており、観賞用以外にお茶やお酒(白ワイン)、お菓子、漢方薬など花びらを食用や薬用に扱える植物としても親しまれています。
名前の由来
学名の Osmanthus は、ギリシャ語のosme(香り)とanthos(花)に由来しています。
また、fragransは「芳しい香り」、aurantiacusは「橙色の」という意味があり、学名全体を通してキンモクセイの花の様子が伝わってきます。
金木犀(キンモクセイ)の花の色や別名は?
- 学名
- Osmanthus aurantiacus (Makino) Nakai
- 科・属名
- モクセイ科・モクセイ属
- 英名
- fragrant orange-colored olive
- 原産地
- 中国南部
- 開花期
- 9月中旬~10月下旬
- 花の色
- オレンジ
- 別名
- 桂花(ケイカ)
丹桂(タンカ)
金桂(キンカ)
丹桂(タンカ)
金桂(キンカ)
金木犀(キンモクセイ)の見頃の季節や開花時期は?
キンモクセイの開花時期は、9月中旬〜10月下旬です。環境によって異なりますが、9月に一旦花が咲き終えた後、10月に新しい花が開花して下旬まで楽しむことができる2分咲きや四季咲き品種もありますよ。
ただし、キンモクセイの花の開花期間は短く、1週間ほどです。庭先で育てることが多いで樹木ですが、鉢植えにも適しています。移動できる鉢植えで部屋の中で香りを満喫できる楽しみがありますね。
金木犀(キンモクセイ)の種類や品種は?
キンモクセイは、モクセイ科・モクセイ属の1つの品種です。同じモクセイ属には、約30種の仲間がおり、今回はいくつか代表的な仲間の品種をご紹介します。
ギンモクセイ(銀木犀)
キンモクセイの元となった品種です。キンモクセイと区別がつきにくいですが、キンモクセイがオレンジの花を咲かせるのに対して、ギンモクセイは白の花をつけます。
また、キンモクセイほど香りが強くなく、葉に切り込みがあるという違いもあります。キンモクセイと同様に、日本には雄株のみが栽培されています。
ウスギモクセイ(薄黄木犀)
ウスギモクセイは、薄い黄色の花をつけるギンモクセイの園芸品種で、ぽつぽつと花が開き、弱めの香りが特徴です。関西以南には自生もみられ、キンモクセイと違い雌株も存在していることから、果実を実らせます。
シキザキモクセイ (四季咲きキンモクセイ)
真夏を避けて、1年を通して何度も花が咲く品種です。オレンジの小さな花が枝の付け根にビッシリと咲き、爽やかな香りを放ちます。
背丈も大きくなく、花木全体がきれいな緑色をしていることから、よく生垣に使われます。キンモクセイと同じく、日本で栽培されているのは雄株で実をつけません。
ヒイラギモクセイ(柊木犀)
ギンモクセイとヒイラギの雑種とされていますが、まだ詳しくは解明されていません。
葉は硬くて分厚く、縁がギザギザしており、1枚4mmの花びらを4枚つけるのが特徴です。秋に花を咲かせ、わずかに香りがあります。人家の生垣や公園の植木としえ日本各地で植栽されています。
ヒイラギ(柊)
日本の関西から東アジアに広く分布し、3~6mくらいまで生長する常緑小高木です。晩秋から初冬に白の花を咲かせ、よい香りを放ちます。
葉は硬く、縁にギザギザした鋭いトゲが9個程度あるのが特徴です。木が年老いるとトゲはなくなり、雌株だけでありながら稀に黒く熟した種子をつけます。
リュウキュウモクセイ(琉球木犀/月桂)
琉球列島や台湾、中国南部に分布する常緑の高木で、6月に白い花が咲きます。ヒイラギとギンモクセイの雑種とみなされており、弱い香りを放ちます。温暖地の生垣などによく利用されています。
金木犀(キンモクセイ)の花言葉は香りと花姿に由来する
花姿や香りが由来となって、「謙遜、謙虚」など控えめな言葉や「気高い人」などうちに秘める花言葉をもつキンモクセイ。家の改装や住宅地として開拓される土地が増え、キンモクセイを庭木として育てている場所は年々少なくなってきているかもしれません。
庭に空いている場所がある方は、ぜひキンモクセイの栽培にチャレンジしてみてくださいね。
更新日: 2023年06月21日
初回公開日: 2015年06月04日