大切に育てた花が美しく咲いた瞬間は、ガーデニングの大きな楽しみですよね。花といってもいろいろな種類があり、生育時期や開花時期はそれぞれですが、基本的な流れとポイントは多くの草花に共通します。今回は、花の基本的な育て方やそれぞれの手入れのポイントなどを簡単にご紹介します。
花の種まきの時期と方法は?春まき、秋まきとは?
春まきとは
4月中旬〜6月いっぱいまでに種をまくことを「春まき」といいます。春まきにするのは熱帯性の草花が多く、発芽に20〜25℃以上の高温を必要とするので、ソメイヨシノが散りはじめた頃が適期にあたります。
多少早めでも気温が上がれば発芽するので、秋まきほど適期に神経質にならなくても大丈夫。ただ、5〜6月は新芽を食べてしまう害虫が発生しやすい時期でもあるので、あらかじめ誘引タイプの殺虫剤を置くと安心です。
秋まきとは
9月中旬〜10月上旬頃に種まきをしていくのが「秋まき」です。ヨーロッパ原産のものが多く、発芽適温が15〜20℃くらいとやや低めなので、短い適期を逃さないことがポイントになります。
時期が早いと大きくなりすぎて冬に冷害を受けやすく、かといって遅すぎると日照不足や発芽不良を起こして生育が悪くなってしまいます。
種まきの方法
小~中粒の種はばらまき(すじまき)、大粒の種は点まきにします。細粒の種をまくときは、二つ折りにした紙の折り目に種をのせ、重ならないようにさらさらと粉をふりかけるようにまくとうまくいきますよ。
種まきに使う土は、軽くて細かい「種まき用の土」か、バーミキュライトやピートモスの単用など、無肥料の清潔な土です。種まき後は細目のジョウロや底面吸水でしっかりと土を湿らせ、芽を生やすまで土が乾かないよう管理します。
花の苗の植え付け時期と方法は?
花壇や鉢への植え付けは、苗の本葉が5枚以上になってから行います。はじめに株全体をチェックして、黄色くなった葉っぱや咲き終わった花があれば切り取っておきましょう。根が地面へ垂直に入る直根性の植物や、生育が遅い種類以外は、育苗ポットの底で固まってしまった根をはぎ取り、土をもみほぐして落とすと、新しいしい土と馴染みやすくなります。
鉢植えは鉢の縁から1〜2cmほど低くなるように苗を植え、地植えは苗がすっぽり収まるくらいの植え穴を掘って植え付けます。植え付け後はたっぷりと水を与え、苗が落ち着くまで半日陰〜明るい日陰で管理しましょう。
花の基本的な土作り・水やり・肥料の与え方とは?
土作り
ほとんどの花は、水はけと通気性のよく、適度な保水性と保肥力のある土を好みます。赤玉土(小粒)6〜7:腐葉土4〜3のブレンドは万能タイプの基本用土で、必要に応じて改良用土で補っていくとよいですよ。
水が足りず枯れしやすい環境ではバーミキュライト、根腐れの心配があればパーライトや川砂を1〜2割ほど配合するのがおすすめ。酸性を好む草花には鹿沼土やピートモスを混ぜ、庭土や古土を使うときは苦土石灰をまいて1週間程度ねかせます。
一方、中性~弱アルカリ性の土を好む植物には、消石灰や苦土石灰を使った土の酸性度合いを調節していきます。
水やり
植物の性質によって、湿気気味や乾燥気味など、好む環境はさまざまです。ただ、多くの植物に共通しているのは、与えすぎると根腐れを引き起こすということです。これは、水が多すぎることで土の中の酸素が足りず、根が呼吸できないためです。
鉢植えは土の表面が白っぽく乾いてから、地植えは葉っぱがしおれる前にたっぷりと水を与えます。時間帯は朝〜午前中が理想的で、夏の日中に行うと蒸れの原因になり、夕方に与えると徒長しやすくなります。受け皿があるなら、水やり後毎回たまった水は捨ててください。
肥料
肥料は、植物の根や茎葉の生長を促し、たくさんの花を咲かせるために与える栄養分です。花を育てるときは、植え付けるときにゆっくりと効果があらわれる緩効性化成肥料や堆肥、腐葉土を土に混ぜ込んでおきます。
そして、その植え付け時の肥料が切れてきた頃、生育中の草花に継続して追加の肥料を施していきます。草花の栽培では、花つきをよくするリン酸や、根や茎を丈夫にするカリウムを多く含むものが利用されます。
花の剪定や切り戻しとは?
植え付け後しばらくすると、だんだん花が小さくなり、茎が間延びして株が枯れていきます。ひととおり咲きそろったら、株元から切戻し、地際の脇芽を伸ばすようにすると、2〜3週間後に再び満開の花を楽しめます。
切り戻し後は必ず追加の肥料を与え、新芽の生長を助けてあげましょう。枯れた花や枯葉は、放っておくと病気や害虫を発生させる原因になるので、つけ根からカットして株まわりをいつも清潔にしておきます。
花が枯れたときの対処法は?
生育期間中であっても、株に大きな負担がかかると、急に枯れてしまうことがあります。まずはこれまでの管理を見直して、枯れた原因を探ってみましょう。以下に、草花を枯らしてしまう主な原因と、その対処法をご紹介します。
1.日照の問題
草花の生育に日光は欠かせませんが、強すぎる日差しは株を傷めてしまいます。特に夏の直射日光や西日を嫌う花は多いものです。葉っぱが縮れて波打つ、色素が抜けて白っぽくなる、葉先が茶色くなるなどの症状がでたら、明るい日陰に移動させるか、遮光ネットなどで日差しを和らげてあげましょう。
2.水やりの問題
鉢植えは、夏の水切れに注意が必要です。草花の種類によっては、生育期であっても乾かし気味に管理するものもありますが、多くは極端な乾燥と多湿を嫌います。
水切れが考えられないときは、枯れた株を掘りあげてみましょう。根が黒ずんで変色しているようであれば、水のやりすぎで根腐れを起こしたのかもしれません。土の配合を変えたり、水やりの回数を減らしたりして、植物の性質や温度変化へ柔軟に対応していきたいですね。
3.土の問題
草花を植える土は、できるだけ品質のよいものを選びましょう。土作りをおろそかにすると、日頃の管理をどんなにがんばっても枯れてしまうことがあります。また、未完熟の堆肥や腐葉土は、根を傷める原因になります。土を配合するときは「完熟」と表記のあるものを使い、信頼できるメーカーの培養土を購入すると失敗せずにすみます。
4.肥料の問題
肥料は、適量を適期に施してこそ高い効果を生み出します。栽培期間が長いものには緩効性肥料、短いものには即効性の液肥というように、用途に応じて使い分けましょう。希釈濃度や回数をきちんと守り、窒素成分をやや控えめにして育てると、病害虫の発生しにくい丈夫な株に育ちます。
5.病害虫の問題
アブラムシなどの株の栄養を吸い取る害虫は、さまざまな病気を媒介する厄介な存在。イモムシなどの目立つ害虫とはちがって、小さく見逃しがちですが、放っておくと他の植物に病害を広げてしまいます。
また、病原菌が原因の病気は、高温多湿条件で多く起こります。雨ざらしを避けて周囲を清潔に保ち、風通しをよくして感染を予防しましょう。
花の育て方の基本をマスターしてしまおう
ガーデニングは簡単なようでいて、いざ花を育ててみるとうまくいかないこともよくあります。日常管理に苦労は尽きませんが、丹精込めて育てた花が咲く喜びは格別ですよね。
失敗したときは、枯れる前に前兆はなかったか、適切に管理していたかを振り返ってみましょう。日々の観察と経験から少しずつ学んでいけば、どんな花も自然とうまく育てられるようになりますよ。
更新日: 2022年08月03日
初回公開日: 2016年04月10日