剪定は、植物を育てるときに必ずついてまわる作業です。特にはじめてのときは、どこを切ればいいのか、植物を枯らしてしまわないかと不安になってしまいますよね。基本を知れば、おのずと切るべき場所が見えてきますよ。今回は、剪定の意味や時期と方法、切り落とす忌み枝とはなにかについてまとめました。
剪定とは?意味は?
剪定とは、植物の不要な部分を切り取って整えることで生育を促し、美しい姿に仕上げる作業です。もともとは「樹木の枝を切り落とし、形を整える」という意味合いで使われてきました。
最近では、草花も含めて「生長のために花・葉・茎を切り落とす作業」の総称として使われています。
たとえば、根よりも枝葉が生長しすぎた樹木は弱りやすいといったように、植物は、根と地上に出ている茎葉や枝のバランスがとても大切です。剪定をすることで、根と地上部のバランスを合わせ、健やかな生長をサポートします。
また、茂りすぎた葉っぱや枝、枯れ葉を取り除くことで、病気や害虫を予防します。
剪定の意味
● 株への負担を軽減
● 新芽を出させる
● 花や果実を大きくする
● 美しい姿の維持
● 病害虫の予防
剪定の種類は?強剪定・軽剪定とは?
剪定には、大きく分けて「基本剪定(強剪定)」と「軽剪定(弱剪定)」という2つの考え方があります。それぞれにいくつか種類があり、最適な時期に行うことで植物の美しい姿が保たれ、病害虫に強くなります。
ただ、かならずしも全ての剪定方法を行うわけではなく、植物それぞれの性質に合ったものを選ぶことが大切です。
強剪定とは?
冬か春頃、美しい姿を作り、生育を促すために行う剪定のことです。大胆に枝や茎をカットすることが多いことから、「強剪定」といわれます。
また、樹木の剪定においては、骨格を作る意味があるので、「整枝剪定」「骨格剪定」というときもあります。花や実をつけるものは、むやみに枝を切ると花芽を落としてしまうので注意が必要です。
弱剪定とは?
夏か秋頃、植物の姿を整えるために行う剪定です。美しい姿を保ち、病害虫の発生を防ぐほか、花後2ヶ月以内に行うことで花や実つきをよくします。樹木の場合は、「夏期剪定」「整枝剪定」「弱剪定」ともいいます。
強剪定の種類や方法は?
1. 切戻し(切り戻し)
太い枝や茎を途中から切って短くすることで、ほとんどの植物に対して行います。姿を整える、幹や株元に日を当てて生育を促す、風通しをよくするといった効果があります。
ただ、意外とむずかしく、時期を間違えたり、切りすぎたりしてしまうと、姿が乱れ、生育を妨げてしまう場合も。樹木の切戻しをするときは、残す芽の1cmくらい上の位置を切るようにすると安心です。
草花なら草丈が2/3~1/3程度になるようにカットして、株への負担を減らしてあげましょう。
2. 枝抜き(透かし剪定)
樹木に対しての剪定で、全体のバランスを見ながら、弱い枝や古い枝を枝元から切り落とす方法です。切り口が目立たないため、今の樹形を維持したまま、すっきりさせることができます。
3. 切返し(切り返し)
枝分かれした小枝を分岐点から切り落とす剪定で、樹木に対して行います。大きくなりすぎた樹高を縮め、根とのバランスを合わせます。
弱剪定の種類と方法は?
1. 摘心(摘芯)
茎や幹の先端を切り落とし、株が横に広がるようにするための剪定方法です。生育期に、長く伸びた幹や枝の先端にある芽を摘み取ると、そこから左右に新しい枝や茎が生えてきます。繰り返し行うことで、こんもりとした姿に仕立てることができます。
2. わき芽かき
幹や茎の脇から出ている芽を摘み取ることで、主茎や幹の生育を促す作用があります。主にトマトやナスなど、わき芽を減らさないと大きな実がつかない野菜に対して行います。
3. 摘蕾・摘花・摘果
実をつける野菜や果樹に対して行う剪定で、蕾を摘み取る「摘蕾」、花を摘み取る「摘花」、実を摘み取る「摘果」を時期に合わせて行います。実をつけすぎないようにすることで、株の生育を促し、大きく味のよい実を収穫できるようになります。
4. 花がら摘み・小葉かき
枯れた花や葉っぱを摘み取る作業のことです。咲き終わった花をそのままにしておくと、結実して種がつき、株の栄養を奪ってしまいます。また、枯れ葉を放置するとカビが発生し、病気にかかりやすくなるほか、株が蒸れて害虫に寄生されやすくなります。
剪定の意味は、生長のため
雄大な自然環境下ではなく、スペースの限られた庭で植物を育てるには、適切な剪定が必要です。放置していても樹形が整うのであればよいのですが、そういった植物の数は多くありません。
植物それぞれの生長を楽しみながら、本来の魅力を引き出す剪定も楽しんでみてくださいね。
更新日: 2023年04月12日
初回公開日: 2015年11月23日