大きな葉っぱが花のような姿を作り出すデザートローズ。「唐印(とういん)」という別名でも親しまれ、秋になると紅葉も楽しめる多肉植物です。葉っぱが縁から色づく様子は、バラを思わせる華やかな雰囲気がありますよ。
今回は、そんなデザートローズの育て方と増やし方についてご紹介します。
デザートローズ(唐印)とは?どんな多肉植物?
デザートローズとは、ベンケイソウ科に分類される多肉植物です。冬の鉢花としてよく見かけるカランコエの仲間で、南アフリカを原産としています。販売されている苗は直径5〜10cmほどですが、長く育てていくと最大50cmほどの大きさになります。
厚みのある丸い葉っぱがバラのように幾重にも重なる姿が特徴。葉っぱの表面は、白い粉をふりかけたような銀色がかった色合いです。そして、気温が下がり寒さに当たると、縁から赤く色づき紅葉します。
デザートローズ(唐印)を鉢植えにするときはどんな準備が必要?
- デザートローズの苗
- 植木鉢や器
- 多肉植物用培養土
- 鉢底ネット(鉢底に穴がある場合のみ)
- ピンセット
- ハサミ
- 新聞紙やブルーシート
デザートローズは苗の状態で、1〜5月頃を中心にほぼ1年中出回っています。直径5〜10cmほどの苗は「育苗ポット」と呼ばれるビニール製の鉢に植えられていているのが一般的です。買ってそのまま育てられるわけではなく、苗よりも一回り大きな植木鉢に植え替える必要があります。
よく見かける底に穴の開いている植木鉢だけでなく、食器やガラス製の瓶など穴の空いていない器にも植えられるので、デザートローズの苗やインテリアと雰囲気のあったものを選ぶと飾る楽しみが増えそうですね。
また、ピンセットやハサミなどのグッズが手元になければ、苗を購入するタイミングで揃えておきましょう。
デザートローズ(唐印)を鉢植えにする方法は?
グッズを一通り準備できたら、いよいよデザートローズの苗を鉢に植える…というわけにはいきません。根が乾いていない状態で鉢へ植えると、傷ついた所から雑菌が入ってせっかく購入した苗が枯れる恐れがあります。まずは根を十分に乾燥させて、その後に、苗を植えていきましょう。
作業をすると土があたりに散らばるので、新聞紙やブルーシートの上で作業を進めるとよいですよ。手順は以下の流れです。
- 7〜10日ほど水やりを控え、育苗ポットの土を乾燥させる
- 土が白っぽく乾燥したらデザートローズの苗をやさしく育苗ポットから抜く
- 根についた土を手でやさしくもみほぐして全て落とす
- 傷んだ根があれば、ハサミで切り落とす
- 枯れている葉っぱはピンセットで取り除く
- 土に植えていない状態の苗を新聞紙の上に置き、3〜4日日陰に置いて根を乾燥させる
- 完全に根が乾燥したら、鉢に鉢底ネットをしき、多肉植物用培養土を1/3〜1/2ほど入れる
- デザートローズの苗を鉢の中心に置く
- 苗(葉)の生え際が鉢の縁から1〜2cm下にくるよう高さを調節しながら土を足す
- 苗を植えてから3〜4日後、水やりをする
デザートローズ(唐印)の鉢植えの置き場所は?
デザートローズを鉢に植えたら、直射日光が当たる、風通しのよい場所におきましょう。
室内なら、通年東向きの明るい窓辺に置くのがおすすめです。ただ、秋〜冬にかけては寒さにさらしたほうが、葉っぱはきれいに紅葉します。日中だけ屋外に出して日に当ててあげると、きれいに色づくデザートローズが見られますよ。
ベランダに飾るなら、雨には要注意。1〜2日の雨であれば大丈夫ですが、梅雨など長く雨が降り続くと土が常に湿った状態になり、根が腐るからです。できれば雨よけの下に置いて、雨がひどいときは室内に移してあげてくださいね。
デザートローズ(唐印)の日々のお手入れの方法は?
デザートローズは厚い葉に水分と栄養を貯えるため、肥料を与える必要がなく、水やりの回数も少なくてOKです。
以下でご紹介しますが、「冬とそれ以外の季節で水やりのタイミングが違う」ことだけ頭に入れておけば、枯れさせる心配はほとんどありませんよ。それぞれの季節の水やりの方法は次の通りです。
春〜秋の水やり
4〜10月は、土が乾いてから7〜10日ほど待って水をたっぷり与えます。葉を触ってみて、しんなりしているようなら水やりのタイミングです。デザートローズの葉っぱにかからないよう、生え際に水を注いでください。底に穴の開いている植木鉢なら、水やり後、受け皿にたまった水は捨てましょう。
鉢の底に穴の空いていない容器へ植えているときは、水やりに一手間必要です。土がしっかりと湿るくらい水を与えたら、鉢を傾けて余分な水を捨てます。そのままにしておくと、鉢の中に溜まった水が根を腐らせる原因となります。
冬の水やり
12〜3月は、ほぼ水やりをしなくてかまいません。これは、デザートローズがほとんど生長しない「休眠期」を迎え、水を必要としなくなるからです。乾燥が気になるときだけ、葉っぱに霧吹きで水を吹きかける「葉水(はみず)」を与えるとよいですよ。
デザートローズ(唐印)の栽培で注意する病気や害虫は?
日当たりと風通しのよい場所で育てていれば、デザートローズが病気や害虫の被害にあう心配はほぼありません。
ただ、水のやりすぎが原因で土に酸素がまわらず、根腐れを起こしたり、軟腐病にかかったりすることがあります。一度起こると回復は難しいので、過度な水やりは避けてください。気になる方はミリオンやケイ酸塩白土といった「根腐れ防止剤」を鉢底に敷くと予防につながりますよ。
デザートローズ(唐印)を植え替える時期と方法は?
デザートローズを鉢植えで育て続けていると、しだいに鉢の中が生長した根でいっぱいになり、根詰まりを起こして枯れてしまいます。そこで1〜3年に1回、3〜5月になったら今よりも一回り大きな鉢へ植え替えましょう。
植え替えの方法は、苗植えのときと同じです。そのまま同じ鉢で育て続けたいときは、根を半分くらいの長さに切りそろえてから植え直してください。
植え替えのときデザートローズ(唐印)を寄せ植えにできる?
多肉植物を栽培する楽しみの1つに、色々な種類の植物を同じ鉢に植える「寄せ植え」があります。デザートローズも、もちろん寄せ植えにして楽しめますよ。植え替えのタイミングでぜひチャレンジしてみてください。
ここで注意したいのが、多肉植物の種類。デザートローズは、夏に生長する「夏型」という種類で、同じ育ち方をするものと寄せ植えにしないといけません。夏型の「アロエ」「アガベ」「コチレドン」「ユーフォルビア」「サボテン」「クラッスラ」などが寄せ植えにおすすめです。
- 3〜5月頃、寄せ植えにする多肉植物をそろえる
- 7〜10日ほど水やりを控え、それぞれの多肉植物の土を乾燥させる
- 全ての植物が入るよりも1回りくらい大きく底の浅い鉢を準備する
- 市販されている多肉植物用培養土と軽石、赤玉土(大粒)を用意する
- 鉢底ネット、軽石、赤玉土(大粒)を入れた上に、多肉植物用培養土を鉢の1/3くらいまでいれる
- 植物をポットや鉢から抜き、根に付いた土を手でほぐしながら落とす
- 傷んだり伸びすぎたりしている根を、清潔なハサミで切り取る
- バランスを見ながら植物を配置する
- 植物や鉢のすき間に培養土を入れ、株を安定させる
デザートローズ(唐印)の増やし方は?
大きく育ったデザートローズの生え際からは、「子株(こかぶ)」と呼ばれる新しい芽がいくつも生えます。子株には根も生えているので、切り離して別の鉢で育てて楽しめますよ。これが「株分け(かぶわけ)」という増やし方がです。
方法は簡単で、それぞれの芽に根がある程度つくよう、ハサミやナイフで子株を切り離していくだけ。切り分けられたら、それぞれを苗植えと同じ方法で鉢へ植えてください。
デザートローズ(唐印)が紅葉する姿から秋を感じてみて
多肉植物というと、1年中緑色の葉っぱを生やしているものと思いますよね。デザートローズは、そんんな中で珍しい、紅葉する種類です。
風が冷たくなってきたら、1週間のうち数日ベランダに出して太陽の光に当ててみてください。徐々に赤く色づく葉っぱを眺めていると、秋が深まるのを感じられますよ。
更新日: 2017年01月11日
初回公開日: 2016年05月07日