菊は、手をかければかけるほど、美しい花を咲かせるといわれています。観賞価値が高いだけでなく、育てた人の愛情に応えてくれるところも魅力。大菊の栽培は専門的な知識を必要とするため、一般家庭では主に秋咲きの中菊、小菊が楽しまれます。今回は、栽培のポイントや挿し木の仕方など、菊の育て方をご紹介します。
菊(キク)とは?どんな花?
菊とは、日本列島や中国などの東アジアが原産の多年草です。昔から切り花や日本・アメリカの伝統園芸植物として知られてきました。農林水産省によると、花き生産量として日本一を誇る花です。
菊といっても、アメリカで生まれた西洋菊(ポットマム)から小菊、野生菊、大菊など種類は様々です。花や葉っぱに香りがあり、夏や秋に花を咲かせることが多いことから、夏菊や秋菊とも呼ばれれます。
菊(キク)の育て方!栽培のポイントは?
1日9~15時間ほど日の光が浴びられる場所で育てることがポイントです。菊は日光を好み、日が短くなると花が咲く性質をしています。季節の変化が感じられる場所で育てていきましょう。
菊(キク)の苗を植える時期と方法は?
苗は、鉢植えか地植えにして育てることができます。秋に花を咲かせるものは、6~7月中旬頃までに鉢や地面に植え付けていきます。
鉢植えは、苗よりも1回り大きな鉢に土を2/3ほど入れて植えていきましょう。地植えは、日当たりと水はけのよい場所を選び、株同士の間隔を15~20cmほど空けて植え付けます。
菊(キク)の育て方!土作り、水やり、肥料の与え方
土作り
水はけのよい土を使うことがポイントです。鉢植えは、赤玉土(小粒)3:腐葉土4:パーライト2:くん炭1の配合か、黒土に腐葉土を2~3割混ぜたものがおすすめです。
市販の菊用培養土を使ってもかまいません。地植えは、植え付ける場所の土を耕し、腐葉土を2~3割混ぜて水はけをよくします。
水やり
水が多いと根腐れを起こしてしまいます。鉢植えは、土の表面が完全に乾いてから水やりをします。生育期の夏は朝夕の1日2回、休眠期に入る冬は週に1回ほどが水やりの目安です。
地植えは、よほど乾燥していない限り、水やりの必要はありません。
肥料
花つきをよくするために、リン酸成分の多い肥料が欠かせません。植え付けるタイミングで、米ぬか、魚粉を発酵させた専用の乾燥肥料を混ぜ込んでおきましょう。
そして、9月上旬までは15~20日に1回、同じ乾燥肥料を定期的に施します。9月中旬以降はチッソ成分をほとんど含まないリン酸とカリウムの多い液肥に切り替えて、開花直前まで週1~2回ほど与えます。
菊(キク)の剪定の時期と方法は?花が終わったら?
本葉が6~8枚になったタイミングで摘心をして、脇芽がたくさん生えるようにします。そして、枝に葉っぱが5~6枚ついたら、芽先を摘み取る作業を繰り返します。
これによって花数や枝ぶりを調節し、イメージどおりの形に仕立てていきます。
秋から冬に花が咲き終わったら、株元から5~10cmのところで株全体を切り戻します。春になると、株元からまた新しい芽が生えてきますよ。
菊(キク)を植え替えする時期と方法は?
菊は多年草ですが、同じ場所で何度も育てていると、病気や害虫の被害を受けやすくなります。できれば1年ごとに挿し木で株を増やしながら、別の場所に植え替えた方が安心です。
鉢植えは、同じ大きさか、ひと回り大きな鉢に、新しい土を用意して植え替えます。地植えは、株を掘り起こし、土を入れ替えて同じ場所に植えるか、日当たりと水はけのよい別の場所に植え付けます。
手順や時期は、植え付け時と同じです。
菊(キク)の増やし方!挿し木の仕方や時期は?
5月上旬頃に、茎を5~10cmほど切って挿し穂にします。
切り口を斜めに切り、2時間ほど水に浸けたら、先端の葉っぱを3~4枚残して、鹿沼土(極小粒)5:バーキュライト3:赤玉土(小粒)1:くん炭1の割合で混ぜた土に、深さ1.5~2cmの穴を空けて挿します。
根が生え、茎の長さが15cm以上に生長したら、鉢や地面に植え替えます。
菊(キク)の育て方で注意する病気や害虫は?
カビ(糸状菌)による伝染病
灰色かび病、さび病、うどんこ病など各種のカビ(糸状菌)による病気は、風通しが悪いと発生します。地植えは水はけが悪くなりがちなので、畝や溝を作るなど排水性を高める工夫をしましょう。
病気にかかったら、葉っぱや枯れた枝をすぐに取り除き、ワラやもみ殻で根元をマルチングして泥の跳ね返りによる病気の拡大を防ぎます。定期的に殺菌剤を散布すると、病気にかかるリスクを減らすことができますよ。
アブラムシ、ハダニ
菊に最もつきやすい害虫です。菊の栽培では10日に1回は薬剤の散布をしていきます。系統の異なる殺虫剤、殺ダニ剤をローテーションで使用し、薬剤への耐性ができないようしてください。
菊(キク)の育て方はこまめな手入れが大切
美しい花を咲かせるためには、十分な栄養と日光が欠かせません。「菊は肥料食い」といわれるように肥料をたくさん必要とする植物ですが、過剰に与えてしまうと病気の元となります。
年間を通してこまめな手入れが必要なので、本格的にガーデニングを楽しみたい方におすすめの植物ですよ。
更新日: 2023年07月12日
初回公開日: 2015年12月27日