桑は、葉っぱが蚕のエサになることで知られている樹木です。また、ラズベリーに似た実を付け、そのままやジャムに加工して食べることもできます。今回は、そんな桑とはどんな植物なのかや種類についてご紹介します。
桑(クワ/マルベリー)とは?どんな花を咲かせる植物?
桑とは、中国や日本などの亜熱帯地域を原産とする、クワ属の植物の総称です。落葉性の高木で、枝にはハート型で、縁にギザギザのある葉っぱをたくさん付けます。雌雄異株で、春になると雄花は房状で枝の先から垂れ下がり、雌花は枝の基部に付きます。
クワの歴史
古来中国では、桑は太陽ののぼる木とされ、神聖なものとして扱われてきました。男の子が生まれると、桑の弓で蓬の矢を四方に放ち、将来の立身出世を祈願する風習は、中国から伝わったものなんですよ。また、平安時代に九州へ左遷された菅原道真の怨霊が、京都に嵐や雷を起こしていた時、桑畑には雷が落ちなかったとされる逸話から「くわばら くわばら」という言葉が生まれたとされています。
桑(クワ/マルベリー)の学名・原産国・英語
- 学名
- Morus
- 科・属名
- クワ科・クワ属
- 英名
- Mulberry
- 原産地
- 日本、中国などの亜熱帯地域
- 開花期
- 4~5月
- 花の色
- クリーム、黄
- 別名
- マルベリー
どどめ
桑(クワ/マルベリー)の果実や葉っぱは食べられる
1. 果実(桑の実/マルベリー)
桑は、「マルベリー」や「桑の実」と呼ばれる、熟すにつれて赤から黒く変化するラズベリーに似た果実を実らせます。生のままでも食べられますが、足が早いことから、冷凍されたものが市場には出回ります。また、ジャムやお酒に加工して楽しまれます。
2. 葉っぱ
桑の葉は、煎じてお茶にとして古来から親しまれてきました。桑の葉のお茶には、腸の調子を整えて便秘を解消、肝機能を高めてメタボの防止、血糖値の上昇をゆるやかにして糖尿病を防ぐ、太りにくい体にするといった、様々な効果・効能が期待されています。「桑の葉茶」は、気軽に簡単に購入できるので、食後のお茶に飲んでみるとよいですよ。
桑(クワ/マルベリー)の種類や品種は?
桑は、品種や変種がたくさんあります。また、葉っぱを収穫するために育てられる養蚕用の「ヤマグワ」と、果実の収穫を目的とする「西洋桑」い大別され。今回はそれぞれの品種をいくつかご紹介します。
■ 養蚕用のヤマグワ
多胡早生(タゴワセ)
養蚕用品種ですが、酸味と甘みのバランスのとれたおいしい実を付けます。果実は熟しても赤いままで、糖度は14~15度と高いことが特徴です。また、1本でも結実します。
一ノ瀬(イチノセ)
明治中期に山梨県で育成された品種で、樹勢が弱く、やわらかな枝を生やします。実は1~2gほどと小さいですが、糖度は9~14度あり、味がよいと人気です。
■ 果実用の西洋桑
ポップベリー
実がおいしい品種を交配させて作られた、果樹としての桑です。通常の実よりも4倍ほど大きい、7gのほどの実を付けます。1本でも結実し、酸味の少ない実はジャムにぴったりです。
カタネオ
イタリア原産のカラヤマグワ系の品種です。生育は旺盛で、果実は2~4gの大きさになります。糖度は9~11度と低いですが、たくさんの実を収穫して楽しめると人気があります。
ララベリー
カタネオに染色体を変化させるコルヒチン処理を施して誕生した、大粒の実を付ける品種です。果実の重量は4g前後で、糖度は8~11度となっています。
ホワイトベリー
白い実を付ける品種の1つで、糖度25度以上と実がとても甘いことが特徴です。1本でも実を付け、丈夫なことからやせ地でもよく育ちます。
桑(クワ/マルベリー)を栽培してガーデニングを楽しもう
桑は古くから日本で栽培されていた樹木で、庭木としても、果樹としても魅力があります。また、雄株と雌株がある雌雄異株にもかかわらず、1本でも収穫が楽しめる品種が多いこともうれしいポイントです。栽培もそれほどむずかしくなく、実を付けるまでの年月も3~4年と短いので、果樹初心者の方におすすめですよ。
更新日: 2016年02月09日
初回公開日: 2016年02月09日