ヒナゲシは、薄い花びらを風に揺らす姿がかわいらしいポピーの仲間です。春から夏にかけて色とりどりの花を咲かせます。群生する姿が特に美しく、鉢植えや地植え、寄せ植えにガーデニングで活用させる機会も多い一年草です。今回は、そんなヒナゲシの花言葉と名前の由来や意味について詳しくご紹介します。
ヒナゲシ(雛芥子/虞美人草/コクリコ)の花言葉とは?
1. 『別れの悲しみ』
ポピーなどケシ科の植物には、悲しい花言葉がよく付けられます。これは、ギリシャ神話に登場する1つのエピソードに由来します。
全知全能の神ゼウスの妻である、豊穣の女神デメテルには、ペルセポネという美しい娘がいました。彼女は、ある日冥界の王ハーデスに略奪されてしまいます。悲しみにくれたデメテルは眠れなくなってしまいます。そのとき、眠りの神ヒュプノスが彼女を気づかい、ケシの実を与えたと言われています。この伝説から、別れの悲しみという花言葉が付けられました。
この他にも、「虞美人草」という別名の由来となっている中国の故事が「別れの悲しみ」の由来となっているという説もあります。
2. 『心の平穏』『休息』
ケシ科の植物が付ける実の乳液にはアルカロイドが含まれており、入眠や鎮痛、麻痺といった効能があります。この作用は古くから知られており、薬として古代ギリシャやローマで使われていました。この効能が由来となって、「心の平穏」「休息」という花言葉が付けられたとされています。
ただ、大量に摂取してしまうと昏睡や呼吸困難を引き起こすだけでなく、麻薬の原料とされてきた歴史があることはよく知られていますよね。ヒナゲシなど、園芸用に作られたケシの品種は、麻薬の原料にはならないので安心して栽培してください。
3. 『七色の恋』『乙女らしさ』
これらの花言葉の由来については、定かではありません。ヒナゲシが、ギリシャ神話の女神デメテルを象徴する花であり、色とりどりの花が群生する姿が美しい姿であることにちなんで付けられた花言葉かもしれません。
和紙のように薄い花びらを付け、春風に揺られる姿が可憐な印象のヒナゲシ。うつむいたように下向きに付ける蕾からも、愛らしさが感じられます。今回は、そんなヒナゲシとはどんな植物なのかや、花言葉などについてご紹介します。
ヒナゲシ(雛罌粟/雛芥子)の花の色や別名は?
- 学名
- Papaver rhoeas
- 科・属名
- ケシ科・ケシ属
- 英名
- Corn poppy
- 原産地
- ヨーロッパ中部
- 開花期
- 4~7月
- 花の色
- 赤、白、ピンク、複色など
- 別名
- コクリコ
シャーレーポピー
虞美人草(グビジンソウ)
ヒナゲシ(雛罌粟/雛芥子)とは?どんな花を咲かせる植物?
ヒナゲシは、ヨーロッパを原産とするケシ科の一年草です。たくさんの茎を生やしながら、草丈は50~100cmほどに生長します。そして、春から初夏にかけて、茎の先に5~10cmほどの花を咲かせます。花びらは4枚で、和紙のように薄く、シワが入ります。見た目は繊細な印象ですが、寒さに強く、苗を植え付けた後は丈夫で育てやすい初心者向けの草花となっています。
「ケシ」という名前から、麻薬の「アヘン」の原料になるのではと心配される方もいますが、ヒナゲシからはアヘンは採れないので、安心して園芸に取り入れてみてください。
ヒナゲシ(雛芥子/虞美人草/コクリコ)の名前の由来は?
ヒナゲシ
ヒナゲシは、漢字で「雛罌粟」「雛芥子」と書きます。雛とは、小さくかわいらしいという意味です。ケシ科の植物の中では花が小さいことから、名付けられたとされています。
虞美人草(グビジンソウ)
虞美人草という別名は、中国の故事に由来します。三国志の時代、楚国の武将 項羽には、虞姫(ぐひ)とい美しい妻がいました。敵対している漢の国が楚国に攻め込んできた際、虞姫は項羽の足手まといにならないよう、自害してしまいます。
その虞姫の亡骸のそばに、ヒナゲシの花が咲いていたことから、虞美人草と言われるようになりました。
コクリコ
コクリコとは、ヒナゲシのフランスでの呼び名です。ちなみに、スペイン語では「アマポーラ」と呼ばれています。
学名(Papaver rhoeas)
学名のPapaverとは、粥を意味するラテン語となっています。これは、ケシの実の入眠作用から、乳液を赤ちゃんに食べさせるお粥に入れて、眠りへと導いていたヨーロッパでの週間に由来しています。
ヒナゲシ(雛罌粟/雛芥子)の種類や品種は?
シャーレーポピー
現在日本で栽培されているヒナゲシのほとんどは、シャーレーポピーと呼ばれる園芸品種を指します。花色は赤やピンクなど鮮やかで、八重咲きになるものもあります。
ナガミヒナゲシ
道ばたでよく見かける、小さなヒナゲシです。シャーレーポピーが野生化し、栄養不足によって小型化したと思われがちですが、別の品種となっています。1960年頃みつかったヨーロッパ原産の帰化種で、近年様々な場所で目にされるようになりました。
アイスランドポピー(シベリアヒナゲシ)
シベリア付近で発見されたケシ属の植物です。原産地では宿根草ですが、高温多湿に弱いため、日本では一年草として扱われます。草丈は30cmほどと低く、5~10cmくらいの小さな花を咲かせます。
ヒナゲシ(雛芥子/虞美人草/コクリコ)の花言葉には様々な由来がある
風に揺れる姿がかわいらしく、どこか儚げなヒナゲシ。その花言葉の由来は、過去ケシがどのように人々に利用されてきたのかや、ギリシャ神話のエピソードを知るきっかけになりますよね。
そしてその由来を知ることで、その花のことをこれまでよりも好きになれるかも。今度ヒナゲシの花を見たときは、今回ご紹介した由来や意味を思い返してみてください。
更新日: 2021年05月19日
初回公開日: 2016年03月15日