キダチアロエ(木立ちアロエ)は、寒さにも比較的強いツルボラン科アロエ属の植物。暖色系の花を咲かせ、民間薬草としても知られています。そんなキダチアロエの育て方は、難しいのでしょうか?今回はキダチアロエの育て方から育てるポイントに効能まで、詳しく解説します。
キダチアロエとは?どんな花が咲く?
キダチアロエ(木立ちアロエ)をはじめとするアロエ属は、約500種以上も存在します。もともとアロエは寒さに弱い品種が多いですが、キダチアロエの場合は暑さに強く、寒さも比較的平気です。関東や関西などでは、屋外での冬越しも難しくありません。
科名 | ツルボラン科 |
---|---|
属名 | アロエ属 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
別名 | キダチロカイ |
原産地 | 南アフリカ |
花は赤やオレンジなどの暖色系です。開花時期は冬の12~2月頃。「健康」や「信頼」といった花言葉がついています。キダチアロエには斑入りのものもあり、こちらも育てやすい品種です。
キダチアロエの育て方!土づくりのコツは?
キダチアロエは、水はけが良く適度に保水性のある用土を好みます。市販の多肉植物用の土やサボテンの土でも問題ありません。市販の培養土は、植物を育てるのに慣れていない人でも、失敗しにくい配合に作られています。
土の配合は、育て方によっても合う合わないがあるので、初心者の人は市販の培養土から触ってみるといいでしょう。
自分で配合するときは、赤玉土:4、鹿沼土:3、腐葉土:3などの比率で配合します。ピートモスやバーミキュライトなどを加えて、自分なりのアレンジをするのもおすすめ。しっかり微塵を取り除いてから配合しましょう。
キダチアロエの育て方!日当たりや置き場所は?
キダチアロエは直射日光が当たる場所で管理しましょう。日光が足りないと、生育不良になります。比較的寒さに強い品種なので、寒冷地以外は1年を通して屋外で管理可能です。
しかし、霜や長雨には当てないようにします。霜や長雨に当たると、株が弱ってしまうからです。また、蒸れて病気になる場合もあります。そのため、軒下や屋根がついている棚での管理がいいでしょう。
寒冷地なら、冬になったら5℃以下にしないよう室内や温室で管理したほうが安心です。暖かくなってきたら、少しずつ屋外に出して日光に慣れさせましょう。
また日当たりだけでなく風通しがいいところもポイントです。風の流れが悪いところだと、害虫が付着しやすくなります。冬場、室内で管理するときもたまに窓を開けて、キダチアロエを置いている部屋の換気をするといいでしょう。
キダチアロエの育て方!水やりのコツは?
キダチアロエの水やりは、春~秋と冬で違います。ここでは、キダチアロエの季節ごとの水やりのコツをご紹介します。
春~秋
春~秋は土の表面が乾いたら、たっぷり水やりをします。ただし、与えすぎには注意が必要です。たくさん与えすぎると土の中で蒸れて根腐れする可能性があります。水の与え方は、頭から株全体にシャワー(やりすぎに注意。行うなら春と秋)・土部分に水差しで与える・底面給水の3種類です。
冬
冬の水やりは、与える回数を減らします。乾燥に強いため、水を与える頻度は1ヵ月に2回程度がベストです。水を与える際は、比較的暖かい日を選ぶようにしてください。
キダチアロエの育て方!肥料の与え方は?
肥料は5〜9月に固形肥料、もしくは液体肥料を与えます。頻度は即効性の肥料なら10日に1度、緩く効く肥料なら3か月に1度程度を目安に与えましょう。植え替えしたときも、土に元肥を混ぜ込んでおきます。
市販の培養土に元肥が含まれている場合は、元肥を加える必要はありません。そういった製品は、パッケージに「元肥入り」と記載されています。もちろん、元肥が含まれていない製品もあるので、自分が使用しているものがどちらか確認しておくといいでしょう。
キダチアロエの育て方!注意すべき病害虫と対策法は?
害虫はカイガラムシとアブラムシに気をつけましょう。まず、カイガラムシは葉裏や茎の付け根に発生しやすいです。植物の生育を阻害するので、カイガラムシがついているのに気づいたら、すぐに割り箸でそっと取り除きましょう。
アブラムシはとても注意が必要で、見つけたらすぐに駆除してください。アブラムシから排出された排泄物などは、病気のもとです。
害虫対策は、日ごろから薬剤散布と目視チェックで、しっかり予防しておきましょう。また、シャワーで植物全体に水やりすると、害虫が付着するのを防げます。加えて、傷んだ葉をこまめに取り除くのも、病害虫対策で大切です。
まれに、キダチアロエの葉に斑点ができますが、これは病気のサインではありません。かといって、いい状態というわけでもなく、これは生育が異常をきたしているために起こる症状です。もし斑点ができているのに気づいたら、水を控えてしばらく休眠させてください。
キダチアロエの植え替え方法は?
キダチアロエの植え替えは生育する4~6月に行います。鉢植えで管理していると根詰まりするので、1〜2年に1度のペースで植え替えましょう。根詰まりすると、葉が赤く変色してしまいます。植え替えのやり方は以下のとおり。
用意するもの
- 植え替え用の鉢
- キダチアロエ
- 土
- 殺虫剤
- 肥料
植え替えのやり方
- 鉢植えから株を抜く
- 古くなった根や葉を整理して、切り口を乾燥させる
- 乾燥したら、土、殺虫剤、肥料を入れた一回り大きい鉢に植え替える
- 約1週間後から水やりを再開する
植え替えのポイントで忘れてならないのは、根や葉を整理したとき、切り口は必ず乾燥させることです。ハサミやカッターで切った直後は人間でいえば切り傷ができた状態と同じ。放っておくとばい菌が入ることがあるので、土へ植える前に乾燥させておきましょう。乾燥させるときは日陰で管理します。
キダチアロエの増やし方は?挿し木で増やす?
キダチアロエの増やし方は、挿し木と株分けの2種類です。挿し木と株分けの詳しいやり方は、以下を参考にしてみてください。
用意するもの
- 挿し木用の土
- キダチアロエ
- ハサミやカッター
- 育苗用のトレー
挿し木のやり方
- 挿し木にしたい茎を10センチほどの長さに切る
- 切ったら切り口にばい菌が侵入しないよう日陰で乾燥させる
- 挿し木用の用土を入れた育苗用のトレーに、切り取ったキダチアロエを挿す
- 1週間ほど経ってから水をあげる
挿し木用の土は赤玉土(小粒)を単体で使用するのもおすすめです。
株分けのやり方
- 子株を親株から丁寧に取る
- 切り口を日陰で乾燥させる
- 取り外した子株を植える
植え替えするときは、根を傷つけないように注意しましょう。
キダチアロエの効能とは?
キダチアロエは医者いらずともいわれ、民間薬草としても知られています。おもな効能は、抗炎症作用です。これは火傷や切り傷に効果を発揮します。ほかにも、葉には下剤成分が含まれているので、便秘解消効果も。ハンドクリームでもアロエを使ったアイテムは数多く存在します。
勘違いしやすいのが、キダチアロエは食用には向いていません。食用になるのはアロエベラという別の品種です。アロエベラは日本で一般的に販売されているアロエで、アロエベラとキダチアロエをごちゃまぜに販売しているお店もあります。
キダチアロエの育て方で注意すべきポイントは?
キダチアロエを育てる際のポイントは以下の6つです。
- 直射日光にしっかり当てて屋外で管理する
- 生長期の水やりは土が乾いてから与える
- 冬場は回数を減らして水やりする
- 生長期は定期的に肥料を与える
- 増やす場合は挿し木か株分けが最適
- 植え替えする時期は4〜6月に行う
これらのポイントをおさえて、キダチアロエの栽培にチャレンジしてみましょう。
キダチアロエを育ててみよう
キダチアロエは、暖かい地域なら屋外越冬もできる育てやすい品種です。日光が足りないと、ひょろっとした見た目になってしまうので、日当たりのいい場所で十分に太陽に当ててください。挿し木と株分けの増やし方も簡単なので、ぜひキダチアロエを育ててみてはいかがでしょうか。
更新日: 2021年01月20日
初回公開日: 2020年03月06日