植物にとって「カビ」は、重大な病気の原因となりうる存在です。炭疽病(炭そ病)もそのうちの1つで、さまざまな野菜や植物に発生し、枯れさせてしまう恐れがあります。今回は、そんな炭疽病の原因や症状、対策、予防方法などをご紹介します。
炭疽病(炭そ病)とは?症状は?
炭疽病とは、炭疽病菌という糸状菌(カビ)が原因で発生する植物の病気です。野菜や草花、果樹、庭木、花木、観葉植物などほぼ全ての植物に起こり、葉っぱのほか、果実にも発生します。
葉っぱや茎、枝に発生したときは、灰白色や黒ずんだ円形の斑点が表面に現れます。そしてその斑点が葉っぱ全体へと広がり、被害が進行するにつれて中心部が破れやすくなって、徐々に穴が空いて枯れてしまいます。
果実の場合は、黒いすす状の斑点がしだいに全体へと広がっていきます。乾燥していると黒い粒、湿度が高いと赤褐色で粘着質な胞子の固まりが表面に出るときもあります。
炭疽病の原因は?
炭疽病は、気温と湿度の高い環境で発生しやすくなります。そして、風や雨によって他の植物へと感染が広がっていきます。
土の水はけが悪い、風通しがよくない、窒素分の多い肥料をたくさん与えて株全体の葉が多く茂っているなどのときは、発生しやすいので注意してください。また、室内であっても、水やりのときに水滴が土から跳ね返ることで他の植物に感染することがあります。
炭疽病の発生時期
炭疽病は、15度を超えており、湿度が高いと発生しやすくなります。特に20~30度と気温が高く、多湿の状態が続くとたくさんの胞子が作られるので、6~7月と9~10月は注意が必要です。
炭疽病にかかったときの対策は?
炭疽病にかかると、葉っぱが枯れて生育が悪くなる、果実が落ちて収穫量が減る、見た目が美しくなくなるといった被害にあいます。また、他の植物にも感染が広がってしまうことから、早めに対策をしていくことが大切です。
病気にかかった部分は回復しないので、早めに茎葉や実を摘みとってしまいましょう。切り落とした部分が土に残っていると、新たな病気の発生源になるので、焼却処分もしくはゴミ出しをしてください。また、発生初期であれば、殺菌剤を散布するのも効果的です。
炭疽病の予防に薬剤は必要?
炭疽病の主な予防方法は以下の通りです。
● 剪定をして葉っぱや株の風通しをよくする
● 炭疽病にかかりやすい植物の連作を避ける
● 窒素成分の多い肥料を控えめにする
● 土の水はけをよくする
● 株元をビニールシートなどで多い、泥はねによる感染を防止する
● 葉っぱに水がかからないよう、水は株元から与える
● 収穫後は病原菌が残らないよう土を消毒する
● 殺菌剤を散布する
炭疽病の有効な薬剤
モスピラン/トップジンMスプレー/オーソサイド水和剤/トップジンM/ベンレート水和剤/ダコニールなど
炭疽病(炭そ病)は早めの発見と対策が肝心
炭疽病は、株全体へ被害が拡大してしまうと、回復と治療がむずかしい病気です。治療をしないで放っておくと、葉っぱだけでなく、果実も腐ってしまいます。
また、次々と他の植物へと拡大してしまうことから、早めに対処することが何より大切。日頃から殺菌剤を活用するなどして予防を心がけ、症状を見逃さずに対処して、大切に育てている植物を守ってくださいね。
更新日: 2020年05月20日
初回公開日: 2015年12月28日