見頃を迎えたバラは品格があり、その美しさについつい見とれてしまいますよね。手間暇かけて育てたからこそ見事な花を咲かせ、見る人を虜にします。また、コンパクトに鉢植えにされたものは玄関先を華やかに彩ってくれますね。今回は、そんなバラの育て方についてまとめました。苗を鉢植えにする時期や植え替え、肥料の与え方など、気になるポイントを押さえてバラの栽培をもっと楽しんでくださいね。
バラは育て方が難しい植物?初心者が育てるには?
バラとは、バラ科・バラ属に分類される植物の総称で、知らない人はいないほどポピュラーで人気も高い花です。「手間がかかる」「病気や害虫がつきやすい」といったイメージがあるかもしれませんが、実際は丈夫な植物で、育てる場所にあった種類をきちんと選ぶと育てやすい植物です。
初心者がバラを育てるときは、「育てる場所にあった種類の苗を選ぶこと」が大切です。バラと一口にいっても、木のような姿のもの、ツルを生やすもの、ミニバラと呼ばれる小さなものと、その見た目は様々。育てる場所にあったサイズや育ち方のものを選んでいきましょう。
庭に植えるならツル性のバラがおすすめです。特にツル性のものは壁やフェンスに這わせたり、アーチ状に仕立てたりして楽しむことができますよ。玄関先などで、こじんまりと栽培をはじめたいときは、ミニバラの鉢植えを選んでみてください。
どんな種類があるのかや、それぞれの生態については、関連記事も参考にしてみてください。
バラの育て方!苗の選び方は?
植物やお花好きな人が集まるコミュニティアプリ”GreenSnap”で、バラを育てたことのあるユーザー287名にアンケートをとったところ、約41%のユーザーさんが「新苗」を、約35%のユーザーさんが「大苗」を購入したと回答しています。では、新苗と大苗にはどのような違いがあるのでしょうか。
バラの新苗と大苗の違い
バラの苗には、新苗と大苗があります。新苗は冬に接ぎ木して作られた苗のことで、春頃に販売され、価格は安いですが、花が咲くまでに数年かかります。大苗は春から秋まで育てた苗を堀り上げて販売しているもののことです。
秋〜春頃に販売され、根を張って株が充実している反面、新しい土に根付くのが新苗よりも難しいというデメリットがあります。園芸店で販売されているものが、どちらの苗かわからないときは、スタッフの方に尋ねて確認してから購入すると安心です。
GreenSnapユーザーが新苗を選んだ理由
GreenSnapユーザーが大苗を選んだ理由
大苗を選んだ理由で多かったのは、「育てやすいから」、「販売者の方におすすめされたから」という事でした。これからバラを育てる方は、自分の状況にあった苗選びをしていきましょう。
バラの苗を買おう!種類の選び方は?
はじめてバラを育てる方は、大苗を購入するのがおすすめです。新苗に比べると少し値段は高くなりますが、育てやすくその年から花を咲かせますよ。
大苗はどっしりと重たく、枝がよくしまっているものがよく育ちます。また、状態が葉っぱによく表れています。鮮やかな緑色の葉っぱであるかどうかも、よい苗選びのポイントです。
新苗にチャレンジする方は、枝や茎が太くしっかりしたもので、葉っぱが土の近くまで生えているものを選んでください。
バラの育て方!鉢と土を準備しよう!
- バラ専用培養土
- 苗よりも一回り以上大きな鉢
バラは蒸れない環境だと根を張って元気に生長します。そのために準備するのが、水はけのよい土と植木鉢です。土はバラ専用の培養土を使うと簡単です。
鉢は、大きめのものを準備します。苗よりも一〜二回り大きなものがベストなので、苗の大きさを考えて選んでください。
バラの鉢植え!育て方のコツは?
バラは、新苗なら春から初夏、大苗なら真冬を避けた秋から春の間に以下の手順で育てはじめましょう。
- 苗、鉢、土を準備する
- 鉢の底にある穴を鉢底ネットで覆い、鉢底石を敷き詰める
- 鉢の1/3~1/2ほど土を入れる
- 根についた土は崩さず、苗を鉢の中心に置く
- 鉢の縁から下2~3cmのところまで土を入れる
- 鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをする
- 沈んだ分の土を足す
- 1週間以上たったら、有機質肥料を鉢の縁に置く
バラの育て方!水やりの時期と方法は?
水やりの頻度と方法
バラは乾燥しすぎても枯れてしまいますが、いつも土が湿っていても枯れてしまいます。そのため、土の状態に気を配ることが水やりのコツです。土の表面が乾いたら水やりのタイミング。鉢植えは、水が蒸発して蒸れないよう、午前中か夕方に水を株元へ注いでください。
バラの育て方!肥料の与え方は?
バラは他の草花よりもたくさんの肥料を必要とするので、「肥料食い」とも呼ばれることがあります。植えるときの土にたっぷりと肥料が含まれていることはもちろん、追加でたくさんの肥料を与えていきます。
鉢植えは、冬と花が咲いている間を除いて、毎月1回は定期的に液体肥料を水やり代わりに与えます。肥料は十分に与えているのに元気がないときは、活力剤を与えると元気を取り戻すでしょう。
いずれの場合も、バラに適した栄養が含まれている「バラ専用」のものを与えると安心です。
バラの植え替えの時期と方法は?鉢植えは毎年植え替える?
元気なバラはよく根を張り、土の栄養をどんどん吸っていきます。そのため、鉢植えでは1年に1回は一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。植え替えることで、根が生えるスペースを確保でき、新しい土によって栄養が補給されます。時期は、休眠期に入る冬が適しています。
植え替え前に枯れた葉っぱは摘み取っておきましょう。植え替え方は苗植えの手順と同じです。新しい土と肥料、水やりをしっかり行ってくださいね。ポイントは、植え替える前に古い土と古い根の処理です。茶色や褐色になった根は切り取り、白くて健康的な根を残してあげましょう。
この際に根や根元にコブが出来ていないか確認しましょう。もし根にコブが出来ていた場合はネコブセンチュウ。根元にコブがある場合は癌腫病の疑いがあります。どちらも完治・根絶が難しい植物ですが、突然バラが枯れることはないので、安心してくださいね。
ネコブセンチュウは古い土の使いまわしなどで発生したりします。根に付いたコブを清潔で、よく切れる刃物で切り落とします。その後、用土は廃棄し新しい用土を使い、植え替えましょう。癌腫病は土中に存在する細菌によって発生します。出来てしまったコブは清潔で、よく切れる刃物で切り落としましょう。切り口は殺菌剤を塗布しておきます。
バラの剪定!時期と方法は?
バラの剪定は、長い間元気に育てるために、かかせない作業です。夏と冬に1回ずつ行うことに加えて、つぼみやベーサルシュートの処理も行います。剪定を行うことで姿が整いますよ。ここでは、おおまかな剪定方法についてまとめていますので、種類ごとの細かい方法を知りたい方は、関連記事も参考にしてみてください。
剪定
夏と冬に剪定をしていきます。夏は、枯れ葉や弱い枝を切り取り、長くなった枝は1/3ほど短くしましょう。バランスを考えて、最終的な姿を意識しながら、つるや枝を整えましょう。全体的なイメージとしては、株の大きさを1/3ほど切り落としてしまって構いません。
冬は花を咲かせたい枝を残して、他をばっさり切り落とします。切る基準は、枯れた、病気にかかった、古い、細い枝を選び、根元から切り取りましょう。切り詰める枝は、外側の芽の5〜7mm上を目安に切り落とします。全体的なイメージとしては、株の大きさの2/3ほど切り落としてしまって構いません。
つぼみとベーサルシュートの処理
バラは新苗の場合、1年目のつぼみや、夏期のつぼみを摘み取ります。また株元から出る太い芽(ベーサルシュート)が50cmを超えないように10cmほど切り取る作業を秋まで繰り返します。大輪咲き以外の中・小輪の品種のバラは、わき芽のつぼみは摘み取らず、房咲きにすることできれいな姿を作り出せます。
また、ベーサルシュートを放っておくと、横に伸びた枝がほうき状に成長して株を弱らせるので注意しましょう。
バラの育て方!庭で育てたいときは?
寒さに強いバラの品種であれば、庭に植えて育てていくこともできます。鉢植えに比べて、水やりや植え替えの手間がかからず、大きな株へと生長させられますよ。庭のスペースに余裕がある方はぜひチャレンジしてみてください。
まずは、日当たりと風通しのよい場所を選びましょう。そして、肥料に苗の根が触れないよう注意しながら植えていきます。そして、鉢植えと同じ時期に株元から一歩くらい離れた場所をぐるっと囲むよう、円状に溝を掘って肥料を施していけば育ってくれます。
- 育てる場所に直径が苗よりも二回りほど直径と深さのある穴を掘る
- 穴の底に牛糞かバラ用の化成肥料を入れる
- 掘り上げた土を少し穴に戻し、肥料を覆う
- 残りの土を戻しながら、株元が地表に出るくらい高さを調節して苗を植える
- たっぷりと水やりをする
- 水が引いたら土を平らにする
バラの育て方で気をつける病害虫は?
バラは、風通しが悪いと病害虫の被害を受けやすくなります。剪定を忘れたり、植えた距離が近すぎたりして過湿気味になることが主な原因です。また、梅雨は株が蒸れやすい時期なのできちんと対策をうちましょう。株元にわらや土の表面を隠すマルチング材などを被せることで、強い雨で土が跳ね返るのを防ぎ、黒点病を予防してくれますよ。
以下に、バラがかかりやすい主な病気や害虫をご紹介します。
灰色カビ病
灰色カビ病は、花びらにカビを発生させる病気で、つぼみがかかるとバラが咲く前に腐ってしまいます。枯れた花はこまめに摘み取り、病気が出ているところは早めに切り取りましょう。
うどんこ病
うどんこ病は、葉の裏側などがウドン粉を振りかけたように白くなり、やがて縮れてしまう病気です。まだ症状が軽いうちに、STダコニールやサプロール乳剤などを散布します。
カイガラムシ
カイガラムシは、白色の貝殻を被ったような見た目の虫で、古い枝に付着して樹液を吸います。また、カイガラムシの排泄物は葉を黒く汚すスス病を誘発します。
対策としては、幼虫の発生期に浸透性薬剤のオルトラン粒剤やアクテリック乳剤などを散布しましょう。枝に張り付いたカイガラムシを見かけたときは、歯ブラシなどでこそぎ落とします。
テッポウムシ
テッポウムシは、ゴマダラカミキリの幼虫で、茎や根の中心部を食べてバラを枯らします。根元あたりに茶褐色の糞を発見したら、ベニカAやカダンA(エアゾール)などを巣穴から注入しましょう。
チュウレンジバチ
チュウレンジバチは成虫が飛来して卵を茎に卵産みつけます。孵化した幼虫は葉を食い散らかしてしまいます。見つけ次第、捕殺しましょう。スミチオン剤を使うとある程度の殺虫・防除ができますが、成虫は常にバラに付いている訳ではないので、完全な駆除は難しいのが現状です。
バラの育て方は、日々のお世話が大切
きれいなバラが1つあるだけで、周囲が華やかな雰囲気に彩られます。そんな空間を作り出すためには、たしかに手間がかかります。でも、お世話をかかさないことで、バラはその苦労に応えるようにきれいな花を咲かせてくれます。
更新日: 2023年05月17日
初回公開日: 2015年05月20日