ゼオライト(沸石)とは？ゴミを吸い込む効果がある？水槽での使い方など

水中のゴミを吸引してくれるお掃除屋さんのゼオライト。水耕栽培やアクアリウムの経験者なら、使ったことがある方も多いのではないでしょうか。浄水器や空気清浄機、脱臭剤として使われ、最近では美容や健康の分野でも注目されています。今回は、そんなゼオライトとは何か？吸着の原理や効果、水槽での使い方、価格などをご紹介します。

ゼオライト(沸石)とは？

ゼオライトとは、火山灰が固まってできた岩石グループの総称です。別名、沸石とも呼ばれ、自然界には40以上の種類があるといわれています。

中に隙間が多くあり、加熱すると隙間から空気や水分がブクブク出てくる様子から沸石（ふっせき）や沸石類と呼ばれるようになりました。1756年にスウェーデンの学者によってアイスランドで発見され、ギリシャ語の「zeo（沸騰する）」と「lithos（石）」から名づけられました。

ゼオライト(沸石)には天然と人工の2種類がある

ゼオライトを大きく分けると、天然物由来のものと人工的につくられた2種類があります。

天然由来の天然ゼオライトは、海底や湖底で採取できます。水晶のような微細な結晶が集まってできており、結晶のすき間に水分を含むため、熱や圧を加えると水分が抜けて網目状の小さなすき間が作られるのが特徴です。

人工ゼオライトは、こうした天然ゼオライトの結晶構造を真似て作り出されたものです。人工ゼオライトには、石炭灰や製紙灰を使った低コストな人工ゼオライトと、高コスト高性能な合成ゼオライトとの2種類があります。市販で購入できるのは、低コストな人工ゼオライトが多いです。

ゼオライト(沸石)の主な成分

ゼオライトの主成分は、シリカ（ケイ素）とアルミナ（酸化アルミニウム）です。シリカは鉱物に多く含まれるほか、植物や人体にも微量にも存在する天然のミネラルです。アルミナはアルミニウムの原料で、ファインセラミックスや乾燥剤などに使われます。

ゼオライト(沸石)には防臭・水質改善などの効果がある？

これらの成分の働きにより、ゼオライトには、吸着機能、イオン交換機能、触媒機能の3つが備わっています。

結晶構造のすき間を自由に動ける陽イオンが、陰イオンを吸着したり、別の陽イオンと入れ替わったりすることで、防臭、有害物質吸着、土壌改良、水質浄化といったさまざまな効果を発揮します。

ゼオライトは、このイオン交換機能と多孔質構造によって、水素、窒素、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなど多くの物質を吸着します。アンモニアに対する吸着力に優れ、猫用トイレの原料としても知られているんですよ。

ゼオライト(沸石)の使い方！水槽で使うと水質はどうなる？

1. アンモニア濃度を下げる

ゼオライトは、くみおき水の浄化や一時的なろ過材として使えます。水槽内のアンモニア濃度を下げる働きをもつことから、バクテリアの少ない水を生き物にとって住みやすいにしてくれます。

2. 水を軟水化する

ゼオライトを水に入れると、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを吸着して、硬水から軟水へと変化させます。一般的な魚や水草は軟水を好むので、水の硬度を下げたいときに便利です。

3. pHを調整する

ゼオライトには、水のpHを下げて弱酸性に傾ける働きがあります。日本の水道水は中性なので、ゼオライトを入れて酸性度合いを調節できます。

ゼオライト(沸石)の使い方！水槽以外で使うこともできる？

1. 根腐れ防止剤として

ゼオライトは、ハイドロカルチャーや水耕栽培の根腐れ防止剤としてよく使われます。吸着作用によって水を浄化するため、雑菌の繁殖や腐敗を防ぎます。また、きれいな水の状態を長く保てるので、水換えの回数が少なくなります。

2. 土壌改良材

ゼオライトを土に混ぜると、土壌改良効果が期待できます。保湿、保温効果があるため、湿度や通気性を高め、肥料成分を流れにくくします。

ゼオライトの販売価格は？

60cm水槽用で400円前後、園芸用は1kgあたり500円程度と、経済的で使いやすいので、植物の栽培に慣れてきた方や水槽で水草や生き物を育てたいときは、ぜひ活用してみてくださいね。

ゼオライト(沸石)は入れっぱなしに注意！

ゼオライトは、鉢底に敷くだけでなく、土の表面にまいても効果があります。また、水槽では網にゼオライトを入れて水に沈めたり、フィルターに入れたりと色々な使い方ができます。

ただ、このイオン交換機能は、使い方によってデメリットになる場合も。一度吸着した成分を再び放出するため、バクテリアが少ない状態での長期間の使用には向きません。水槽の水を準備するときは、少し時間がたったら取り出します。

また、甲殻類やサンゴといった硬水を好む生き物にとっては、カルシウム不足になって脱皮不全や白化といった症状を引き起こす原因となるので注意してください。

ゼオライト(沸石)を再利用して効果的に使おう

ゼオライトは、イオン交換や吸着作用によって、土や水をよい状態へと導いてくれる園芸用土の1つです。100gあたり塩6gの食塩水に数時間浸け込み、十分に真水で洗って乾燥させると再利用できるのもうれしいポイント。ゼオライトを効果的に使いこなして、ガーデニングライフをより楽しんでくださいね。

更新日: 2023年10月13日

初回公開日: 2016年07月12日