胡蝶蘭と並んで人気のシンビジウムは、冬の鉢花として贈られることの多い洋ランです。寒さに強いので育てやすく、淡い色の花をたくさんつけて楽しませてくれますよ。今回は、シンビジウムの育て方について、株分けや植え替えの時期と方法などをご紹介します。
シンビジウムの育て方のポイントは?
「夏の高温に注意する」「こまめに芽を摘み取る」「生育期に肥料をしっかり与える」という3点が育て方のポイントです。全体としては冷涼な気候を好み、高温に弱いので、一年を通して風通しのよい場所に置いてください。
また、芽をこまめに摘み取ると、花つきが良くなりますよ。冬を除いて定期的に肥料を与えることで、毎年美しい花を咲かせます。
シンビジウム(シンビジューム)の鉢植え、地植えの時期と方法は?
4月中旬~5月上旬頃、苗を植え付けます。日光を好むため5~10月は屋外の日当たりのよい場所で育ててください。ただ、強い日差しに当たると葉焼けして株が痛むので要注意。
7~8月の間は、半日陰や室内など、直射日光をしのげる場所に移動させましょう。
また、耐寒性に優れた品種が多く、室内で10度以上あれば容易に冬越しできます。時期によって場所を移動させた方が管理しやすいことから、鉢植えでの栽培がおすすめです。
鉢植え
ごろ土(鉢底石)を2cmほど敷いた5~8号鉢に土を入れます。苗を置き、すきまを土で埋めながら、割り箸やへらで土を突いて、根がはりやすいようにします。
根を真下に伸ばすため、蘭鉢などの縦長鉢がおすすめです。
地植え
霜と凍結の心配がない地域でなら、地植えで育てることも可能です。庭土を苗より一回り大きく掘り起こし、腐葉土を混ぜ込んでから植え付けてください。
ただし、管理が鉢植えに比べて難しいことから、ガーデニング初心者にはあまりおすすめしません。
シンビジウム(シンビジューム)の育て方!土作り・水やり・肥料の時期と方法は?
土作り
軽石を単品で使うか、軽石8:バークチップ2か、日向土6:パーライト4の割合で混ぜた、水はけのよい土が適しています。
水やり
水をたくさん必要とします。土の表面が乾いてからたっぷりと与えてください。4~9月末までの生育期は、水の吸い上げが活発で、1日1~2回、害虫の予防も兼ねて頭からしっかり水をあげます。
つぼみのついていない秋~冬は、1週間に2回程度までに水やりを減らします。そして、花のつぼみが膨らみはじめたら、2~3日に1回水やりをしましょう。
肥料
植え付けるとき、ゆっくり効く緩効性の化成肥料を土に混ぜておきます。
花が咲き終わった3月下旬~9月まで、骨粉や油かすなどを1~2ヵ月に1回施しながら、薄めた液体肥料を2週間に1回与えます。ただし、開花期の冬と7~8月の真夏は肥料を与えないようにしてください。
シンビジウム(シンビジューム)の剪定!芽かきの時期・方法は?
シンビジウムは、花を咲かせるため、9月頃「芽かき」をします。1本の茎には1~3個ほどの花芽を残して、残りの花芽と葉芽を全て取り除いてください。
花芽と葉芽は間違えやすいので注意が必要。花芽はふっくらとして触れるとやわらかく、葉芽は細長く芯があって硬い感触をしています。
シンビジウムの茎は「バルブ」と呼ばれ、根本が少し膨らんでいますが、水や養分を溜め込むことができます。芽かきを怠ると花芽と葉芽が多くなり、一つ一つの芽に届く養分が不足してしまうため、数を減らす必要があるのです。
シンビジウム(シンビジューム)の植え替えの時期と方法は?
植え付けから2~3年たった株は、見た目も窮屈になります。3~4月に、一回り、あるいは、二回り大きな鉢に植え替えましょう。
大きすぎる鉢は根を乾きにくく、花つきを悪くするので、株の大きさに合った鉢に植えることが大切です。
植え替えの手順
1. 鉢から株を抜く
2. 一回りあるいは二回り大きな鉢に、鉢底石を敷き、専用の土を入れる
3. 緩効性の化成肥料を混ぜる
4. 新芽が伸びる方向を空けて株の位置を決める
5. すきまを土で埋めながら、割り箸やへらで土を突いて、根がはりやすいようにする
シンビジウム(シンビジューム)の増やし方!株分け、バックバルブ吹きの時期と方法は?
「株分け」か「バックバルブ吹き」という方法で数を増やすことができます。いずれも3~4月中に行いましょう。
株分け
大きくなった株を2~3株に分けて、小さな鉢に植え替えます。
鉢から土ごと株を抜き出し、根を水に浸けながら古い土を全て取り除き、根の下から1/3程度をハサミで切ります。そして、それぞれの株にバルブが2~4個つくよう、ハサミやナイフで切り分けていきます。
分けた株は、5~6号鉢に植え付けましょう。植え付け時と同じ土を使ってください。
バックバルブ吹き
葉がなくなり、1年以上たっているバルブを切り取って育てる方法です。切り取ったバルブは、5~6号鉢に植え付けましょう。
シンビジウム(シンビジューム)の育て方で注意する病害虫は?
黒斑病
葉に黒い斑点が出て、花が咲きにくくなるウイルス病です。感染力が強く、一度感染すると治療できないため、病変が出た株はすぐに処分しましょう。
切り口から感染することが多いので、はさみやナイフは、使うたびに火であぶるか、アルコール消毒をしてください。
アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ
植物に寄生して汁を吸い、弱らせる害虫です。数が少ないうちは、見つけ次第薬剤を散布して駆除していきましょう。
ただし、カイガラムシは成虫になると薬剤が効きにくいので、見つけたら歯ブラシなどでこすり落としていきます。
ナメクジ
植物のやわらかい部分を好み、新芽やつぼみを食べてしまいます。ビールを容器に貯めて罠を仕掛けるか、置き型の忌避剤で予防しましょう。
シンビジウムは育て方の簡単な洋ラン
シンビジウムは寒さに強く、育てやすい洋ランとして知られています。しかし、その育てやすさに甘えて「葉ばかり茂って花が咲かない」という失敗が多いようです。日頃から手入れを怠らず、綺麗な花を咲かせられるといいですね。
更新日: 2023年05月02日
初回公開日: 2015年09月14日