古くから日本で親しまれているアヤメ。よく似ているカキツバタやハナショウブと違い、湿地ではなく地面で育てられることが魅力の1つです。庭に植えると、初夏に紫色のすずしげな花を咲かせてくれますよ。今回は種まきや苗植えの時期と方法など、アヤメの育て方をご紹介します。
アヤメの育て方のポイントは?
アヤメは日光を好むので、日当たりのよい場所に植え付ければ、それほど手間をかけずに育てることができます。日陰に植えると花つきが悪くなるので注意してください。
アヤメの種まき、苗植えの時期と方法は?
種まき
種は市販されていないことから、花が終わる6月頃に採取し、乾燥させたものを植えていきます。花が咲くまで3年以上かかることから、気長に育てたい方におすすめです。寒い12~2月以外であれば、いつでも育てはじめられますよ。
1. 赤玉土(小粒)など種まき用の土に種をまく
2. 軽く土を被せ、土が乾かないよう水やりをして管理する
3. 約1ヶ月で芽が出るので、その後は土の表面が乾いたら水を与える
4. 苗の大きさに応じて植え替えを繰り返し、草丈10cmほどになったら鉢や地面に植え付ける
苗植え
2~3月が適期です。鉢植えは、5号鉢に1株を目安に植え付けていきましょう。地植えは、日当たりと水はけのよい場所を選び、株同士の間隔を20cmほど空けて植えてください。
アヤメの土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
アヤメは、水はけのよい土を好みます。鉢植えは、赤玉土小粒6~7:腐葉土3~4の割合で混ぜたものが適しています。市販の草花用培養土を使ってもかまいません。地植えは、植え穴を掘るとき、腐葉土を混ぜて耕すと水はけがよくなりますよ。
水やり
鉢植えは、土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。地植えは、植え付けから1~2週間は地面が乾かないよう水やりをしますが、その後は必要ありません。
ただし、冬は地上部が枯れて根だけになってしまうので、鉢植えは土が乾いて2~3日たってから水やりをしましょう。
肥料の与え方
2~3月と、9~10月に、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を株元に施します。与え過ぎると株元から腐ってしまうので、控えめに与えるのがコツです。
アヤメの剪定の時期と方法は?
花がら摘み
枯れた花をそのままにしておくと、種がついて株の栄養がそちらに奪われてしまいます。しおれてしまった花は、摘み取ってしまいましょう。その後再び花が咲きますよ。
花茎切り
開花期が終わったら、茎を根元から切り落とします。そのままにしておくと、茎が腐って株が傷んでしまいます。また、病害虫の被害にもあいやすくなってしまいます。
アヤメの植え替えの時期と方法は?
生育がよく、根詰まりを起こしやすいため、毎年1回り大きな鉢に植え替えをします。2~3月か、6~7月が適期です。手順は、植え付け時と同じです。地植えは、植え替えの必要はありませんが、株分けも兼ねて3~4年に1回植え替えをすると、株の生育がよくなります。
アヤメの増やし方!株分けの時期と方法は?
2~3月か、6~7月に、植え替えを兼ねて株分けをします。1株を2~3株になるよう、手やハサミで分けていき、それぞれを鉢や庭に植え付けていきます。葉っぱを半分くらいの長さに切ると、余分な水分の蒸発がなく、根を傷める心配がありません。
アヤメの育て方で注意する病害虫は?
ニカメイチュウ
初夏から初秋にかけて発生する害虫で、茎の中に潜んで株を食い荒らします。そのままにしておくと、茎が枯れてしまうので、見つけたら被害にあった部分を切って、薬剤で駆除します。
アヤメの育て方は簡単!
きれいな紫色の花を咲かせるアヤメ。古今和歌集の和歌の題材にもなるほど古くから日本人に愛されている花の1つです。耐暑性、耐寒性がともに高く、初心者の方でも安心して育てられます。
花の姿は独特で上品な印象を与えることから、庭に1輪咲いているだけでも存在感がありますよ。
更新日: 2021年03月24日
初回公開日: 2015年12月06日