ディルは、「魚のハーブ」と称されるほど、魚料理と相性のよいハーブです。乾燥させた葉茎は「ディルウィード」、種は「ディルシード」と呼ばれ、どちらにも優れた薬効があります。栽培がはじまったのは紀元前4,000年代で、世界で最も古い薬草の1つなんですよ。今回は、効能や花言葉など、ディルとはどんなハーブなのかについてご紹介します。
ディル(イノンド)の花言葉とは?
『知恵』
「知恵」という花言葉は、さまざまな薬効の恩恵を授けてくれるところからつけられたとされています。少しの知識と経験があれば、どんなふうにも役立たせることができる、そんな可能性の広さも感じさせますね。
ディル(イノンド)の学名・原産国・英語
- 学名
- Anethum graveolens
- 科・属名
- セリ科・イノンド属(カワラボウフウ属)
- 英名
- Dill
- 原産地
- 西南~中央アジア
- 開花期
- 5~7月
- 花の色
- 黄
- 別名
- イノンド
蒔蘿(ジラ)
蒔蘿子(ジラシ)
ディル(イノンド)とはどんなハーブ?花を咲かせる?
ディルは、セリ科・イノンド属に唯一分類される一年草です。「Dill」とは、古アングロサクソン語の「dilla」が語源とされ、「なだめる」「穏やかにする」といった意味があります。別名のイノンドは、学名「Anethum」のスペイン語なまり「eneldo」からきたものです。ギリシャ語「aithein(灼ける)」が語源で、刺激のある種にちなんでつけられました。
草丈は40~60cmで、同じくセリ科のハーブとして知られるフェンネルと見た目がよく似ています。葉っぱは青緑色で、細い糸状に裂け、夏になると茎先に傘を広げたような黄色い集合花を咲かせます。花もエディブルフラワーとして、小さく割いてサラダや卵料理のトッピングに使われますよ。
ハーブとしての歴史
紀元前4,000年の古代エジプトでは、薬草としてすでに医師たちが利用していました。また、ヨーロッパでは、中世には魔除けの薬草とされていたほか、頭痛や血管障害の治療に使われてきた歴史をもちます。日本へは江戸時代に、生薬として伝わってきました。
ディル(イノンド)の効能は?
ディルは全草にカルボンやリモネンといった薬効成分が含まれており、鎮静、駆風、消化促進、利尿、しゃっくり止め、口臭予防などの効能があります。肉や魚と一緒に食べると胃もたれや動脈硬化を防ぎ、出産後の母乳の分泌不足にも効果的。
漢方では「蒔蘿子(ジラシ)」の生薬名で駆風剤に配合され、健胃、理気効果をもたらすとされています。また、優れた安眠作用をもつことで知られ、ヨーロッパでは天然の鎮静剤として、煎じ湯を夜泣きの赤ちゃんに飲ませたり、種を枕に入れて深い眠りに導いたりしていました。
ディル(イノンド)の使い方は?
ディルの原産地は、地中海沿岸~西アジアで、インド、アメリカ、スペインなどを中心に広域で栽培されています。辛みの強いディルシードは、香辛料としてカレー、ソース、パンの風味づけに。キャラウェイに似てすっきりとした香りのディルウィードは、香草焼きやスープ、ドレッシング、ピクルスに利用されます。ハーブティー、うがい薬には、生葉を熱湯で蒸らしたものを使うとよいですよ。また、粗みじんにすれば、マリネやハーブオイル、ハーブバターなどに使えます。
ディル(イノンド)の種類や品種は?
ディルは用途の広いハーブですが、ノインド属は1属1種の小さなグループで、ディルに品種と呼べるほどのものはありません。セリ科のハーブには香りや草姿の似たものが多く、しばしばフェンネルと混同され、中国では蒔蘿子をうたってドクゼリの種子が流通したこともあります。
ディル(イノンド)は魚介料理と相性のよいハーブ
葉っぱや種がスパイスとして利用されることの多いディル。さわやかな香りが特徴で、魚介類との相性がよく、特にスモークサーモンとの組み合わせは定番中の定番となっています。健胃や気持ちをリラックスさせる効果もあり、料理に加えるとその薬効にもあやかることができますよ。丈夫で育てやすいハーブなので、ハーブガーデンの仲間に加えてみるのもおすすめです。
更新日: 2016年02月21日
初回公開日: 2016年02月21日