ガーデニングをしていると、必ずといっていいほど悩まされるのがカイガラムシです。日本で発見されているものだけで400種以上の仲間がおり、一説によると、未発見の種を合わせると倍以上の種類がいるともいわれています。
硬い殻に覆われ、殺虫剤が効きにくい性質があるので、駆除も一苦労。今回はそんなカイガラムシの駆除や予防、効果的な農薬など防除方法についてご紹介します。
カイガラムシの駆除・防除の方法は?無農薬な方法もある?
カイガラムシの駆除方法は大きく分けて3つあります。
1つは農薬や殺虫剤をを使った駆除、2つ目は天敵となる虫を近くで放飼するバンカー法、3つ目はブラシなどで擦り落とす手作業による駆除です。以下にそれぞれの方法を詳しく解説します。
1. 農薬や殺虫剤を使う
農薬や殺虫剤は、手軽に入手できて速効性の高い駆除方法です。幼虫のカイガラムシであれば、まだ硬い殻に覆われていないため、農薬や殺虫剤がよく効きます。
5~7月頃になると幼虫が孵化しはじめるので、この時期に農薬を散布しましょう。
農薬を使用するときは、近隣の方の迷惑にならないよう、風の強い日は行わないなどの配慮と、マスクやメガネ、ゴーグル、ゴム手袋などを着用して、皮膚に薬剤が付かないようにすることが大切です。
● おすすめの薬剤:ベニカ、オルチネン、スミチオン、マシン油(97%剤)など
2. 天敵の放飼によるバンカー法
アブラムシの天敵といわれる寄生蜂やテントウムシを近くで放し飼いにしておき、カイガラムシに捕食、寄生させて退治する方法です。
準備や運用に多少手間はかかりますが、一度慣れてしまえば農薬を使わない自然農法なので、野菜への負担がありません。また、ビニールハウスや畑など、広範囲のカイガラムシ対策にもおすすめです。
ただし、天敵の虫が数千種のカイガラムシ全てを捕食するわけではありません。種類によって大きさや生態も多少違うため、特定の種類のカイガラムシしか捕食や寄生の対象とならないのです。
例えば、「イセリアカイガラムシ」は、ベダリアテントウムシが好んで捕食してくれ、「ヤノネカイガラムシ」は、ヤノネキイロコバチやヤノネツヤコバチなど寄生蜂が卵を産み付ける対象となります。
3. ブラシなどで擦り落とす
成虫となったカイガラムシは、ロウのような物質の殻で体を覆っており、農薬や薬剤が体内までとどきません。そのため、歯ブラシなどで1匹1匹、こすり落としていく必要があります。
時間と丁寧さ、そしてなによりも根気が必要です。ただ、こすり落とすときに力を入れ過ぎて、植物を傷つけてしまわないよう注意してください。
もし、大量に発生している場合は、枝や茎、葉を切り取って処分するのも1つの方法です。
カイガラムシは予防できる?
カイガラムシは、1年を通して風通しの悪い場所で発生しやすい害虫です。定期的な剪定で風通しを改善し、農薬を散布して予防するのが効果的です。
特に5〜7月の繁殖期は、込み合った枝や葉っぱを切り取り、植え付け前や鉢植えであれば、風通しのよい場所を選びましょう。
12~2月頃、スミチオンやオルトラン、マシン油乳剤(97%剤)、石灰硫黄合剤などを2回ほど散布しましょう。一度カイガラムシが発生した場所は、翌年も発生しやすいので、重点的に散布するのがコツ。
ただ、石灰硫黄合剤は臭いがあるので、住宅地だと近隣とのトラブルにつながるので注意してください。
カイガラムシは幼虫の間に駆除しよう
カイガラムシは、放っておくとあっという間に繁殖し、すす病などの原因にもなる害虫です。
毎日、植物を観察し、カイガラムシの寄りつきにくい環境をつくるなど、早期の発見・対処を心がけるようにして、ガーデニングを楽しんでくださいね。
更新日: 2018年05月31日
初回公開日: 2016年03月04日