色鮮やかな小さい花と、鋭いトゲが特徴のハナキリン(花麒麟)。あたたかい場所であれば、一年中花を咲かせる鉢花として人気の植物です。緑が減る冬にハナキリンを1つ置くと、お部屋の印象が明るくなりますよ。今回は、そんなハナキリンの育て方を、挿し木や剪定の方法などもまじえてご紹介します。
ハナキリン(花麒麟)とは?どんな植物?
ハナキリンとはトウダイグサ科に分類される多肉植物です。長さ2cmほどの鋭く太いトゲが生えた茎を伸ばし、背丈は20〜100cmほどに生長します。大きくなると、多肉植物というより樹木のような印象を受けます。
気温が高く乾燥したマダガスカル島が原産で、あたたかい場所であればほぼ1年中花を咲かせます。花の大きさは品種によって異なり、直径1〜2cmと小ぶりなものから、5cm以上と大きなものまであるので、飾る場所に合わせて選ぶと楽しいですよ。
ハナキリン(花麒麟)が元気に育つ置き場所や日々のお手入れは?
ハナキリンは鉢へ植えられたものが2〜4月と6〜9月に出まわり、買ってきたらそのまま育て始められます。
ここでは、置き場所や水やり、肥料の与え方といった日々のお手入れについて詳しくご紹介します。
置き場所
「日差しがたっぷりと当たる明るい室内」がハナキリンにとって最適な置き場所です。
気温が高い時期であれば、ベランダなど屋外で育ててもかまいません。ただ、寒さには弱いので、9月以降は室内に移動してあげてください。
水やり
乾燥した環境を好むので、ハナキリンへの水やりは控えめが基本。春~夏の温かい時期は、2~3日に1回を目安に、土の表面が白く乾いてから水を与えてください。
一方、冬は生育が穏やかになり、根が水を吸う力も弱まります。9~10月頃から徐々に水やりの回数を減らし、真冬は7~10日に1回程度の水やりにとどめましょう。1ヶ月に1~2回しか水を与えなくても、枯れる心配はありませんよ。
肥料の与え方
よく育つ5〜11月の間、1ヶ月に1回のペースで液体肥料を与えれば十分です。開花を促す「リン酸」と根や茎を丈夫にする「カリウム」が多めに含まれている肥料を選んでください。
ハナキリン(花麒麟)の花が咲かない理由は?
日当たりのよい場所に置き、水と肥料を必要な分だけ与えていれば、3〜11月の間は途切れることなく赤やピンク、オレンジ色をしたハナキリンの花が楽しめます。
ただ、育てはじめた翌年から花が咲かなくなった…という方もいます。この原因は、「日当たりが悪い」「肥料を与えすぎ」「肥料が足りない」の3つが考えられます。まず、日光の当たる場所で育てているかをチェックし、日当たりが悪ければ場所を移動してください。
そして、窒素よりもリン酸やカリウムが多く含まれた液体肥料を選びます。窒素が多い液体肥料だと、茎葉ばかりが育ち、花が咲きづらくなります。成分を見てから5〜11月に肥料を与えれば、花が咲くはずですよ。
ハナキリン(花麒麟)を植え替える時期と方法は?
同じ鉢でハナキリンを育て続けると、土の中に根が伸びるスペースがなくなり、最終的には枯れてしまいます。1〜2年に一度、4〜5月に植え替えをし、生育環境をリセットしてください。
■ 植え替えのときに準備するもの
- ハナキリンよりも一回り大きな新しい鉢
- 多肉植物かサボテン用培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石や軽石
- ハサミ
- ゴム手袋や軍手
- ビニールシートや新聞紙
ハナキリンの樹液には有毒成分が含まれており、肌につくとかぶれる可能性があります。作業をするときはゴム手袋を着用し、小さなお子さんやペットが近づいてこないよう注意が必要です。
■ 植え替えの手順
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネットをかぶせる
- 鉢の底に軽石を敷き、土を鉢の1/3ほど入れる
- ハナキリンを元の鉢から抜き出し、根についた土を手でほぐしながら落とす
- 傷んだ根をハサミでカットする
- ハナキリンの根を広げながら、新しい鉢の中心に置く
- 鉢の縁から下2〜3cmほどのところまで土を入れる
- 鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと水を与える
- 最初は直射日光の当たらない少し暗めの場所に置く
- 日に当たる量が徐々に増えるよう、置き場所を1週間ごとに変えていく
ハナキリン(花麒麟)を剪定する時期と方法は?
ハナキリンの茎が伸びると、重みで倒れやすくなるうえ、見た目も悪くなります。そこで、茎を切り揃える「剪定」を定期的に行い、形を整える必要があります。清潔なハサミやナイフを準備し、6〜8月頃に行いましょう。植え替えと同時に行うときは、先に剪定をすませてから植え替えてください。
全体のバランスを見ながら、左右や上に伸びる茎を切ります。多少短く切っても、そこから新しい茎が生えてバランスがよくなりますよ。
このとき注意したいのが、切り口から出る白い樹液。有毒成分が含まれており、触れるとかぶれを引き起こす恐れがあるので、植え替えのときと同様、作業するときはゴム手袋を着用してください。
ハナキリン(花麒麟)の茎を挿し木にする時期と方法は?
剪定で出た茎は処分してもよいですが、それを使ってハナキリンを増やすことができます。「挿し木(さしき)」と呼ばれる植物の増やし方です。
5〜7月に行うと成功率が高まるので、気になる方はぜひチャレンジしてみてください。
- 先端から5〜10cmの長さにハナキリンの茎をカットする
- 切り口を斜めにカットする
- 切り口から白い樹液が出なくなるまで水洗いする
- 2〜3日切り口を乾かす
- 根が生えやすくなる発根剤を切り口に塗る
- 挿し木用培養土を3号(直径9cmほど)の鉢に入れる
- 鉢の中心に割り箸で穴を空け、茎の切り口を挿す
- 水を一切与えず、直射日光の当たらない場所で管理する
- 1〜2ヶ月ほど放っておき、根と新しい芽が生えてきたら、一回り大きな鉢に植え替える
明るい色のハナキリン(花麒麟)の花で室内に彩りを
ハナキリンは水やりの手間がかからない、はじめて栽培するのにおすすめの多肉植物です。長い期間花が咲き続け、季節を問わずお部屋に彩りを加えてくれます。
気温の高い時期であれば置き場所を選ばないので、ベランダや日当たりのよい窓辺に飾ってみてください。普段とはちがった景色が広がるかもしれませんよ。
更新日: 2023年07月05日
初回公開日: 2016年03月13日