植物を育てるとき、それぞれの性質に合った土を作ることが大切です。日本は、酸性雨が降ることから、多くの植物が苦手とする酸性に土質が傾いていることで知られます。そんなとき、土壌改良材として活躍してくれるのが籾殻くん炭です。
今回は、籾殻くん炭とはどんなものなのか、効果や使い方、作り方についてご紹介します。
籾殻くん炭とは?特徴は?
籾殻とは、精米のときにとれる米の外側についた皮のことです。この籾殻を400度以下の低温でいぶし、炭化させたものが籾殻くん炭となります。
天然の土壌改良資材としてガーデニングや農業の現場で活用されます。雨によって徐々に成分が溶け出し、穏やかに作用することが特徴です。
籾殻くん炭の効果は?
1. 保水性、通気性、排水性の改善
重さの680倍の水分を吸収する働きがあることから、土に混ぜ込むことでフカフカになり、水もちがよくなります。また、表面にたくさんの細かい穴が空いていることから、通気性や水はけをよくする効果も期待できます。
2. 土壌の微生物の増殖
土に加えて水はけや通気性がよくすることによって、植物によい影響を与える土壌菌と呼ばれる微生物が住みやすい環境を作ることができます。土壌菌が増えて活発に活動することで、植物の生長が促されるだけでなく、連作障害といった病気の予防につながります。
3. 酸性を中和する
植物の灰には、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムが豊富に含まれ、水に溶かすと強いアルカリ性になります。この性質を活かして、酸性の土壌を中性~アルカリ性に傾ける働きがあります。
4. 消臭
脱臭炭のように、においを吸着する作用があります。腐葉土や堆肥と一緒に使うと、いやなにおいを消してくれます。
籾殻くん炭の使い方は?
籾殻くん炭は、土に混ぜ込んだり、途中で追加したりといつでも使うことができます。以下に、いくつか代表的な使い方をご紹介します。
1. 植え付け前の土に混ぜ込む
土の1割ほどの量を混ぜ込みます。これによって植物が生育しやすい土を作ることができますよ。窒素成分が全く含まれていないことから、他の肥料と併用しても化学反応が起きないこともポイントです。さらに、水はけ、水もちのバランスがよくなるので、根腐れの防止にもつながります。
2. 苗の周りにまく
乾燥の弱い植物の株元を籾殻くん炭で0.5~1cmほど覆います。籾殻くん炭は黒いので、太陽光を吸収し、土を保温する効果があります。また、土の湿気が蒸発するのを防ぐことから、乾燥防止にも効果的です。
籾殻くん炭の作り方は?
準備するもの
- よく乾燥させた籾殻
- 木材(薪、ワラ、枯れ草など)
- 新聞紙
- ライター
- 水
- くん炭器(あれば)
作り方
- 木材を籾殻の量に合わせて積み上げ、火をつける
- 籾殻を燃えている木材の上に直接盛るか、木材の上にくん炭器をかぶせてその周りに籾殻を盛る
- 表面が黒く炭化しはじめるまで待つ
- 炭化しているところと、まだ炭化していないところを少しずつ混ぜる
- すべて黒く炭化したら、大量の水をかけて完全に火を消す
- しっかりと乾燥させる
籾殻くん炭の作るときの注意点は?
炭化した籾殻は、水をはじく性質があります。ちょっとの水では火が消えないので、たっぷりと水をかけてよく混ぜあわせましょう。また、火を扱うので、周囲に燃えやすいものが多い場所では籾殻くん炭作りを行わないようにしてください。
籾殻くん炭を土壌改良材として活用しよう
籾殻くん炭は、草花や菜園、果樹などほとんどの植物の土に対して使うことができる土壌改良材です。また、雑菌が繁殖しないので、挿し木などの用土に混ぜると発根しやすくなりますよ。
さらには化学物質を使わずにすみ、エコなこともうれしいポイントです。自分で作れないときは、市販品もあるので、ぜひガーデニングに取り入れてみてくださいね。
更新日: 2018年06月20日
初回公開日: 2016年01月19日