きちんとお世話をしているはずなのに、花が咲かない…なんてことはありませんか?もしかしたら、今育てている植物は「短日植物」かもしれません。でも、一体どんな植物なのかというとピンとこないですよね。そこで今回は、短日植物の生態や種類から、おうちで花を咲かせるコツまでを詳しくご紹介します。
そもそも、どうして植物は花を咲かせるの?
花は、種を作り子孫を残すための植物にとって大切な器官です。しかし、進化のはじめから花を咲かせていたわけではありません。生存競争を勝ち抜くための進化の過程で、葉っぱが変化して花ができ、植物は種を作って数を増やすようになったとされています。
花の咲く時期はどうやって決まる?短日植物とは?
では、植物が花を咲かせる時期はどうやって決まるのでしょう。植物は、育ちやすいときに種ができるよう花を咲かせます。その時期は、葉っぱが昼と夜の時間が変化することを感じることで決まります。日に当たる時間が長くなったり短くなったりすると、特殊なホルモンがでて花を咲かせるんです。
「短日植物(たんじつしょくぶつ)」とは、中でも日の光が減ったことを葉っぱが感じて、花を咲かせる種類のことです。反対に日の光が増えていくと花を咲かせる植物を「長日植物(ちょうじつしょくぶつ)」といいます。
短日植物にはどんな種類があるの?
短日植物は、日の出る時間がどんどん短くなっていく夏の終わり~冬にかけて花を咲かせるものばかりです。以下に、よく目にする短日植物をいくつかご紹介します。
カランコエ
オレンジやピンク、赤の花を咲かせるカランコエ。鉢花として親しまれていますが、実は多肉植物の仲間です。10~6月の長い間、花を楽しむことができます。
菊
菊は日本の秋を象徴する花の1つで、知らない方はないほどポピュラーな草花です。種類が多く、背丈や花の形はバリエーションが豊富。冠婚葬祭のあらゆる場面で使われています。
コスモス
細い茎の先にひらひらとかわいらしい花を咲かせるコスモス。秋になると公園や道端など色々なところで目にすることができます。人気な花だけあって品種改良も盛んに行われており、今では夏の終わりに咲く種類もでてきました。
アサガオ
アサガオといえば、夏休みに栽培日記をつけながら育てたという方が多いですよね。ラッパのような形をした青や紫、ピンクの花が夏の青空によく映えます。
ポインセチア
クリスマスが近づくと、花屋さんの店頭に必ず並んでいるのがポインセチア。赤や白に色づいているのは、実は花ではなく葉っぱなんです。
シャコバサボテン
シャコバサボテンは、葉っぱの形が魚介類の「シャコ」に似ていることから名付けられたサボテンの仲間です。寒さが増していくにつれて、赤やピンク、白など鮮やかな花を咲かせます。
おうちで短日植物を楽しむコツは?短日処理とは?
カランコエやシャコバサボテン、ポインセチアはきれいな花を咲かせる人気の短日植物ですよね。ただ、翌年花が咲かなかった…なんてことはよく聞きます。これは、普通に育てていると、日の当たる時間の変化に植物が気づけないからです。
このとき必要になるのが「短日処理」。名前だけ聞くと大変な作業なのかと思いますが、やることはシンプルです。植物をダンボールなどで覆って日の光を遮ったりしながら、1日の日照時間を10~12時間ほどになるよう調節していきます。以下それぞれの「短日処理をはじめる時期」を参考にしながら、はじめてみてください。夕方17時~朝7時くらいまで遮光するとうまくいきますよ。
短日処理をはじめる時期 | |
カランコエ | 9~5月 花を咲かせる1ヶ月前 |
ポインセチア | 9~10月 (色づかせたい2ヶ月前) |
シャコバサボテン | 10月 |
短日植物は日の光が減ると花を咲かせる不思議な植物たち
「花は咲くもの」だと思って日頃何気なく植物を見ていますが、実は複雑な仕組みや敏感なセンサーを持っているんです。特に、日の当たる時間の変化を感じられるなんて驚きですよね。短日植物は、そんな『不思議』がつまっている植物たちです。今回ご紹介した花たちと出会ったら、これまでとは違った視点で見ることができるかもしれませんね。
更新日: 2023年07月05日
初回公開日: 2016年10月28日