庭いっぱいにバラが咲く光景は、ガーデニングをする人にとって憧れるものの1つではないでしょうか。ただ、バラは手入れが大変な植物としても知られ、とっつきづらいと感じる人も多くいます。そんなときは、育てやすい品種を選部ことが大切。イングリッシュローズは、そんな育てやすいバラの1つです。今回は、イングリッシュローズとはどんなバラなのかと、育て方についてご紹介します。
イングリッシュローズとは?
イングリッシュローズとは、イギリス人のバラ育苗家 ディビッド・オースティン氏が作りだしたバラの品種群もしくはブランド名です。モダンローズの1つ「シュラブ系」に分類され、オールドローズとモダン・ハイブリッドティー、フロリバンダローズを組み合わせて作られました。
オールドローズがもつ丸みのある花姿に加えて、花の咲き方にバリエーションがあり、さらに四季咲き性とバラのよいところが集められていることから、「究極のバラ」「次世代のバラ」として世界中で愛されています。
1961年に最初の品種「コンスタンス・スプライ」が発表された後、200種ほどの品種が今も生み出され続けています。花の姿が美しくて香りが強く、丈夫で育てやすいことが特徴です。
イングリッシュローズの苗植え!鉢植えの方法は?
イングリッシュローズは、花を咲かせた苗が春に販売されます。購入したら、すぐに植え付けてください。
鉢植え
鉢植えは、苗よりも1周り大きな鉢に植え付けていきます。土は赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合で混ぜた水はけのよい土か、市販のバラ用培養土を使ってください。
- 鉢底石を敷く
- 鉢の1/3ほど土を入れる
- 苗の根を崩さず、鉢の中心に置く
- 苗の周りに土を入れて株を安定させる
- たっぷりと水を与え、土が足りないようなら足してさらに水やりをする
イングリッシュローズの苗植え!地植えの方法は?
地植え
庭に植え付けるときは、周りに樹木がなく、日当たりのよい場所を選びます。掘りあげた土の水はけが悪いようなら、軽石やパーライトを土と同じ量加えたうえで、堆肥や腐葉土を混ぜあわせます。
複数の株を植え付けるときは、同じ品種なら45cm以上、違う品種なら70~100cmほど株同士の間隔を空けるとよいですよ。
- 深さ、直径ともに30~40cmの植え穴を掘る
- 底に軽石や鉢底石を敷く
- 植え穴の半分くらい土を戻す
- 根に付いた土は崩さず、植え穴に苗を置く
- 苗の周りに土を入れていく
- 接ぎ木部分が埋まらないように植え付ける
- バケツ1杯くらいの水を与え、水が完全に引いたらさらにもう1杯水やりをする
イングリッシュローズの育て方!水やり、肥料の与え方は?
水やり
湿度の高い環境は、病気や害虫を引き寄せてしまいます。ただ、水不足は生育不良や蕾を落とす原因となってしまいます。鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしてください。
気温が高い日中に水やりをすると、水蒸気が上がって蒸れの原因となるので、午前中に水やりをするのがおすすめです。地植えは、よほど乾燥しないかぎり水やりは不要です。
肥料の与え方
イングリッシュローズは、春だけ開花する一季咲きと、春以降も時々開花する返り咲きと継続して年3回ほど開花する繰り返し咲き、さらに秋にも咲く四季咲きなど様々な品種があります。
いずれのものであっても、生長しはじめる3~4月には肥料を施します。これに加えて、返り咲きの品種は6月にも追加で与えると花付きがよくなります。バラ専用の肥料が市販されているので、活用してみてください。
イングリッシュローズ育て方!誘引、支柱立ての時期と方法は?
イングリッシュローズは日当たりがよく、風通しのよい場所なら支柱を立てなくてもしっかりとした株に生長します。ただ、半つる性やつる性のタイプは、誘引すると株が蒸れるのを防げるほか、見た目も美しく仕上がります。
12~1月に、フェンスなど枝を絡ませやすいものに誘引していきます。寒さに当たると徐々に枝が硬くなるので12月中旬までに済ませておくとよいですよ。
- 葉っぱを全て取り除く
- 細い、枯れているなど弱っている枝は切り取る
- 太く長い枝をフェンスや支柱へ放射状に絡ませる
- 誘引する場所が決まったら、麻紐を使って枝を軽く縛る
- 残った枝をまんべんなく誘引する12月中旬までには行います。
イングリッシュローズの育て方!剪定の時期と方法は?
イングリッシュローズは、枝を切ることで新芽が伸び、新しい花を咲かせていきます。枝が生えてから3年ほどたつと花が咲きにくくなるので、枝を入れ替えるように古い枝を切り落としていきます。8~9月と、1~2月の年2回剪定をすると樹形がきれいにまとまります。
8~9月の剪定
四季咲きや返り咲きの品種は、夏に剪定をすることで花数が増えて美しい株に仕上がります。花が咲いていても、枯れた枝や傷んだ枝、細い枝を切り取っていきます。
1~2月の剪定
木立性の品種は、密集している枝を間引いていきます。そして株全体を1/2ほどの高さに切り詰めていくことで、幹に光が当たって生育がよくなります。
半つる性やつ生のタイプは、樹形を整えるように全体の枝を軽く切り詰めていきます。枝を多く残しておいた方が、春にたくさんの花を咲かせてくれますよ。傷んだ枝や細い枝を切り取ったら、全体を1/3ほど切り戻すくらいが適当です。
イングリッシュローズの育て方!植え替えの時期と方法は?
イングリッシュローズの鉢植えは、毎年4~6月に植え替えをすることで生育がよくなります。6号鉢から8号鉢、8号鉢から10号鉢と、2号くらい大きなものに植え替えて、株を少しずつ大きくしていきます。
植え替えの手順は、植え付け時と同じです。根に付いた土を崩さないようにするのがポイントになります。また、土に肥料を混ぜ込むのを忘れないようにしてください。
イングリッシュローズの栽培で注意する病気や害虫は?
イングリッシュローズは病気に強く、丈夫なことが特徴のバラです。これは長年の品種改良の成果によるものです。ただ、全く病害虫の被害にあわないということではありません。
害虫としては、チュウレンジハバチの被害にあうことがあります。成虫は見つけたらすぐに捕獲し、幼虫は殺虫剤を散布して退治していきます。また、バラがかかりやすい黒星病やうどんこ病には注意が必要。適宜殺菌剤を散布して予防しながら、こまめに剪定をして株が蒸れるのを防いでください。
イングリッシュローズの育て方のポイントは?
日当たりと風通しのよい場所で管理し、適期に剪定をしていくことが、上手にイングリッシュローズを栽培するコツです。特につる性や半つる性の品種は生育がよく、枝葉が茂りやすいので、枝を誘引して風通しをよくしていきます。
イングリッシュローズは初心者におすすめのバラの品種
バラの栽培は難しそうだと思って、躊躇してしまう人も多くいます。また、剪定や誘引など、たくさんの手入れが必要なことも苦手意識となる原因かもしれません。でも、ガーデニングをするなら、1度はバラを育ててみたいもの。
そんなときは、イングリッシュローズなど、病害虫に強く、仕立てやすい品種を選んでみてください。一度栽培してみると、ほかの品種も育ててみたくなるくらい、バラは魅力的な植物なんですよ。
更新日: 2021年07月07日
初回公開日: 2016年06月27日