ガーデニングをはじめるときに、なくてはならないものの1つが土。園芸店やホームセンターに行くと、たくさんの種類があって何を買えばよいのか…と迷ってしまいますよね。実は、種類ごとに性質が違い、それぞれ特徴があるんです。どんな土かを知ることで、ガーデニングをもっと楽しめるようになるかもしれませんよ。今回は、園芸に使う基本用土と補助用土の種類や特徴についてご紹介します。
園芸用土の種類!基本用土、補助用土、培養土とは?
培養土
園芸に使う土は、「基本用土」「補助用土」「培養土」の3つに分けられます。培養土とは、数種類の基本用土や補助用土、肥料を混ぜ、特定の植物に合った配合に調節された土のことです。中には、種まき専用や挿し木専用のものもあります。
基本用土と補助用土
「基本用土」とは、土の5割以上を占める主体となる土のことです。そして、基本用土の性質をよりよくするために加えるのが、「補助用土」となります。基本用土や無肥料のものがほとんどで、単体で用いられることも多いです。
土の種類一覧
土の種類 | 通気性 | 排水性 | 保水性・保肥性 |
1. 赤玉土 | ◯ | ◯ | ◯ |
2. 鹿沼土 | ◯ | ◯ | ◯ |
3. 日向土 | ◯ | ◯ | △ |
4. 黒土 | △ | × | ◯ |
5. まさ土 | × | × | × |
6. ケト土 | △ | × | × |
7. 軽石 | ◯ | ◯ | × |
8. 水苔 | ◯ | ◯ | ◯ |
9. 川砂 | ◯ | ◯ | × |
10. 山砂 | ◯ | × | × |
11. 腐葉土 | ◯ | ◯ | ◯ |
12. 堆肥 | ◯ | ◯ | ◯ |
13. ピートモス | ◯ | ◯ | ◯ |
14. バーミキュライト | ◯ | ◯ | ◯ |
15. くん炭 | ◯ | △ | ◯ |
16. パーライト | ◯ | ◯ | △ |
17. ゼオライト | ◯ | ◯ | ◯ |
■ 基本用土
1. 赤玉土
赤玉土は、積み重なった火山灰を乾燥させた、関東ローム層の土のことです。名前の通り赤みが強く、粒状をしています。粒の大きさによって性質は少し違いますが、基本的に水はけ、水もち、肥料もちのバランスがよいことが特徴です。また、肥料成分を含んでおらず、清潔なことから、ほとんどの植物に対して使うことができます。
ただ、日本は酸性雨が降ることから、弱酸性に傾いています。中性~アルカリ性を好む植物を植えるときは、酸性度合いを調節する必要があります。
2. 鹿沼土
鹿沼土は、赤玉土と同じく関東ローム層で採取できる軽石です。主に栃木県の鹿沼地方で採取されることから、名付けられました。見た目は黄色みを帯びた白色で、粒状になっています。また、日本で取れるので、土質は酸性に傾いています。特徴はほぼ赤玉土と変わりませんが、サツキなど酸性の土を好む植物に対して使うのが一般的です。
3. 日向土(ボラ土)
日向土は、宮崎県南部などの霧島系火山帯で採取できる軽石です。湿っているものは「ボラ土」とも呼ばれます。他の基本用土に比べて硬く、長期間使っても粒が崩れないことから、単体でだけでなく、水はけをよくする補助用土としても使われます。また、表面にたくさんの細かい穴が空いており、空気や養分を土中に保つ効果が高いです。
ただ、水はけと通気性がよい分、水もちや肥料もちは悪く、赤玉土や鹿沼土と混ぜ合わせることがほとんど。洋ランや万年青など水栽培もできる植物には単体で使うことができます。
4. 黒土
黒土は、火山灰土の1種で、関東ローム層の表層部分から採取することができます。見た目が黒く、踏むと音がすることから、「黒ボコ」「黒ボク」とも呼ばれます。火山灰と枯れた植物が混ざり合ってできていることから、フカフカしており、有機質を多く含んでいます。また、肥料もちや水もちも抜群。特に根菜など野菜の栽培に利用されますが、リン酸を吸着する性質があるので、赤玉土や腐葉土と混ぜて使うのがよいですよ。
5. まさ土(真砂土/サバ土)
まさ土は、花崗岩が風化して砂状になったものです。粘土質で水もちがよく、栄養を含んでいないことが特徴となっています。また、価格も安いため、街路樹の土や学校の校庭など広い場所を覆うときに利用されます。園芸で使うときは、水もちをよくするために、腐葉土や堆肥と混ぜて使われます。
6. ケト土
ケト土は、湿地に自生する植物が長い時間をかけて腐食し、土に変化したものです。繊維質を多く含み、粘り気が強く、崩れにくいことが特徴となっています。苔玉を作るときや、盆栽の石付けに利用されます。
7. 軽石(パミス)
噴火した火山から出たマグマが、急激に冷えて固まったものを軽石といいます。水よりも軽く、表面にたくさんの穴が空いていることから、通気性と水はけに優れています。ランの栽培や、鉢底石として園芸ではよく使われます。
8. 水苔(ミズゴケ)
山野草やランの植え込み材として重宝される水苔。湿地に自生する苔を乾燥させたもので、水もちと通気性のバランスがよいことで知られます。また、酸性を保ちやすい性質と高い保水・保肥性をもっています。長期間使用し続けると、ピートモスになっていきます。
9. 川砂
川砂は、河川に積もった砂の総称で、産地によって「白川砂」「朝明砂」など様々な種類があります。基本的に水はけと通気性をよくするために利用し、山野草や多肉植物の栽培でよく使われます。
10. 山砂
山砂は、火山から出たマグマが風化し、砂状になったものを指します。日向土や真砂土もこれに当たりますが、他にも桐生砂など産地ごとに名称や特徴があります。富士砂は、風化されずに堆積したものです。水もちと肥料もちがよく、山野草の栽培などに用います。
■ 補助用土
11. 腐葉土
腐葉土は、広葉樹の枯れた葉っぱや枝などを発酵させたものです。有機質に富み、水はけ、通気性、肥料もちの全てに優れていることが特徴です。痩せた土を再生させたり、水はけをよくしたりする目的で、鉢植え・地植えにかかわらず園芸のあらゆる場面で利用されます。
12. 堆肥
堆肥は、腐葉土と似た使われ方をしますが、肥料としての役割の方が強く、庭土の改良材としてよく利用されます。腐葉土が葉っぱや枯れ木だけを発酵させているのに対し、堆肥は、野菜や果物の皮などの植物性と虫や小動物の死骸などを発酵させた動物性のものがあり、種類は多岐にわたります。また、原料によって効果や使い方、作り方が異なるのも特徴です。
13. ピートモス
ピートモスは、柳や水苔などのコケ類が積み重なって固まったものです。強い酸性なので、土を酸性に傾けたいときに使います。また、原料がもともと水苔なので、土に混ぜると水もちや肥料もちがよくなります。ピートモスをさらに発酵させると、より高い効果を発揮します。
14. バーミキュライト
ひる石と呼ばれる鉱物が原料のバーミキュライト。薄い層が積み重なった構造をしていることから、水や空気を通しやすくなっています。また、表面にたくさんの穴が空いていることで、外からの熱を遮断し、中に熱を保つ効果があり、土の状態を安定させます。土壌改良剤として以外にも、種まき用土や水耕栽培用の土としての利用もできます。
15. くん炭
くん炭は、もみ殻をいぶして灰にしたものです。水もちと通気性に優れているのに加えて、活性炭のように堆肥などのにおいを消臭する効果があります。また、色が白に近いほど強いアルカリ性をもち、酸性の土を中和してくれます。
16. パーライト
黒曜石や真珠岩を高温で焼いて粉状にしたものがパーライトです。土の水もちを改善するためによく利用されます。粒の大きさによって効果が異なります。
17. ゼオライト
ゼオライトは、沸石や沸石を含む凝灰石を粉状にした土壌改良剤です。表面の目に見えない穴がアンモニアガスなどの毒素や嫌なにおいを吸着する効果があります。
園芸用土の種類と特徴を知って使いわけよう
一言で「土」と言っても、ほんとうにたくさんの種類があり、その特徴も様々です。それぞれの特徴をおおまかにでも把握しておくことで、植物に合った土を自分で作ることができますよ。特に赤玉土や腐葉土は、まずはおさえておきたい基本的な土で、「植物を育てたい!」と思い立ったときに、必ず役に立ってくれます。自分で配合した土で植物が元気に育てば、さらに愛着もわきそうですね。
更新日: 2023年03月22日
初回公開日: 2016年01月15日