カランコエは花の色が美しく、肉厚な葉っぱが特徴の植物です。初心者でも気軽に育てることができ、オレンジや黄、赤、白など品種によってさまざまな色を楽しめますよ。ただし、花を咲かせるにはちょっとした工夫も必要です。今回は、そんなカランコエについて、挿し木や挿し芽といった増やし方、花を咲かせるコツ、ひょろひょろと間延びしたときの育て方などをご紹介します。
カランコエは多肉植物?育て方に特徴はある?

カランコエはアフリカなど熱帯が原産の多肉植物で、乾燥や夏の暑さに強く、その反面、寒さや高い湿度に弱い特徴があります。そのため、日本で育てる場合は管理がしやすいように鉢に植えるのが一般的です。
秋以降でも花が咲くので、「寒い時期に部屋を明るく彩りたい」と考えている人にはぴったりですよ。大きさも30cm以下と扱いやすいサイズです。
開花時期 | 10月〜6月頃 |
耐陰性 | 弱い |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
カランコエの育て方!準備するものは?

- 鉢に植えられたカランコエ
- ジョウロ、霧吹き
- 液体タイプの肥料
- 固形の緩行性化成肥料
- 剪定バサミ
植物を育てるのが初めてなら、陶器などの鉢に植えられた状態のカランコエを買うと手間がかかりません。特に秋〜冬に出回るものは花の色がよいのでおすすめです。購入してすぐに飾って楽しみましょう。
「育苗ポット」と呼ばれるビニール製の鉢に入った状態でも販売されることもありますが、別の鉢を用意して、買って早々に植え替える必要があります。
もし苗の状態で買ったなら、後ほど紹介する「植え替え」の方法で鉢に植えてあげてください。
カランコエの育て方!水やりや肥料の与え方は?
置き場所が決まれば、あとは花が咲くまでコツコツと水やりなどの手入れをします。具体的にどんな作業が必要かご紹介します。
水の与え方
春~秋のよく生長する時期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。湿っぽさを嫌い、水が多いと根腐れを起こすカランコエは、土の表面が白っぽく乾燥していることを確認してから水やりしてください。
そして秋になったら少しずつ水やりを控え、冬は土の表面が乾いてから、さらに2~3日後に水やりをします。乾燥気味に管理するのが元気に育てるポイントです。
肥料の与え方
5月~10月頃が新しい芽を出す期間なので、液体肥料を10日に1回のペースで与えて生長を促します。花が咲き始めたら肥料は不要です。
摘心の仕方
花を咲かせるために、夏頃に「摘心(てきしん)」という作業を行います。これは生えてきた新しい芽を摘む作業のことです。花が咲く時期にたくさんの花をつけるために必要な作業なんですよ。
「新しく出た芽をどうして摘むの?」と思うかもしれませんが、植物には先に出た芽に集中して栄養を送りこむ性質があります。
なので、芽を摘むことで栄養がほかの部分にも行き渡り、結果的にまんべんなく芽が生長するようになります。
カランコエは植え替えが必要?
カランコエが大きくなってきたら、今の鉢では窮屈になってしまうので、一回り大きな鉢に植え替えが必要になります。
1~2年に1回の頻度で、3~4月の梅雨前か、9月の穏やかな気候の頃が植え替えのタイミングです。グッズを準備して、次の手順で作業を進めましょう。
■ 植え替えに必要なグッズ
- いまよりも一回り大きな鉢
- ピンセット
- 多肉植物用の培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石か軽石
- 割りばし
- ゴム手袋か軍手
- 小型のシャベル・スコップ
- ビニールシートか新聞紙
■ 植え替えの手順
- 水やりを控えて土を乾燥させる
- 作業する場所にビニールシートを敷く
- 新しい鉢の底穴に鉢底ネット、鉢底石を順に敷く
- 土を鉢の1/3ほどまで入れる
- 鉢からカランコエを引き抜き、根についた土を手でやさしく揉んで落とす
- 黒ずんでいる腐った根を剪定バサミで切る
- 鉢の中心に置き、縁から下2〜3cmのところまで土を入れる
- 土の表面を割りばしでつつき、根の隙間まで土をなじませる
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをする
カランコエの育て方は、剪定がポイント

カランコエを長く育てていると茎や葉っぱが茂り、花のつきが悪くなってしまいます。そのため、1~2年に1度、「切り戻し」という剪定を行います。
「切り戻し」とは、伸びすぎた茎などを短く切って、以前のように整った状態にする剪定方法です。
植え替えと同じように3~4月か、9月の開花が終わった後に、根元から10cm程度の長さを残して切ります。かなり大胆に切り取ってしまうので不安になるかもしれませんが、1ヶ月程度で新しい芽が出てきますよ。
また、ひょろひょろと間延びしてしまったときも、剪定をし、たくさん日に当ててあげると、太くどっしりと育つようになります。
カランコエの増やし方!挿し木や挿し芽とは?

カランコエは「挿し木」あるいは「挿し芽」という方法で簡単に増やすことができます。生長が盛んな4~9月頃に、茎を先端から10cm程度のところで切り、土に挿すだけと作業は簡単です。
「植物(木)」の一部を土に「挿す」ので「挿し木」といいます。多くは樹木の場合を「挿し木」、草花の場合は「挿し芽」と区別して呼びますが、基本的には同じ作業をさします。
■ 挿し木に必要なグッズ
- コップかボウル
- 挿し木用の土
- 3号鉢
- 割りばし
- 発根促進剤
■ 挿し木の手順
- 枝を先端から10cm前後に切る
- 切り口がとがるようにV字に切って、吸水面を増やす
- 先端の葉っぱを2〜3枚残し、ほかを全て取り除く
- 葉っぱが大きければ半分に切る
- 水を入れたコップに切り口を数時間つける
- 植え替えと同じく、鉢に鉢底ネット、軽石を入れ、挿し木用の土を入れる
- 土に割りばしか指で穴をあけ、枝を挿す
- たっぷりと水やりをする
土が乾かないよう日陰で管理すると、約1ヶ月後に根が生えてきます。その後は6ヶ月くらいで根がしっかりするので、一回り大きな鉢に植え替えましょう。
カランコエの育て方のコツは?置き場所は夏と冬で変わる?
カランコエは1年を通して日の当たるお部屋で管理してください。寒さに弱いので、冬場は10度以上のところで育てます。窓際だと外気が当たるので、少し部屋の内側に飾るのがおすすめです。
気温が5度以下になると休眠してしまい、長く休眠すると枯れてしまうので注意してくださいね。また、気温の低い場所で育てると、つぼみもつきにくくなって花が見られなくなることもあるんですよ。
カランコエの花を咲かせる方法は?

カランコエは特殊な条件で花を咲かせる植物です。それは、「陽が当たる時間が短い」ことです。
カランコエは「短日植物」と呼ばれ、日に当たる時間が12時間以下になると花が咲きます。秋以降に花が咲くのは、これが理由です。日暮れが早く、暗い時間が長いので花が咲くわけです。
ただし、室内で育てるのであれば、どうしても蛍光灯の光が当たって暗い環境を作れません。そのため、ダンボールをすっぽりかぶせて蛍光灯の光を遮る「短日処理」という作業が必要になります。これを30~40日ほど繰り返せば花が咲きますよ。
この性質を活用すれば、季節にとらわれることなく、1年中いつでも花を見ることができるともいえますね。
カランコエの花が咲いたあとは?
花を咲かせたカランコエは、その後も次々と新しい花を咲かせます。そのなかに、古くて枯れた花と新しく咲いた花が入り交じる時期もあるんです。
この場合、枯れた花が3割ほどついた茎は順次生えぎわから切り落としていきましょう。また、落ちた花びらも取って捨てましょう。
放置しておくと土に日が当たらなくなって、土が乾きにくく、枯れる原因になってしまいます。
カランコエの育て方で注意する病気や害虫は?
カランコエには春の暖かくなりはじめた時期に、新芽やつぼみにアブラムシがつく可能性があります。発生した場合は早めにアブラムシ用の殺虫剤で退治しましょう。
また、アブラムシの排泄物はすす病という病気の菌をよせつけます。駆除することがそのまますす病の予防にもつながるので、チェックを忘れないでくださいね。
すす病になると葉っぱや花が黒ずんだり、斑点ができたりします。もし発症してしまったら、その部分を切り取って範囲が広がるのを防ぎましょう。
カランコエの育て方をマスターして部屋を彩ろう
園芸店やホームセンターでよく見かけるカランコエは、水やりの頻度が低く、日向で管理していれば元気に育つので、初心者でも簡単に育てることができます。
種類も豊富で、秋や冬にも花が咲くので、自分好みの花の色や形をしたカランコエを育てて、お部屋に彩りを添えてみてくださいね。
更新日: 2023年04月05日
初回公開日: 2015年07月18日