初めて園芸やガーデニングに取り組むときに悩むことの1つが土作りです。土が植物にあっているかどうかによって、生長の速さや花つき、実つきが全く異なります。
今回は、園芸やガーデニング初心者が知っておきたい土作りについてご紹介します。
土作りは植物を育てるのにどんな影響や役割がある?
● 植物の身体を支える
● 病気や急激な温度の変化から根を守る
● 根に養分や水分をあたえる
園芸やガーデニングには様々な土の種類があり、植物の好みに合わせた土作りをすることで、生長が促されて、自然界と同じような、もしくはそれ以上に立派な花を咲かせることができます。
植物は、土の中に根をはわせることで体を支え、養分や水分を補給します。土の中では、熱が伝わりにくいため、日差しによる急激な温度の上昇が抑えられ、病害虫の被害にあいにくくなります。
土作りのポイント!仕組みを理解しよう
土作りで大切なことは、植物の自生地の環境に近づけることです。
例えば、川の近くで育った植物と砂漠で育った植物の好む土が違うように、自生地によって土の水分や成分、雑菌の有無などが異なります。
今回は、園芸において土作りで大切なポイントを4つご紹介します。
1. 保水性(水もち)、排水性(水はけ/通気性)
保水性(水もち)とは、水分を一時的に蓄えておく能力のことです。主に、土の粒の大きさや形、材質によって左右されます。
例えば、粘土質やコケが原料の土は水もちがよく、川砂など粒に穴が空いていない土は水もちが悪くなります。排水性(水はけ)とは、水分をはき出す能力のことです。
植物の多くは排水性の高い土を好みます。排水性が高いと、土が乾きやすく新鮮な水をたくさん与えることができます。
そもそも植物への水やりには、水を与えるだけではなく肥料成分を溶かして根の周りに流し、土の中の古い空気を押し出して新しい空気を取り込ませる役割があります。
排水性は、保水性とは反対の能力のため、川砂は保水性が低く、排水性が高い土といえます。
2. 保肥性(有機性)
保肥性とは、肥料成分を蓄える、もしくは土自体が肥料成分となる力のことです。
主に、堆肥や腐葉土など微生物が好んで寄ってくる土であれば、保肥性が高いといえます。反対に赤玉土や鹿沼土のように、保肥性が全くない土もあります。
3. 清潔
病原菌や害虫が住みついた土、雑草が生えやすい土、一度植物が病気になったときに使っていた古い土などは、病気や害虫の被害が再発しやすくなります。
市販であれば、未使用の新しい土を使うか、土壌改良材を混ぜて作りなおした土を利用するのがおすすめです。
4. 酸性とアルカリ性のバランス
日本は酸性雨が降るため何も手を加えていない土地は、弱酸性の土になっています。
ただし、植物によって強いアルカリ性の土壌を好む植物もあるため、苦土石灰や石灰などの石灰成分を加えて酸性度合いを調節する必要があります。
花壇や畑の土作りの方法は?
畑や花壇などの地植えは、鉢植えに比べて、植え替えや土を入れ替える頻度が低くなります。つまり、長く同じ土を使って育て続けるため、最初の土作りで植物の生長が大きく左右されます。
基本的に、日本の庭土は酸性寄りに傾いているため、石灰を混ぜて酸性度を弱め、その後に腐葉土などの栄養分を混ぜ込みましょう。
石灰と腐葉土は、同時に混ぜると効果が薄くなるので、1週間ほど期間を空けて混ぜて寝かせておきます。
1. 植え付けの2週間前に土を掘り返して耕す
2. 雑草や小石を取り除く
3. 1㎡あたり100~120gの苦土石灰を混ぜて土を寝かせる
4. 1週間後、腐葉土や堆肥を3割ほど混ぜて土を寝かせる
5. 植え付け当日、肥料を入れてよく混ぜる
6. 畝(うね)を立て、苗を植え付ける
プランターや鉢の土作り!種まき、ベランダ、室内など場所や用途別の方法は?
プランターや鉢での栽培は、種・苗木、屋内・ベランダ・屋外など、生長段階と場所によって様々な土作りの方法があります。
また、プランター植えや鉢植えは、植え替えが必要になるので、その都度新しい土を用意しましょう。
種まき
種自体に養分が蓄えられているため、清潔で水もちと水はけのバランスのよい土が好まれます。赤玉土やバーミキュライト、ピートモスだけを単用で利用するか、混ぜ合わせましょう。
プランター/鉢植え
赤玉土(小粒)6~7:腐葉土3~4の割合で混ぜ合わせた土が基本です。寄せ植えなどにも利用できますよ。
ベランダ用
赤玉土5:腐葉土3:バーミキュライト2の割合で混ぜた土がおすすめです。ベランダは風通しがよく乾燥しやすいので、水もちをよくするために基本の配合にバーミキュライトを足して補います。
室内用
赤玉土5:腐葉土2:ピートモス3の割合で混ぜた土がおすすめです。室内では、コバエやカビなどが発生しないように無菌で清潔なピートモスを使うとよいですよ。
日陰用
赤玉土5:腐葉土3:軽石2の割合で混ぜた土がおすすめです。日陰は土が乾きにくくなるので、通気性をよくするために軽石を混ぜるのがポイントです。
酸性を好む植物
鹿沼土6:ピートモス4の割合で混ぜた土がおすすめです。鹿沼土は、土の形が崩れやすいので年に1回植え替えが必要になります。
根腐れした植物の再生用
赤玉土(小粒)2:腐葉土1:軽石1の割合で混ぜた土がおすすめです。排水性に優れ、さらに乾きやすい用土が適しています。基本のブレンドで植物はだいたい育てることができます。
水はけをよくしたい場合はバーミキュライトを加え、水もちをよくしたい場合はパーライトを入れて調節するとよいですよ。
土作りのポイントを理解してガーデニングを楽しもう
土作りは、ガーデニングの基本中の基本です。どんなに状態のよい苗であっても、土がよくなければ育つことできません。
植物の栽培に失敗しないためにも、環境と植物に合った土作りをして、ガーデニングを楽しんでくださいね。
更新日: 2018年05月09日
初回公開日: 2015年12月13日