早朝、つめたい朝露をふくんで咲く夏の野草、ツユクサ。わずかな時間でしぼんでしまう、小さな青い花の儚さから、万葉集では物事の移ろいゆくさまを詠んだ和歌に登場します。あまり知られていませんが、山野草の中ではアクが少なく、やわらかい新芽は食用にもなるんですよ。今回は、そんなツユクサについて、どんな花なのかや花言葉、種類などをご紹介します。
ツユクサ(露草)の花言葉とは?
『尊敬』『なつかしい関係』『恋の心変わり』『敬われない恋』
花言葉の「尊敬」は、澄んだ青い花の奥ゆかしさにちなんで付けられました。また、身近なところに咲き、昔から愛されている野草ということで、親しみを込めて「なつかしい関係」という花言葉が付けられています。
「恋の心変わり」「敬われない恋」は、花がすぐ枯れてしまう姿と、恋の儚さが重なってたとえられたものです。
ツユクサ(露草)の花の色や別名は?
- 学名
- Commelina communis
- 科・属名
- ツユクサ科・ツユクサ属
- 英名
- Day flower
Asiatic dayflower
- 原産地
- 日本、東アジア
- 開花期
- 6~9月
- 花の色
- 青、白
- 別名
- 鴨跖草(オウセキソウ)
青花(アオバナ)
蛍草(ホタルグサ)
月草(ツキクサ)
帽子花(ボウシバナ)
ツユクサ(露草)とは?どんな花を咲かせる
ツユクサは、ツユクサ科・ツユクサ属に分類される一年草です。道端などでごく自然に見かける山野草となっています。「露草」という名前は、朝に咲いても昼にはしぼんでしまう花姿が朝露を連想させることから、名付けられました。万葉集などの和歌集では「蛍草」「月草」などの別名で表記されることが多く、その情緒ある咲き姿から、俳句の秋の季語にも選定されています。
草丈は15~50cmで、茎が地面をはうように生長します。葉っぱは笹のようで、互い違いに生やします。そして、夏~秋にかけて、青色が鮮やかな直径1.5~2cmほどの花を次々に咲かせます。青紫色の大きな花びらが2枚、下に無色の小さな花びらが1枚でできており、中心には長い雄しべが2本と、黄色く短い雄しべが4本生えています。黄色い4本の雄しべに花粉はなく、2本の長い雄しべだけが花粉を出すんですよ。
ツユクサ(露草)の効能は?
ツユクサには、湿疹、あせも、解熱、解毒、下痢止め、利尿、脳血栓予防などの薬効があります。全草を乾燥させたものは、「鴨跖草(おうせきそう)」という名前で生薬にされますよ。また、花が咲く前の葉茎は、おひたしや味噌和え、野菜炒め、天ぷらにして食べることもできます。近年は、糖質の吸収を阻害する効果が注目され、ダイエット食品にも配合されるようになりました。
ツユクサ(露草)の種類や品種は?
ツユクサの原産地は、日本、東アジアです。平安時代までは衣服に柄や色を着ける染料に利用され、江戸時代以降は色素が水溶性で長く残らない性質を利用して、染め物の下絵付けなどに重宝されていました。
花の色や形に変化が多いことで知られ、観賞用としてもさまざまな品種が栽培されていますよ。下記に、ツユクサの代表的な種類や品種をご紹介します。
シロバナツユクサ
ツユクサの変種で、純白の花を咲かせます。自生は稀ですが、一度白く変異するとその性質は種にも受け継がれるため、毎年同じ場所で見ることができます。
斑入りツユクサ
通称「ギンスジツユクサ」とも呼ばれます。葉っぱの葉脈に沿って白い斑が入り、見た目はツユクサ科の観葉植物トラディスカンティアとよく似ています。
メガネツユクサ
「フクリンツユクサ」とも呼ばれます。草丈30~50cmほどに生長する園芸品種で、花はツユクサより1回り大きく、青い花に白の縁どりが入ります。
ケツユクサ
花の付け根にある苞の外側に長く白い毛が生えている品種です。苞だけでなく葉裏にも細毛が生えたものは、「オニツユクサ」「ヒメオニツユクサ」といいます。
ウスイロツユクサ
ツユクサの中でも、特に花色の薄い品種を呼びます。淡水色~淡紫色の花を咲かせ、中にはほとんど白に近いものもあります。
オオボウシバナ
通称「青花(アオバナ)」とも呼ばれるツユクサの栽培変種です。草丈1m、花の直径4~5cmほどの大型で、かつては友禅染めの染料に利用されていました。
ツユクサ(露草)の花言葉を夏に楽しもう
ツユクサの花は、朝に咲いたら昼には枯れてしまいます。その可憐で儚げな姿が、古くから日本人の心をとらえ、多くの和歌の題材にされてきました。道端で何気なく見かける野草ですが、夏の花には珍しい青い花色は、すずしげな雰囲気を演出してくれますよね。
なかなか園芸店で見かけることはありませんが、庭のアクセントに加えてみるのもよいですよ。
更新日: 2021年03月17日
初回公開日: 2016年02月19日