以前はうまく植物が育ったから、今年も同じ場所で育ててみたら、なんだかうまく育たない…という体験をしたことがありませんか?これは、連作障害と呼ばれる現象です。植物の生育が悪くなるのは悲しいことですが、連作障害について知っていると、失敗せずにすみますよ。
今回は、連作障害とはどんな現象なのか、原因や対策となる肥料、家庭菜園でかかりやすい野菜の種類などについてご紹介します。
連作障害とは?
同じ場所で同じ植物を何度も育てることを「連作」といいます。このとき、何かしらの原因で植物の生育が悪くなったり、枯れたりすることを「連作障害」といいます。「忌地・厭地・いや地(いやち)」と呼ばれることもあります。
連作障害の原因は?
連作障害には、いくつかの原因があり、複数の原因が重なって発生することも少なくありません。どんな原因があるのかを知ったうえで、適切な処置と対策を立てることが連作障害の被害を減らすポイントです。
1. 病気や害虫が土の中いる
前の年に育てた作物に寄生していた病気や害虫が土の中に残っていると、土から伝染して被害が拡大してしまいます。アブラナ科の野菜に起こりやすい根こぶ病や、センチュウによる被害が代表的な例です。
2. 土壌の成分が悪い
植物は、生長する過程で、アレロパシーという毒素を根から土に排出します。アレロパシーは、他の植物の生長を抑えるほか、動物や微生物を引き寄せたり防いだりする効果があり、排出すること自体は生理的な現象です。ただ、このアレロパシーの濃度が高い土で植物を育てると、生育に悪影響を与えてしまいます。
3. 肥料成分のバランスが悪い
植物によって必要とする肥料成分のバランスが違います。そのため、肥料成分のバランスが極端に崩れていると、植物に必要な成分が多すぎたり、少なすぎたりして、生育が悪くなります。
連作障害を予防する方法は?
1. 輪作をする
輪作とは、異なる植物を一定周期ごとに交互に植える方法のことです。吸収する養分やかかりやすい病害虫が違う植物を植えることで、土の状態が悪くなるのを防ぎます。
2. 土を入れ替える
連作障害は、土から悪い影響を受けることがほとんどなので、土そのものを入れ替えることも1つの方法です。プランターや鉢植えは、毎回新しい土を使うと安心です。地植えは、他の場所から性質の違う土を混ぜ込んだり、深いところの土を掘り返したりするとよいですよ。
3. 土壌を消毒する
専用の薬剤や太陽熱、水を利用して土を消毒していきます。夏場に古い土の上にビニールで覆って熱で病原菌や害虫を排除していく方法が最も簡単で経済的です。薬剤を散布するなら、キトサンやカニガラを利用します。
4. コンパニオンプランツを利用する
コンパニオンプランツを一緒に植えることで、病気や害虫を避けることができます。例えば連作障害を起こしやすいウリ科の野菜のそばに、ネギ類を合わせて植えると、「つる割病」など連作で生じやすい病気が減ります。
5. 接木苗を使う
病気に強い種類や品種の苗を台木に、育てたい野菜の苗を繋いで育てます。根が別の植物なので、連作障害を避けることができます。
連作障害を防ぐための肥料や土作りとは?
連作障害を防ぐには、土に腐葉土や完熟堆肥などの有機質肥料を混ぜるのが効果的です。減ってしまった土の中の微生物の活動を有機質肥料によって促し、病気や害虫を予防することができます。牛糞など動物性の堆肥より、バーク堆肥などの植物性が適しています。
家庭菜園で連作障害になりやすい野菜と原因となる病害虫
野菜 | 病気や害虫 | |
ナス科 | トマト、ナス | 青枯病、半身萎凋病、センチュウ |
ピーマン | 立枯性疫病 | |
ウリ科 | キュウリ、メロン、スイカ | つる割病 |
マメ科 | えんどう豆 | 立枯病 |
アブラナ科 | ハクサイ、ブロッコリー、キャベツ | 根こぶ病 |
ダイコン、キャベツ | 萎黄病 |
輪作の目安の時期
次の植え付けまでの時間 | 野菜名 |
連作可能 | タマネギ、ネギ、ニンニク、ワケギ、ニンジン、トウモロコシ、サツマイモ |
1年以上空ける | カブ、ミズナ、コマツナ、ホウレンソウ |
2年以上空ける | キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、ジャガイモ、レタス、オクラ |
3~4年以上空ける | キュウリ、ショウガ、サトイモ、ヤマイモ、えんどう豆 |
4~5年以上空ける | ナス、トマト、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、ソラマメ、スイカ、メロン、ごぼう |
連作障害を予防して野菜や植物を元気に育てよう
連作障害は、一度発生してしまうと元の状態に戻すことはとても大変です。また、同じ植物じゃないからといって、同じ科だと連作障害が起こりやすくなります。トマトの後にはブロッコリー、ナスの後にはエダマメ、キュウリの後にはホウレンソウなど植物の相性を調べ、うまく輪作をすることが大切ですよ。
更新日: 2018年08月31日
初回公開日: 2015年12月15日