剪定は、庭木や植木のお手入れで重要な作業の一つです。やみくもに枝を切っても樹木はうまく育ってくれません。むしろ、間違った時期や方法で剪定をしてしまうと、花が咲かなかったり、枯れてしまうことも。基本を知ることがきれいな木を育てる第一歩となりますよ。
今回は、庭木や植木の剪定について、方法や時期、日常の手入れの方法などをご紹介します。
庭木(植木)の剪定とは?
観賞用の庭木であれば、美しい樹形を保つため行います。一方、栽培を目的とする植木であれば、生長させたい幹や枝の生長を促すために、余分な枝を切り落とします。
樹木にとって増えすぎた枝は、養分や水を吸い上げる根への負担を増やします。
また、枝葉が混み合うことで風通しが悪くなり、害虫や菌の被害を受けやすくなることから、樹木の栽培において剪定は重要な役割を担っています。
庭木(植木)の剪定の時期は?時期と種類の一覧表
剪定の時期
剪定名 | 針葉樹 | 落葉樹 | 常緑樹 |
基本剪定 | 4~5月 | 11月中旬~2月 | 5~6月 |
軽剪定 | 10~11月 | 7月中旬~8月 | 9~10月 |
一般的に、常緑樹・針葉樹は新芽が出る前か、新葉の生長が一段落して新枝がある程度固まった頃、落葉樹は葉が落ちたあとの休眠中に基本剪定を行います。
そして、繁茂した枝葉を整え、花後の手入れをするのが軽剪定です。
剪定の適期は庭木や植木の種類や生長段階によって違うので、それぞれの樹木の生育サイクルに合わせた剪定を行うことが大切です。
特に、真夏は樹木の体力が落ちやすい時期なので、基本剪定はできるだけ控えるようにしましょう。
庭木(植木)のどんな枝を剪定する?
樹形を美しく保ち、樹木の健康を守る上で、切り落とした方がよい枝のことを「忌み枝(いみえだ)」といいます。
せっかく伸びた枝を切るのに抵抗のある方もいるかもしれませんが、これらの枝はすでに役目を終えた不要な枝で、残しておくと樹木の生長を妨げます。
剪定後は枝ぶりが寂しくなったように感じますが、しばらくすると以前より生き生きとした姿になるので心配しなくても大丈夫ですよ。
下記に、忌み枝8種をご紹介します。
1. 徒長枝(とちょうし)
勢いが強く、伸びすぎた枝のことです。樹形を崩し、美観を損ねます。
2. 立ち枝(たちえだ)
徒長枝の1種で、横に広がらず、垂直にそびえ立った枝のことを指します。特に幹や太い枝から生え、放っておくと樹形を乱し、株に負担をかけます。
3. 平行枝(へいこうし)
ごく近い場所から同じ方向に伸びた上下2段の枝のことです。見た目が単調な印象になるので、いずれかを切り取るか、長さを調節します。
4. 逆さ枝(さかさえだ)
自然な枝の流れに逆らい、違う方向に伸びている枝です。庭木の種類によっては残す場合もありますが、基本的には枝元から切り落とします。
5. からみ枝(からみえだ)
他の枝や幹にからみつくように伸びた枝のことです。放っておくと、枝同士がこすれて傷みやすくなります。
6. 交差枝(こうさえだ)
幹やほかの枝と交差するように伸びた枝のことです。自然な枝ぶりを妨げるので、枝元から切り落とします。
7. 幹吹き(みきふきえだ)
幹の途中から伸びた細い枝のことで、胴吹きとも呼ばれます。養分をとられて樹勢が弱くなるので、早めに切り落とすことがポイントです。
8. ヒコバエ
根元や地中から勢いよく伸びた若い枝のことです。春~夏に多く、主幹の勢いを弱くしてしまいます。
庭木(植木)を剪定する方法は?
剪定の方法には種類があり、それぞれに目的が違います。迷ったときは、何のために剪定するのかを考えてみましょう。代表的な剪定の種類をご紹介します。
1. 切り返し(切り戻し)剪定
分岐した枝の若い方を残して、古い枝を途中から切り落とす作業です。大きくなりすぎた樹木を小さくしたいときや、傷んだ枝を更新したいときに行います。
また、残した枝や芽が勢いよく育つので、花木、果樹の花や実を大きくしたいときにも適しています。
2. 切詰め剪定
伸びすぎた若枝や古枝の枝先を切り、葉っぱが茂っている樹冠の大きさを整える剪定です。
若枝を切るときは、芽の上3mmくらいのところを斜めに切るのがポイント。芽から先を長く残してもその部分が枯れてしまうだけです。
3. 枝おろし剪定
太い枝をノコギリで上下に切り込み、付け根から切り落とします。
大きな枝が少なくなると根に栄養がまわって活着しやすくなるため、主に植え替え後に行われます。切り口にはペンキか抗菌癒合剤を塗り、腐敗を防止しましょう。
4. 枝抜き剪定(枝透かし)
混みすぎた枝や長く伸びすぎた枝だけを、1枝ずつ剪定バサミで切り落とす剪定です。
不要な枝を取り除くことで樹形を整えるだけでなく、幹へ日光が均等に当たるようになり、樹木全体の生長を助けます。
5. 刈り込み剪定
枝葉の表面を整える剪定です。刈り込みバサミや電動バリカンを使って1度に広範囲をカットし、枝葉が密に生えそろうようにします。
目隠しを兼ねた生垣や形を大切にする玉づくり、トピアリーでは定期的に行う必要があります。
剪定後の庭木(植木)の手入れの仕方や時期は?
水や肥料を与える手入れと同じで、「弱い剪定」をします。一見地味なようですが、これらも樹木の健康を守るためには欠かせない作業です。
気づいたときに簡単にできる剪定をご紹介します。
1. 花がら摘み、古葉かき
しおれかけた花や古くなった葉を摘み取ります。草花の栽培でもお馴染みの作業ですが、これも剪定方法の1つです。
株への風通しと日当たりをよくすることで、病害虫の予防と早期発見、次の花や実に栄養をまわすといった効果があります。
2. 摘心、摘蕾、芽かき
不要な新芽やつぼみをかき取ります。枝が伸びすぎて見た目が悪くなるのを防ぎ、樹勢を抑えることで樹木への負担を減らしましょう。
栄養が効率よく行き渡るので、美しい花を咲かせたり、果実を大きくしたりするのにも役立ちます。
庭木(植木)の剪定時期や量を守って剪定してみよう
早すぎる剪定や剪定の量が多すぎると、かえって不要な枝を増やすことがあるので気をつけてくださいね。
庭木や植木を購入するときは、自分でどこまで手入れできるのかをよく考え、無理なく付き合っていける樹木を植えましょう。
剪定に自信をもてない方は、低木や生育の遅い木、虫のつきにくい木を選ぶといいですよ。
更新日: 2021年09月27日
初回公開日: 2015年11月23日