ガーデニングの最盛期は、冬を超えて暖かくなった4〜6月頃といわれています。日本では多くの花が生長し、開花する時期でもあります。しかし、そんな多くの植物が生長する時期は、アブラムシなどの害虫の活動が活発になる時期でもあります。放っておくと大量に繁殖し、病気も引き起こすアブラムシ。広い畑であるほど手間がかかって、駆除しきれないこともありますよね。そこで今回は、農薬など殺虫剤を使わないで、アブラムシの天敵を利用した効果的な駆除方法をご紹介します。
アブラムシの天敵とは?
アブラムシの天敵の代表例は、テントウムシとハチです。テントウムシはアブラムシを餌として捕食し、ハチはアブラムシに卵を産み付けて子孫を育てます。この自然界の性質(天敵)を利用した方法は、「バンカー法」と呼ばれ、実際の農業の現場でも利用されています。
バンカー法は、農業・食品産業技術総合研究機構(通称:農研機構)が開発を続けており、アブラムシに対しては、「飛ばないナミテントウ」や「コレマンアブラバチ」を飼育して捕食させる方法が現在の主流といわれています。ナミテントウやコレマンアブラバチは、インターネットから購入できます。
アブラムシの天敵を利用した駆除・予防方法は?
1. 飛ばないナミテントウ
「飛ばないナミテントウ」は、自然界で生まれた飛行能力が低く、飛べない変種のナミテントウを飼育・繁殖させ、アブラムシを捕食させる方法です。ナミテントウは、アブラムシなどを食べる「肉食系」のテントウムシで、他にもうどんこ病菌などを食べる「菌食性」、ナス科の植物などを食べる「草食性」タイプのテントウムシがいます。
これまではナミテントウを放っても、捕食後に飛び立ってしまうことからビニールハウスなどの閉ざされた空間内でしか飼育できませんでしたが、この方法であれば、アブラムシが発生する間はナミテントウが食べ続けてくれます。1匹で1日に100匹以上のアブラムシを捕食するナミテントウを利用して、現在ではコマツナ、イチゴ、ナス等でその効果が実証されています。
■ 飛ばないナミテントウの飼育
1. アブラムシを発見したら、ナミテントウ製剤を入手する
2. オガクズと一緒に1㎡あたり10~13匹ほどナミテントウの幼虫を放し飼いにする
3. ナミテントウは同じ場所に留まることが多いので、畝ごとにナミテントウを放つ
4. 農薬などでナミテントウの数が減ったときは追加する
2. コレマンアブラバチ(寄生蜂)
コレマンアブラバチは、別名「寄生蜂」と呼ばれる、自分以外の昆虫に卵を産み付けて繁殖するハチです。人体に影響がない小さなハチで、アブラムシの探索に優れ、ナミテントウと合わせて放し飼いにできるメリットがあります。寄生蜂の仲間には、アブラバチやアブラコバチなどがいますが、自分で捕まえてくることはむずかしいので、自然に集まって来るのを待ちましょう。また、スズメバチやアシナガバチもアブラムシを捕食する天敵ですが、人も刺す可能性があって危険なので飼育はしません。
ただ、コレマンアブラバチが食べるのは、ムギクビレアブラムシだけで、コレマンアブラバチを飼育するには、バンカープランツとして麦を近場で栽培し、ムギクビレアブラムシを人工的に増殖させる必要があります。コレマンアブラバチは、探索性に優れている分、飛ばないナミテントウよりも少し手間がかかります。
■ コレマンアブラバチの餌(バンカー)の作り方
1. アブラムシを発見したら、ムギ類の種をプランターや近くに地植えする
2. 液肥などでムギを育てながら、ムギクビレアブラムシの数が少なければをムギのそばに放つ
3. 防虫ネットや網をムギに被せ、ムギクビレアブラムシが増殖するまで他の虫から守る
4. ムギクビレアブラムシが増えてきたら防虫ネットを外して、コレマンアブラバチに食べさせる
5. 2〜4週間ごとに、ムギクビレアブラムシの減り具合によって1〜4を繰り返す
アブラムシは天敵を放って退治してもらおう
ウイルスを呼び寄せ、植物の汁液を吸い取ってしまうアブラムシ。アブラムシを駆除する方法は、天敵を放つ以外にも、農薬や殺虫剤、牛乳や酢のスプレーなどたくさんあります。また、窒素成分の多い肥料を与え過ぎないこと、普段から霧吹きなどで葉っぱを乾燥させすぎないことも予防につながりますよ。自分のガーデニングスタイルに合った効果な対策を知って、アブラムシをしっかり退治し、園芸を楽しんでくださいね。
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「飛ばないナミテントウ」が利用可能に 参考文献: コレマンアブラバチを用いたバンカー法による施設ナス・ピーマンなどでのアブラムシ防除 参考文献: 飛ばないナミテントウ利用技術マニュアル 参考文献:更新日: 2016年03月02日
初回公開日: 2016年03月02日